素敵な相手が見つかるとは限らない
ヨーロッパ中から集まったお金持ちがダンスパーティーで素敵なお相手を見つけるゲーム。近年ドイツゲームデザイナーを次々と起用してクラシカルな作品を発表しているピアトニク社だが、R.クニツィアの新作というと殊更に注目される。良い相手が見つけられなくても、美味しいビュッフェで腹を満たそう。ファニーなイラストと協力プレイの要素もあいまって、ほんわかとしたゲームになっている。
ボードはダンスホール。でもなぜか床いっぱいに料理が敷き詰められている(踊れないだろ!)。あと最初からいる中立の人物が数人。手番には、自分の人物タイルを1枚、どこでも料理チップの上に置いてその料理チップを獲得する(腹が減っては踊りはできぬ)。そしてタイルの山札から1枚引いて手番終了。手札は1枚だけなので、どこに置くかだけが考えどころだ。
さて、人物タイルを置くことで、ある人物タイルの四方が全て壁かほかの人物になったら、ダンスが始まる。ダンスをするのは隣接する異性同士と決まっていて、異性が複数いる場合はランクの高いほう、ランクも同じなら手番プレイヤーが相手を選ぶ。ダンスをした人物タイルは裏返り、プレイヤー双方に得点(自分の人物同士でダンスをした場合は、1回だけ得点が入る)。1枚タイルを置くことでダンスが連続で起こる場合もある。
得点は、ダンスをした人物タイルのランクの合計である。するとどういうことが起こるかというと、ランクの高い人物タイルの周囲に異性が群がり、ランクの低い人物タイルの周りには誰も来ないという、あからさまな状況である(せつない!)。ランクの高い人物タイルと低い人物タイルのイラストが笑えるほどはっきり描き分けられているのも拍車をかける。「こんなじじいとは、踊りたくないわ!」「お姉さん、そりゃひでえよ」
全員タイルを置き終わったらゲーム終了。でも、踊りが全てではない。ゲーム中に獲得した料理タイルのセットによるボーナスを加えて、得点の多い人が勝つ。料理を揃えるため、あまり踊りたくない人物のとなりにいかなければいけないことも。
5人プレイで45分。序盤は目立たないように、料理のセットを集めておいた。そしてランクが高い人物タイルは競争率が高いので避け、次点ぐらいに焦点を当てた(これはクニツィアのゲームによくある戦略である)。ランクの高い人物タイルが埋まり出したところで漁夫の利もあって1位。オプションルールでランクゼロの人物タイルを置いたときにイベントカード(タイルを入れ替えたりできる)を引くというのを加えたが、効果が強い分、タイミングが合わないと何も起こらないということも多かった。
長いパーティーが終わって、料理も人気もないダンスホールでパートナーを見つけられなかった人物タイルがぽつりぽつり。
Wiener Walzer
デザイン:R.クニツィア/イラスト:J.クレナー、C.オパラー/ピアトニク(2016年)
2~5人用/8歳以上/45分
国内未発売