2019年9月1日にオープンした秋田市内のボードゲームカフェ「Clockwise(クロックワイズ)」を、開店翌日に訪問した。
山形と秋田は隣県とはいえ、山形県南から秋田市は250km、車で4時間近くかかる。山形市からは200km、仙台からでも250kmある。しかし秋田自動車道の通行は大変スムーズで、しかもICを降りるとわずか5分でお店に着く。秋田大学医学部附属病院の真ん前で、周囲にはスーパーマーケットもあり賑やかなところだ。初日は日曜日で20席がほぼ満席だったが、2日目は7~8名ぐらいの来客。
店内は大きな柱があったり、レトロ調の椅子があったりして秘密基地感がある。片側の壁にボードゲーム棚があり、はしごでないと届かないくらい高いところまでボードゲームが詰め込まれていた。オーナーであるdjさんのコレクションである。
djさんこと武内基朗氏は作曲家で、シャイニング・フォースシリーズなどのゲーム音楽、相川七瀬や知念里奈のサウンドディレクション、国際日本文化研究センターによる能と管弦楽の作品などを手掛けてきた。地元でピアノを教える傍ら、秋田ボードゲーム倶楽部(ABC)を主宰しており、長時間・重量級ボードゲームを好む。『ディクシット』のヒントを鍵盤ハーモニカで演奏したというエピソードが私は気に入っている。
そのコレクションは、ライトなゲームを探すほうが難しいくらいで、ホワッツユアゲーム?の大箱がまとめて置いてあるなど、ボードゲーム愛好者にはたまらない品揃えである。そしてお客さんもまたABCのメンバーで、重いゲームには慣れている。遊びたいゲームというと、『カヴェルナ』とか『アグリコラ』といった答えが返ってきた。ほかのお客さんにルール説明をしている人もお客さんだという。
一般的にボードゲームカフェはライト層がターゲットで、いろいろなボードゲームをどんどん遊びたい愛好者層はボードゲームサークルや、自宅ゲーム会でというパターンが多いように思う。ところがここでは、そのようなクラスタ分けがなく、シームレスに連続しているように見える。人口30万人という秋田市の規模のなせるところか、djさんの人柄か。
謎解きゲームも充実で、『EXIT』シリーズと『Unlock!』シリーズが積み上げられていた。一度しか遊べないといわれる謎解きゲームだが、解答をすぐに忘れてしまうdjさんは同じシナリオを何度も遊んでいるという。
店長のずごん氏もABCの一人で、入り口のテーブルには『サムライ』が展示されていた。理由を伺うと今日は9月2日だから「クニ(9/2)ツィアの日」だという……そんな店長が作るホットサンドは、「肉そぼろ」「サバ味噌チーズ」「焼鶏チーズ」「ココアカスタードはちみつ入り」といった一風変わったラインナップ。手を汚さず、長時間ゲームの疲れを癒やすことができるMP全回復メニューだ。
お話もそこそこに、早速ボードゲームを遊び、気がつけば5ゲーム。あっという間に閉店時間となっていた。取材で初めて訪れたボードゲームカフェでこんなにアットホームなひと時を送れることは珍しい。みなさんルールの理解力が高いばかりでなく、説明も上手い方がおり、それでいて人柄の良さがにじみ出て和気あいあいとしていたからだと思われた。
ボードゲームカフェ CLOCKWISE
秋田県秋田市広面字糠塚118-1 稲穂ビル2F/TEL:018-853-8320
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