野菜のことばかり考えている
アイスランドの首都レイキャビクから北に100kmほどいった村レイクホルト。ここで野菜を育て観光客にご馳走する。ワーカープレイスメントに畑の種まきと収穫という、『アグリコラ』でおなじみのシステムで、テキストのあるカードを少なくして極力シンプルにし、短時間でプレイできるようにした作品である。公称では60分以内に収まる。
ゲームボードには24のアクションスペースがあり、ここに毎ラウンド各自3個ずつワーカーを置いてアクションを行う。アクションスペースもワーカーもゲーム中増えず、3周で1ラウンドが終わるからゲームのテンポがよい(基本ゲームは7ラウンドなので21回手番を行ったら終了ということになる)。
アクションスペースが24もあるといっても、基本は野菜を取る、温室を取る、野菜を温室に植える、収穫するの4つだけで、組み合わせがさまざまあるというだけである。
野菜は5種類(トマト、レタス、キノコ、カリフラワー、ニンジン)あり、温室は3~6区画の4種類ある。区画が小さいほど植えられる野菜の種類が増え6区画の温室にはトマトかレタスしか植えられないが、3区画の温室には全種類植えられる。こうして野菜のレア度に差をつけている。
野菜を温室に植えるというのは、手持ちの1つを1区画に置き、残り全ての区画に同じ種類の野菜を置くというもので、3~6倍に増えることになる。ただし収穫はアクションを使わない限り1ラウンドに1回しかできないので、一気に手に入るわけではない。温室を増やして多くの野菜を取れるようにする。
ラウンド終了時に、指定された野菜を支払うことで自分のコマが進み、最終的にこれが一番遠くまで進んだプレイヤーが勝つ。勝利点もお金も使わないことでシンプルな処理にしているのがいい。野菜は支払えるだけ払ってどんどん進むことができるが、支払わなければいけない野菜はどんどん増えていく。ただし1ラウンドに1回、「ボーナス」といって野菜を支払う代わりにもらって進むことができ、停滞しにくくしてある。
ゲームごとに変化を付ける要素として「サービスカード」がある。毎回5枚だけ使い、アクションスペースで取る。特定のアクションをするたびにちょっとおまけがついてくるもので、ゲームのスパイスになっている。新基軸として、となりのプレイヤーと同じサービスカードをシェアするアクションがあり、そのカードが適用されるアクションを巡って競合が起こりやすくなっている。
このように要素を削ぎ落として遊びやすくしつつ、収穫の楽しみや、提供する野菜のやりくりを楽しめるようにした作品である。3回目のプレイからシナリオモード(特定の野菜が取れにくくなったり、到達目標が設定されたりする)とイベントカード(毎ラウンドはじめに適用)を入れることが推奨されている。
4人プレイで1時間強。野菜1つが勝敗を分けるので慎重に考える場面が目立った。運の要素がなくてシビアなゲームではあるが、「ニンジン限界」「温室ぶっぱ」「もう野菜のことしか考えていない」など真剣な思考の中から出てくるつぶやきがおかしくて、和やかにプレイできた。
Reykholt
ゲームデザイン・U.ローゼンベルク/イラスト・K.フランツ&L.ジーグモン
フロステッドゲームズ(2018年)
1~4人用/12歳以上/30~60分