ゲームマーケット2016春レポート

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五月晴れの子供の日、日本最大のアナログゲームイベント、ゲームマーケット2016春が東京ビッグサイトで開催された。過去最高の487団体が出展し、251タイトルの新作を発表。L字型になった西3・4ホールの広い会場にたくさんの来場者が詰めかけた。
午前8時の開館時間にはすでに500人が集まっていたという。その後も列は伸び続け、午前10時のホール開場には2400人ほどに膨れ上がった(Real&風船さん調べ)。最終的な参加者数はまもなく主催者から発表の予定だが、ゲームマーケット史上初めて1万人を超えたと見られる。

しかし広い会場はこの待機列を容易に飲み込んだ。長い列ができたのは直前に『ハートオブクラウン』の拡張を発表したFLIPFLOPsぐらいで、あとは適度に分散していった。今回のゲームマーケットを総括すれば「多様化」といえるのではないだろうか。
開場前、列の先頭にいた方々に開場一番どこに行くか尋ねたところ、FLIPFLOPsと中古ブースという声が複数あったぐらいで、ほとんどかぶらなかった。そんなに早くから並ばなくても入手はできるとしても、万が一売り切れるかもしれないから並んでおく。汗ばむような陽気で、寒くはないが開場前は日陰で涼んでいる人もいた。

会場内ではじめ混んでいたのは中古バザール。どれも一品ものだから優先度が上がる。ゲームマーケットでは中古ゲームを出展するブースが少なく、需要に供給が追い付いていない模様だ。

やがて混み始めたのはリアル謎解きゲーム「ゲームマーケットの闇に閉ざされし扉」。クトゥルフ神話がテーマで、会場内を探索して謎を解き、物語を展開していく。会場内に設けられたいくつかのポイントはいずれも長い行列ができ、最終的に750人が挑戦したという。

ゲームマーケットの伝統行事ともいえる中古オークション。今回は熊本地震チャリティーオークションも開かれ、参加者で大いににぎわった。ほかにも、世界の名作ゲームプレイコーナー、伝統ゲームコーナー「中将棋」、子どもゲームコーナー、TRPGコーナーなどがあり、それぞれたくさんの来場者が楽しんでいた。さまざまなコーナーを設けることによって、老若男女多様な参加者が誰でも楽しめるイベントになっていたと思う。

ボードゲーム愛好者にとって今回の目玉は何といってもこの人たち。フランス人デザイナーのA.ボザ氏とC.ルブラ氏が自ら制作したゲーム『外人ダッシュ!』を引っ提げて出展したのである。海外からの出展は台湾や韓国から毎回行われているが、ヨーロッパからは初。A.ボザ氏らはボードゲーム仲間6人で前日に来日し、浅草や両国国技館などを1週間観光していくという。

現代のゲームばかりではない。復刻版『浄土双六』(PLENLUNO)はサイコロで地獄から極楽を目指すゲームで、仏教の世界観を各マスに反映している。

全部のブースを回って新作をチェックした後、時間があったのでいくつか体験卓で遊ばせてもらう。『トリックオブスパイ』(カワサキファクトリー)は、全体のカードから1枚だけ取り除いたカードが何かを、トリックテイキングの中で予想していく。予想はルーレットの仕組みで、色、数字、色+数字で、絞り込むほど当たりにくく、得点が高い。ほかの人が出したカードを見て、予想を絞り込んでいくのが面白かった。

『セイムワン!』(ワンドロー)は前の人が出したカードと同じ色のカードを出していくゲーム。同じ数字があれば割り込めるルールがあるため、何を出そうかなどとのんびり考えていられない。スリルのあるゲームだ。タイトルにちなんで、サメ(Same)とワンちゃん(One)のカードがあるのがニクい。

『プレゼント工房のトントゥさん』(こげこげ堂本舗)は、フィンランドの妖精となってサンタクロースから注文されたプレゼントを作るゲーム。材料カードをドラフトで回して、一斉に作るプレゼントを早取りで選ぶというメリハリが効いている。

ほかに、十分にチェックしていなかったが回っているときに気になったゲームをいくつか紹介しよう。『スピードコンボマスター』(ボードゲーム.work)は、技カードで指示された組み合わせでパンチやキックのカードをできるだけ早く出すカードゲーム。うまい順序で出せればコンボが決まる仕組みで、複雑なコンボはコンピュータ(ブラウザ)が判定し、ダメージを計算してくれる。

『HORI・HORI』(フジモトが作ります)は、イヌが飼い主に怒られない程度に好きなものを庭に埋めるゲーム。「くびがとれたくまちゃん」など大物を埋めたいが、その分たくさんのカードを山札から引かなければならず、バーストが怖い。作者の飼い犬が実際に埋めていたものを選んだそうで、犬好きにはたまらない。

『ウィークリーアブダクター』(Rockin’chair)は、宇宙人が地球でできるだけたくさんの人間を誘拐するゲーム。コマがちりばめられたマップ上に上から輪ゴムを落とし、その中にいる人間を獲得できる。年齢を表す人間コマの色によって得点が変わり、また家族など組み合わせで役ができるルールもある。

『ひまつぶし~る』(缶詰本舗)は、ゲームが進むにつれてカードにシールを貼っていく1人用ゲーム。『パンデミックレガシー』にインスパイアされたというゲームだが、シールを貼ったまま繰り返し遊び、展開が変わっていく。

ほかにも購入したゲームがあるが、順次プレイしてレビューしていきたいと思う。最後に書籍。『遊びの宝箱』(スモール出版)や『Game Jamboree』3号のほか、変わったところでは『オタクのためのエンディングノート』(Origins研究会)、『アナログゲームの梱包時における「ちぢれ毛」の混入を防ぐガイドライン2016年版』(YbYゲームズ)など。書籍は事前チェックがしにくく、ブースを回っているうちに見つけたものが多かった。
今回、私は新作チェックを中心に1日過ごしたが、これもひとつの楽しみ方で、ほかにも多様な楽しみ方ができるようになったと思う。ただこれだけ規模が大きく多様になると1日で回るのは非常に難しい。どうしても目ぼしいものを買うのに精いっぱいで、ノーチェックのブースを見て回ったり、実際に遊んだり、出展者をお話したりする余裕がほとんどない。ゲームマーケット事務局では2日開催を検討しているそうだが、早期に実現してほしい気持ちは回を重ねるごとに増している。

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