(ドイツのボードゲーム情報サイトBrettspielboxのコラム”Kategorisierung” http://brettspielbox.de/?p=17135の日本語訳)
ここ数日、数週間のいろいろな議論と、昨年の当サイトのコラムに関する議論のテーマから、プレイヤーのカテゴライズをもう一度整理する必要性を感じる。
フリークエントプレイヤー(Vielspieler)と、経験者(Kennerspieler)/エキスパート(Espertenspieler)は同一か、それとも別かが、常に混乱をきたしている。
ボードゲーム(Spiele)とプレイヤー(Spieler)はさまざまなカテゴリーに分けられる。
プレイヤー
プレイヤーにはさまざまな性格(考え込む人、頭の回転が速い人、感情的な人、だますのが好きな人)のほかに、ボードゲームを遊ぶ頻度によって分類することができる。後者は、プレイヤーに要求されるボードゲームの難易度によって変わりやすい。重量級ゲームをとても頻繁にプレイするプレイヤーと同様、家族で頻繁に遊ぶプレイヤーも多い。
ノンプレイヤー(Nichtspieler)
(積極的にプレイしたがらないノンプレイヤーとは区別する。)ノンプレイヤーとは、ほとんどボードゲームを手に取らない人のことである。これは受け身であることが多く、例えば(友達の)仲間からボードゲームに誘われるような場合である。付き合いや雰囲気で遊び、遊んでいる間はたいてい楽しむが、終わったらボードゲームに個人的な関心を持ったり、自ら遊ぼうと思ったりすることはまだない。
カジュアルプレイヤー(Gelegenheitsspieler)
カジュアルプレイヤーとは、定番のボードゲームを所有している。通常、これらは年間ゲーム大賞を受賞したボードゲームなどである。カジュアルプレイヤーはたいていファミリープレイヤーと対応し、手軽に遊べるゲームを好む。友達や家族で遊ぶことが多く、いつもテーブルに出す「お気に入りのボードゲーム」があるのも特徴づけられる。
「ノーマル」プレーヤー(”Normal”spieler)
このカテゴリは本当にあるだろうか? これは無視することにする。
フリークエントプレイヤー(Vielspieler)
フリークエントプレイヤーは、定期的に(月に4回以上)プレイする。クローズドのゲーム会やボードゲームサークルに参加する。ボードゲームとは、もはや定期的で組織的な趣味とみることができる。メッセなどのイベントに参加すること(事前の情報収集を含む)で関心を高める。年間を通じて、趣味のために購入する一定の予算を用意している。そうなると友人とボードゲーム仲間を区別したくなる。前者は親しい人たちの中で見つけるが、パフォーマンスの高いプレイヤーはストラテジーゲームを挑戦するうちに見つかっていくことが多い。
ボードゲーム
同様にボードゲームも分類できる。ここではまずプレイヤーへの要求度から始め、メカニズムや使用する用具の分類には立ち入らない。
メカニズム/用具
メカニズム(カードドラフト、バッグビルディングなど)、用具(ダイス、カードなど)、プレイ人数(1人用、2人用、2~4人用、5人以上)によってボードゲームはその性格が特徴づけられる。これらのさまざまな方向でカテゴライズすることもできる。しかしここではそれ以上立ち入らず、そのボードゲームのプレイヤーに対する要求度を考えたい。
ボードゲームにおける難易度
ボードゲームのタイプにはいくつかの分類がある。例えば年間ゲーム大賞はこれでキッズ(青)、ファミリー(赤)、中級者(灰)に分けられ、ドイツ選手権ではストラテジー、ファミリー、ダイス、運というように要求度とメカニックを混ぜている。
ファミリーゲーム
・「年間ゲーム大賞の枠組で授与されるものは、文化財としてのボードゲームを推進し、家族と友人の間でボードゲームの考えを復活させ、マスマーケットへのボードゲームの供給の指針を与える。」(年間ゲーム大賞)
・カテゴリー1(K1):ファミリーゲーム。ファミリーゲームとは、戦略と運が混合したボードゲームである。それぞれの要素が決定的ではなく、「若い人」と「年上の人」が一緒に遊べるものをいう。(ドイツ・ボードゲーム選手権ルール)
たいてい8歳からという対象年齢は、キッズゲームからファミリーゲームへの橋渡しと捉えられる。ここでの境界線は、キッズの経験に応じて流動的である。基本的にファミリーゲームは簡単なルールで手軽に始められ、1時間以下の比較的短いプレイ時間で、戦略(というよりも戦術)と運がよく混ぜられたものといえる。
ファミリーゲームは幅広い層が遊べるものである。プレイ時間、ルールの複雑さ、戦略的な要求度などの障壁が比較的低く設定されているからである。
ストラテジーゲーム
カテゴリー2(K2)ストラテジーゲーム:ストラテジーゲームとは、プレイヤーのゲーム戦略によって結果が大きく左右されるゲームである。運の要素は少ないか、全くない。(ドイツ・ボードゲーム選手権ルール)
ストラテジーゲームにおいては上記のように境界線がほんのわずかであるため、このゲームのグループを再び経験者向けゲームとエキスパートゲームに分けることにする。おそらく「込み入った(kompliziert)」「複合的な(komplex)」という2つの概念についてのテーマから始めて、ここでそれを定義してみたい(学術的な定義ではない)。
「込み入った」:まず、ゲーム中の原因と結果がどのように相互に関係しているか、直接確定できない。ルールブックを使ってそのボードゲームを解読しようとする。認知、分析、対応の3要素が、込み入ったシステムの中で我々が行うことである。
「複合的な」:これに対して、ゲーム中の原因と結果がすぐに見えない段階がもっと激しい。そこではたくさんの細部と共に、相互に連動しているメカニズムが大きな役割を果たす。3要素は試行、認知、対応となる。ゲームを始めるまでにやや複合的なボードゲームがある一方、ルールを理解して、ゲームが進むにつれて複合的になるゲームもある。
経験者向けゲーム
年間エキスパートゲーム大賞の定義は、「比較的長くボードゲームを遊んできて、新作を学ぶ経験を持ち合わせている人たちに、指針を提案する」という(年間ゲーム大賞)。これで十分であり、それ以上の補足は要らないと思う。
これゆえ、経験者向けゲームは「込み入った」ゲームということになるだろう。
エキスパートゲーム
複合的なゲームのことである。エキスパートゲームには今のところ適切な定義がない。しかし年間エキスパートゲーム大賞の授賞で知ることができたのは、「とてもよい」ボードゲーム(『モンバサ』『ロシアンレールロード』『アルルの丘』『マルコポーロの旅路』など)が候補作止まりだったことである。その後、一般のプレイヤーにまで行き届くことはなかった。
エキスパートゲームは、私見では大部のルールブックと比較的長いプレイ時間が特徴である。「複合的な」の定義と同様、何回かゲームをプレイしてやっとゲームが理解できる。このようにゲームを理解した人から、将来のゲームにおける可能な戦略が構築されていく。これは一元的なものではない。エキスパートゲームはある程度、勝利のための戦略に多様な幅をもたせているからである。基本的には10ゲーム以上プレイしても、完全に解明されることはない。
エキスパートゲームと経験者向けゲームの境界線は、これが中級者ゲームのほうが基本的に早くできるということである。ボードゲームに入るのもより容易である。
結論
カジュアルプレイヤーとフリークエントプレイヤーの違いは、私見では頻度とプレイングが組織化されていることが決定的で、ファミリープレイヤーとストラテジープレイヤーの違いは、ボードゲームの難易度が分類の基準となる。
ノンプレイヤー | カジュアルプレイヤー | フリークエントプレイヤー | |
ファミリーゲーム | やや一致 | ほぼ一致 | ほぼ一致 |
経験者向けゲーム | あまり一致しない | やや一致 | ほぼ一致 |
エキスパートゲーム | 不一致 | 一致しない | 完全一致 |
Vielspielerの邦訳ですが、メニープレイヤーっていうのはちょっとひどいのでは? フリークエントプレイヤーあたりが妥当だと思います。回数を多くプレイするプレイヤーなので。
確かにしっくりこなかったので、フリークエントプレイヤーに変更します。ご提案ありがとうございます。