ゲームマーケット2002体験記

2002年3月21日(祝)浅草区民会館

「何事三度」という言葉がありますが3年連続3回目となるゲームマーケット。一方では雰囲気が成熟したように感じられ、また一方ではコアなマニアから広く一般に開放されてきたように感じられました。

今回は同人誌「トイプラス」に参加した関係で、一般入場ではなく販売サークルとしてブースに立つという事態になりました。昨年・一昨年と階段に並んで待ち、午前中で帰宅していた頃には想像すらしなかったことです。それだけ私がゲームに深く関わるようになったということなのか、それとも販売ブースが一般の愛好者に開放されてきたということなのかは分かりませんが、感慨深いものがありました。つまるところ、一般入場より先に入れた優越感で嬉しいだけなのかもしれません。

開場前の会場は、展示品を並べる各ブースがとても忙しそうです。時間指定でも荷物が遅れているところもあり、メビウスに至っては開場10分前にやっと荷物が着いたという状態で、他人事ながら心配しました。生意気に青田刈りなどをしようと1周してみましたが、まだ箱の中に入っているものが多くて唾もつけられず、そうこうしているうちに開場。

人の流れはやはり真っ先にバネストとメビウスに向かっています。3回目ともなると来場者がどこに行くべきか、何をするべきか分かってきた感じです。関東に住む人は特にバネストが仕入れているゲーム(ハバ、セレクタ、アウト・オブ・ザ・ボックスなど)を実際に手にとって見る貴重な機会なので、殺到していました。メビウスも新作を出しており、日頃お店に通っているような人も注目すべきものがあったようです。バネスト・メビウスを中心にその辺りのブースにはショップが並んでおり、ギプフ・プロジェクト「デュボン」の桃源郷、奥野かるた店、ニチユー、「グローカルヘキサイト」のクラブヘキサイトがずらり。新品ですので数はある訳ですから、急ぐとすれば各サークルで売られている限定1個の中古ゲームなんでしょうけれども、新しいものの魅力は大きいようです。

新しいものと言えば、カプコンの「カタン」「ロード・オブ・ザ・リング」が販売されていました。この日は、渋谷のツタヤでキャンペーンをすると告知されていたので、ゲームマーケットには来ないものと思っていましたが、急遽スタッフを配分していらっしゃったとのこと(※カタンフラウは渋谷へ)。担当の長谷川さんは、以前「カタンマニアックス」というサイトを運営されていた方で、カタンの造詣が深いだけでなく、既存の愛好者やゲームサークルを視野に入れた展開ができる非常に貴重な存在です。実際に会うのは初めてでしたが、ドイツゲームの国内展開という希望に燃えている感じが伝わってきて、非常に好感が持てました。来場者の顔ぶれから「カタンの開拓者」「指輪物語」の所有率は高そうでしたが、それでも話題の完全日本語版だけあって入手する人も多かったようです。

会場全体の客足は減ることがなく、むしろ次第に増えていったように感じられました。一昨年の入場制限から昨年はみんな早めに来ましたが、今回はそれぞれのスケジュールでゆったりと集まってきたようです。開場して1時間も経つ頃から各ブースのチェックを終わった人たちがフリースペースで買ったばかりのゲームを遊び始め、こちらも盛況です。メビウスで販売しているシャハトの新作「ジャンク」や、メビウスでもうすぐ入れるらしい「カルカソンヌ拡張」が特に目を引きました。とかくマニアが陣取りがちなフリースペースですが、見たところ女性の方や、ゲームの概要を見ようと見物している人など、閉鎖的な印象は受けません。

午後になると入札とオークションによるゲーム販売、売れ残った委託販売の叩き売り、各サークルの紹介などが始まり注目は一挙に本部に集まります。本部による販売には3種類があり、出品者の設定した価格でそのまま売る委託販売、出品者の設定した価格をもとに2時間の投票入札を行い、開票の結果一番高額をつけた人が入手できる入札方式、そして会場全体で行うオークション。レア度が高いものほど後者で販売され、当然値段も上がります。特にオークションはオークショナーの手腕もあってお祭り騒ぎの熱狂を帯び、信じられない額も出ました。しかしこれはボランティアでやっている主催者に、手数料として少しでも入れようというご祝儀的な性格があるのかもしれません。

私がいたブース「Y・Games」は康さんのゲーム50個をほどなく完売し(インターネット予約販売が大半で、当日販売は少量)、あとは同人誌を販売。300冊作って70冊くらいの売上でした(残りはメビウス、名古屋バネスト、イエローサブマリン、プレイスペース広島、i-OGMに販売委託予定)。ブースにいるとたくさんの人と出会うチャンスがあります。サークルにあまり顔を出していない私にとっては特に、インターネットでよく見かける人の顔と名前が一致するのは面白く、また「おのさんですか」「ホームページ見てます」などと話しかけられるのも嬉しかったです。ゲームが相手プレイヤーを前提にして成り立っているように、この世界も人と人のつながりがとても大事だと改めて認識させられました。またそのせいか誰しも総じて人当たりがよく、コミュニケーション能力が高いようです。

3回目のゲームマーケットは端的に言えば「コミュニティーの成熟」という表現ができそうです。主催者の苦労は想像するにあまりありますが、今や国内で欠かすことのできない行事として、多くのゲーム愛好者の支持を受けて確立した感があります。折りしもカプコンやエポック参入も追い風になってか、新しいゲーム書籍が出るという話もあり、ドイツゲームが国内で一大ジャンルを形成しつつあること、そして今後の展望は明るいことが確信できました。

オークション落札価格・後半 キャラバン(Karawane / B.B.Grill / Ravensburger 1990) 3,000 ツタンカーメン(R.Knizia / Amigo 1993) 6,300 TVウォーズ(B.Nash / Avalon Hill 1992) 7,000 みんなで決めたこと(Das regeln wir schon / K-H.Schmiel / Moskito 1994) 10,000 ヴェルニサージュ(K.Teuber / TM Spiele 1993) 5,300 ミスターダイアモンド(G.Baars / Ravensburger 1993) 6,800 ブレーキ!(Ausgebremst / W.Riedesser / ASS 1993) 6,300 ドメモ(P.Halvah / Ravensburger 1975) 6,000 アクワイア(S.Sackson / Avalon Hill?) 10,000 メトロポリス(S.Sackson / Ravensburger 1984) 11,500 カタン・命の水(Das Wasser des Lebens / K.Teuber / Kosmos 1998) 25,000 ライアーズ・ダイス(R.Borg / MB 1987)+ワイン 10,000 アベ・カエサル(Ave Caesar / W.Riedesser / Ravensburger 1989) 18,000