エンデバー(Endeavor)

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偏ってもええんでばー?
先月日本語版が発売された『エンデバー』をプレイ。デザイナーはニュージーランド人で、今、世界中から優れたゲームデザイナーを発掘しているアメリカのズィーマンゲームズから発売され、各国で高い評価を得ている。
西欧列強の植民地拡大を描いたゲームだから陣取りがあるが、攻めにくい/攻めやすい場所を探るような地政学的なゲームではない。世界地図が描かれたボード上で行われていることは、早い者勝ちのチップとカード集めに過ぎない。問題は、どのチップを集めるかである。
盤上からチップを取ると、マイボードのレベルが上がる。レベルには産業(建てられる建物のグレード)、文化(追加できるコマの数)、財政(建物から戻ってくるコマの数)、政治(カード枚数の上限)の4つがあり、レベルが上がればできることが増えるだけでなく、勝利点になる。このレベル上げがゲームのメインである。
毎ラウンドまず、産業レベルに応じて建物を1つ建てる。建物は無料だがグレードが高いほど効果も高い。それから文化レベルに応じてコマを追加し、財政レベルに応じて使用済みのコマを戻す(戻さないと建物が使えない!)。そして建物を使って盤上にコマを置き、カードを取る。最後に政治レベルに応じて余分なカードを捨て、これを7ラウンド繰り返すのが基本的な流れ。全ての行動がマイボードのレベルに直結しているところが分かると思う。
レベルはどれかを極端に上げればよいというものではない。政治レベルを思いっきり上げても、コマが足りないとカードが集められないし、その逆も然りである。バランスよく上げたいところだが、盤上でチップを取れるところには制限があり、思い通りには集められないようになっている。
エンデバーさらに、盤上に置かれたコマの数によって手に入るカードは、レベルを一気に上げてくれる。だからコマは、どのチップを取るかだけでなくカード取りまでにらんで置く場所を考えなければならない。もちろん、ほかの人との競合もある。さあ、どこからコマを置いたら有利か?
最後は盤上の都市に置いたコマの数、都市の連結、4つのレベル、カードの得点など11種の総合得点で勝敗を決める。たくさん要素があるので、トップ目は一目では分かりにくく、最後の最後まで勝ちは誰か分からない。世界が植民地化しつくされると、今度は都市の連結をめざして戦争(といっても淡々とコマを交換するだけですが)が勃発するのがリアルだ。
私は競争率が高いヨーロッパを避けて、2,3エリアに集中。カードを早期に取ることができたが、産業レベルだけなかなか上がらない。そのため建物がいまひとつぱっとしない。しかしとなりのdjさんは財政レベルが上がらず、強制パスでもっとひどそう。ますみさんはヨーロッパを制したのも束の間、次々と奪い取られてしまう。そんな風に、それぞれ弱みを抱えつつ、ほかのところでどれくらいカバーするかという勝負になった。結局、ヨーロッパに手を出さなかった私が、戦争で奪い取られなかった分で勝利。ずっとパスでいじけていたdjさんが最後になって怒涛の追い上げで2位。
いろいろな勝ち筋があるゲームだが、バランスよくレベルを上げるというだけでは勝てない。破綻しないぎりぎりのラインまで偏った配置やレベル上げをするほうがよさそう。もっと遊んで、そんなぎりぎりのラインの見極めをしたくなってくるゲームである。
Endeavor
J.グレイ、C.ド・ヴィッサー/ホビージャパン(2010年)
3〜5人用/12歳以上/90分
エンデバー

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