走れ走れコータロー
昨年来日したドイツ人ボードゲームデザイナー、R.クニツィアの競馬ゲーム。2001年にアレアから発売された『ロイヤルターフ』の豪華版である。箱が一回り大きくなり、コマの造形もリアルになった。コンポーネントだけでなく、コースが延長され、馬の種類も増えるなど、内容にも変更が加えられている。午年にちなんで家族でプレイ。
『ロイヤルターフ』では馬別にスペックがある程度決まっていたが、『ウィナーズサークル』は完全にオープンで、出走する馬をシャッフルしてランダムに決める。まずは自分が賭ける馬にチップを置くフェイズ。ほかの人と同じ馬に賭ければ、その馬はきっと早く進むだろうが、入賞しても賞金額が下がる。一方、単独で賭けるとゴールするのは難しくなるというジレンマ。賞金が2倍になるチップをどこに賭けるかも悩みどころだ。
賭け終わったらレーススタート。順番に専用ダイスを振って好きな馬を進めるわけだが、ここで馬の性能が出てくる。それぞれの馬は、ダイスが馬のマークなら何マス、ヘルメットなら何マス、鞍なら何マス、蹄なら何マスというように進める数が決まっており、ダイスは馬のマークが3つ、ヘルメット・鞍・蹄が各1つとなっている。つまりたいていは馬のマークが出るわけで、そのときに確実に進む馬(一番人気)がいいか、残りの3つの目がたまに出たとき一気に進む馬(穴馬)がいいか悩む。
一度進んだ馬は、ほかの馬が全部進むまで進めないところもポイント。どの馬も進んでいないうちは、自分の応援する馬がたくさん進むよう、またほかの人が応援する馬があまり進まないようにコントロールできるが、だんたん減ってくるにつれて進めたい馬をあまり進められなかったり、反対に進めたくない馬を泣く泣く進めたりすることも出てくる。このドラマが楽しい。
3着まで入ったらレース終了で、お楽しみの賞金支払い。賞金額はボード上に表で記載されている。これを3レース行って、賞金総額の多い人が勝つ。第3レースは賞金額が倍になるので逆転もありえる。
妻と長男の3人でプレイして45分ほど。第1レースこそ順当だったが、第2、第3レースは波乱続きだった。後方にいた馬がめったに出ない目でゴボウ抜きし、トップに踊り出るたびに盛り上がる。頑張れ! 負けるな! あと一歩だ! ああ抜かれたー! 最終レースで2倍チップを賭けた馬が入賞して、4倍の賞金を得た長男のダントツ勝利。
『ロイヤルターフ』と比べると、馬の種類がたくさんある分、色別の特色がないのがやや寂しく感じるが(「アルビノ」大好き派)、ダイナミックなレース展開になるのが楽しい。
Winner’s Circle
R.クニツィア/フェイス2フェイスゲームズ(2006年)
2~6人用/10歳以上/60分
絶版・入手難