取りたい、でも取りたくない
7つの部族が1枚ずつもっている紋章を、相手より多く獲得することを目指す日本のカードゲーム。ゲームマーケット2015大阪で発表され、当サイトの新作評価アンケートで1位となった。「トリックテイキング」という、従来ドイツでしか評価されなかったシステムが、日本でも意外と受け入れられつつある。この作品は、高天原がこれまでに国産で発表されたトリックテイキングゲーム7タイトルをまとめて一箱にした『トリックテイキングボックス2015』に含まれている。
順番にカードを1枚ずつ出して、一番強いカードを出した人が総取りするトリックテイキング。このゲームの特徴はカードの構成にある。7色あって、それぞれ7のカードに紋章が描かれているが、数字の分布が色によって異なるところが面白い。7が最強の色もあれば、最弱の色もある。そのため、7のカードを取るには、色によって戦術を変えなければならない。
7が最強の色で、自分がもっていたらその7を出せばよい。なければ、切り札で取りに行く。しかし7が最強でないいろで、自分がもっていたら、どうやって獲得できるだろう? なかなか考えることが多い。
しかしこのゲーム、4人プレイでは2人チーム戦となる。自分が取れなくても仲間が取れるようにうまく誘導してあげよう。「あとは任せた!」「無理っす!」
トリックテイキングの常として、手札が少なくなる終盤は選択肢が減って盛り下がるというのがあるが、このゲームでは「トリックを取り過ぎると負け」というルールによってどんどん盛り上がっていく。紋章を集める前に、余計なトリックを取ってしまうと苦しい。序盤に取り過ぎてしまうと、相手から押し付けられる恐れのために、リスキーな手を打てなくなってしまう。
欲しいカードは取りたい、でも余計なトリックは取りたくないというジレンマを、チームでどう解決するかという意欲的なデザインのゲームである。3人プレイでも、2人で結託して1人にトリックを押し付けまくるという展開があって楽しい。
7つの紋章、7つの部族
常時次人/高天原(2015年)
3~4人用/10歳以上/30分