人類は進化していく
石器時代にマンモスを狩り、壁画を完成させる協力ゲーム。ハンス・イム・グリュック社のシュピール・デジタル’20新作だが、コスモス社サイズの正方形大箱に入っているのは珍しい。奉行問題が出ないようにして、みんなで創意工夫をする楽しさを生み出している。
各自2人ずつ人物カードをもち、配られたカードを自分の前に山札にして昼フェイズのスタート。毎ラウンド、自分の山札の上から3枚のうち、1枚を選んで一斉にオープンし、アクションを行う。カードの中身を見ることはできないが、裏面の柄によって、だいたい何ができるか分かるようになっている。例えばマンモスが描かれていたら狩りになることが予想されるので、武器を揃えてから臨むのがよいだろう。
どのカードを選ぶかは相談できるが、正確な中身がわからず最善手が見えないことで奉行問題が起きにくくなっている。
カードを一斉にオープンした後、アクションの順番は自由である。また、1人で手に負えないアクションは、他のプレイヤーが力を貸すこともできる。大きなマンモスが出てきたときなどは、全員で立ち向かわなければならないと倒せないかもしれない。
自分の山札がなくなった人はお休みとなり、全員が休んだら夜フェイズ。人物カードの数だけ食料を供給し、その他の夜イベントを処理し、捨札を配り直して再び昼フェイズに戻る。
ゲームの勝利条件は壁画タイル5枚を獲得することで、壁画タイルは大きなマンモスを倒したり、リソースを集めたりして獲得できる。しかし最初は戦力も弱く、壁画を作る方法も知らない。戦力を蓄えつつ、壁画の作り方を開発することになる。
しかしアクションに失敗したり、夜フェイズで食料が足りなかったりすると、ドクロを受け取ることになる。これが5枚貯まると即敗北。これを回避するために食料集めや、怪我を治療するアイテムの開発も欠かせない。
面白いのはデッキビルドの要素があることだ。最初には、今回遊ぶモジュールを選び、そのカードセットが入る。またゲーム中のアクションで新しいカードが加わっていく。一方、狩りが成功した動物カードは廃棄され、食料源が乏しくなっていく。こうしてゲームが進むにつれてカード構成が変わり、それがプレイヤーに分配されることで新しい展開が生まれるようになっている。
最初の数日は壁画ができる見込みもなく、食料だけを食いつぶして不安が漂ったが、その間に作った石槍や石器で能力を向上させ、中盤から一気に壁画が作れるようになった。力を合わせて作るため、難しいセットコレクションができたときには実に気持ちがいい。最終日は食料供給を諦め、壁画に集中して昼フェイズの最後に勝利。
勝利の見込みがついたのがだいぶ後で、もし次の日に持ち越されることになったらドクロが大量に出て敗北するところだった。協力ゲームはぎりぎりで勝てると殊の外嬉しいものである。最初のモジュールだけでも相当厳しかったが、モジュールを進めると難易度が上がるというのでワクワクが止まらない。
Paleo
ゲームデザイン・P.ルステンマイヤー/イラスト・D.マイヤー
ハンス・イム・グリュック(2020年)
1~4人用/10歳以上/45~60分