嘘もおしゃべりもない人狼
『ラブレター』のカナイセイジ氏が取り組んだ人狼系ゲーム。その特徴は、嘘をつかないだけではなく、基本的に喋ってはいけないという推理ゲームとなった。テーマは『ラブレター』を受け継ぎ、旅人と姫の逢瀬を、大臣と兵士が正体をつきとめて阻止するという内容だ。切れ味の鋭さは『ラブレター』そのままに、人狼系ゲームに新しい次元を開いている。
役職は、姫陣営として「姫」と「旅人」と「僧侶」が1人ずつ。大臣陣営として「大臣」が1人と「兵士」4人。これらをシャッフルして配る。姫陣営の目的は最後まで正体がばれないこと、大臣陣営は「姫」と「旅人」の正体をつきとめることである。最初に全員が目を閉じて、「姫」と「旅人」がお互いを確認したらスタート。
毎ラウンド、行動順カードが配られ、その番号に従ってコールされた人が手番を行う。手番には、誰かの人物カードを見るか、誰かに何者か質問するか、誰かの人物カードを当てに行くか、カードをタップして指名されないようにするか、誰かを一回休みにさせるか、正体が当てられて表になっているカードを攻撃するか、パスして次のラウンドの早い手番を取るかの7択。結構多いが、その選択肢は全て行動順カードに記されている。
ゲームは3ラウンドしかなく、最後までいけば姫陣営の勝利となる。その前に、「姫」と「旅人」の両方が当てられて公開されるか、「姫」が公開された上に攻撃されるかすれば大臣陣営の勝利。また、その前でも逆に「大臣」が公開された上に攻撃されれば姫陣営が勝つ。
第1ラウンドは、カードを見るか質問するかしてお互いに正体を探りあう。質問では、「姫」と「旅人」が無言で答え、「大臣」は「馬鹿もん!ワシは大臣じゃ!」と答え、「僧侶」と「兵士」が「やあ、ご同輩」と答えることになっている。つまり質問では大臣以外、完全に特定できない。特に敵陣営に紛れ込んでいる「僧侶」がポイント。
第2ラウンドくらいから人物カードを当てに行ってゲームが動く。当てに行って外れると自分の人物カードを公開しなければならないが、「兵士」は正体がバレても痛くないので当てずっぽうでいく。当てずっぽうなので味方の大臣を指名してしまって「馬鹿もん!ワシは大臣じゃ!」と怒られることも。早ければ第2ラウンドで正体がバレて攻撃され、ゲームが終了する。
第3ラウンドまでもつれこんだときは、やるかやられるか、手番順が重要になる。そのため第2ラウンドでパスしたり、カードをタップして防御したり、一回休みにさせたりといったそのほかのアクションが取られることになる。勝敗は一手差であることも多く、その悔しさについ「もう1ゲーム!」と言いたくなる。
7人プレイで6ゲーム。1ゲーム10分もかからないので、ついつい何度も遊んでしまった。7人だと人物カードの1枚が誰にも配られないので、「姫」か「旅人」のどちらかがいなかったりして展開が大きく変わる(最初の確認で相棒がいないことが分かったときの寂しさ!)。当てずっぽうで行くときの運の要素もあるが、誰がどれを見ているかという情報(チップで示す)に基づく推理や、手分けして敵をあぶり出す無言の協力の妙もあって楽しめた。喋ってはいけないというルールだが、その分ゲームが終わった後の会話が盛り上がった。
Secret Moon
カナイセイジ/カナイ製作所(2014年)
5~8人用/10歳以上/10分
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