酷暑の中、自宅ゲーム会。仙台から神尾さん、夢さん、ぽちょむきんすたーさん、庄内から鴉さん、天童からmuraさんがお出でになり、総勢6人で遊ぶことができた。
カラスの宝|トレド|キープクール|バタビア|リトルゲーム・ペンギン/ウマ/カエル|バイキング|シチリアの殖民
カラスの宝(Der Kränenschatz / U.ガイスラー / ツォッホ, 2003)
カラスは3歩歩いても忘れない
2003年年間キッズゲーム大賞候補作。販売はツォッホ社だが、製作はヴェルクジードルングという授産施設である。缶の箱入りで、コンポーネントはすべて木製と豪華だ。
はじめにカードを見て色とアイテムを覚える。全員カードを伏せたら用意スタート。全員同時に片っ端から三角をめくり、自分のカードで指示された色とアイテムを集める。カードはもう見ていけないので、何色を何個集めたかまで覚えておく必要がある。色だけなら何とかなりそうだが、アイテムまでとなると難しい。
誰かが6つ集めたら答え合わせ。6つ集めた人が間違っていなければ2点で、あとはアイテムが合っていれば各1点が入る。全員同時プレイで焦りながら集めているので、アイテムまで気にかけるのはたいへんだ。
ぽちょむきんすたーさんが怒涛の記憶力を発揮して1位。バリアントで配置まで覚えるルールもあるが、私はこれ以上できそうにない。聞くは易し、行うは難しである。
トレド(Toledo / M.ワレス / コスモス, 2008)
城に運ばなければ宝の持ち腐れ
道々で材料を集め、剣を作り、お城に届けるゲーム。『ケイラス』のワーカープレイスメントをスゴロク風にアレンジし、1時間足らずで遊べるようにした作品である。
自分の施設は無料で利用できるが、ほかの人の施設を使うと使用料を払わなければならない。だから出費を節約できるよう考えて自分の施設を配置しておこう。移動はカードを出してその数字分だけ進み、止まった施設でアクションを行うが、同じ数字のカードであれば1回の手番に何枚でも出してよい。カードを出して材料をもらい、またカードを出して宝石をもらい、さらにカードを出して剣を作る。こんな連続アクションが爽快だ。
材料や宝石が多ければ多いほど豪華な剣が作れるが、お城に持っていかなければ得点にならない。自分の手下コマは5つ。作った剣の数だけ手下もお城を目指すことになる。その途中で待っているのは決闘。施設が埋まっているところにコマが入ると決闘が起こり、負けたほうはスタートに戻されてしまう。決闘はカードをめくって解決するというシンプルなものだが、戦闘力を高めるチップも用意されている。
早い段階で安い剣を作った私は、早々とお城を目指した。誰かの手下が3人お城に入ればゲームが終わるので、みんなが豪華な剣の製作に時間がかかっているうちにゲームを終了させようという魂胆である。しかしそのうち夢さんが馬車タイルで移動力を上げてから、あれよあれよという間に剣を運び込んでしまい、私も豪華な剣を作らなければいけなくなった。結局、そこでもたついている間に夢さんが3人をお城に入れて1位でゲーム終了。
どこまで材料を集めてどれだけ豪華な剣を作るかは、ほかの人の動向を見て決める必要があって駆け引きが楽しめた。カードの出し方にはいろんなパターンが考えられるので結構悩む。
キープクール(Keep Cool / G.ペッチェルヘルト、K.アイゼナック / シュピールトリープ, 2007)
悪役にも言い分はあって
温室効果ガスを削減して地球を滅亡させないように協力しつつ、自国の工場を増やし政治目標を達成する交渉ゲーム。各国が利己的に振舞うとあっという間に地球は終わってしまう。でも妥協ばかりしていてはほかの国が勝利をものにしてしまう。お互いににらみあいながら協力するという、現代の環境問題の苦悩を追体験できる。
自分が担当する国はランダムに配られる。今回私は旧ソ連。プライドは高いが経済状態は決してよくない。アメリカは最初から大量の工場を保有しており、温室効果ガスの排出量も半端でない。他国からは羨望と敵意が入り混じった目で見られている。そこでアメリカ役の鴉さん、積極的に技術開発を先導する。大金を投じることで、環境にやさしい工場を安く建てる技術で、OPECを除くほとんどの国がこれに乗った。
OPECは神尾さん、環境にやさしくない工場が多ければ多いほど収入も増えるので技術開発には超消極的である。そんなOPECから、旧ソ連の能力でお金を盗む私。秘密警察の力なのだろうか。
技術開発の資金も尽きる頃、温暖化が進んで各地の災害も激しくなり始める。発展途上国の夢さんに直撃すると、アメリカに経済援助を頼む夢さん。発展途上国の武器は温暖化を進めるか遅らせるか選べるというもので、経済援助の懇願も実は恫喝外交である。実際に温暖化を1回進めて皆に恐怖を味わわせてから援助を頼む手腕は見事。
muraさんは準工業国ということで、途中までは足並みをそろえていたが自国が豊かになるにつれてだんだんワガママになっていく。でも奇跡的に災害に見舞われず、調子のよい成長を続けていた。でもその影で着々と成長を続けていたぽちょむきんすたーさんのヨーロッパがあっさり勝ちをさらった。
ゲームのシステムはきわめてシンプルに作られており、バランスも実世界にあわせて不安定に取られている。そこが交渉が必要になる原因であり、たえず自国と世界の将来を案じなければならないのがリアルで楽しかった。勝つチャンスはどの国にでもありそうだ。
バタビア(Batavia / D.グリム、G.レヒトマン / クイーンゲームズ, 2008)
進めボクの東インド会社
競りで手に入れたカードを出して多数を取り、その権利で取ったタイルでさらに多数を取るという重層的な多数取りゲーム。各国の東インド会社の株券を集めて、コショウやじゅうたんなどアジアの物資を集めるというテーマである。オランダのジャンボ社から発売されていた『モダンタイム』のリメイクで、『ウボンゴ』の作者であるレヒトマンが共同作者に名を連ねた。
面白いのは場に出されたカードの合計が一定枚数を超えるとバーストするところ。そのとき一番多くの枚数が出ていた会社のカードが捨て札になってしまう。枚数を多く出せばバーストする確率が上がり、少なく出せばほかの人に乗っ取られる恐れがあるというジレンマだ。バースト直前では、どの会社を潰そうかという駆け引きも楽しめる。
序盤からカードを出し惜しみせず、積極的にタイルを集めていった私がそのまま逃げ切りで1位。競りに使うお金が少ないときに、ほかの2人がほしがらないカードが回ってきたことも奏功したようだ。
多数取りゲームは90年代後半ドイツゲームの最先端だった。ここ数年はワーカープレイスメントがもてはやされるにつれ下火になってしまったが、インタラクションの源泉として全く色褪せていない。
リトルゲーム・ペンギン/ウマ/カエル(Mini-Spiel Pinguin / Pferd / Frosch / M.ニキシュ / ハバ, ?)
小さな缶に楽しみがいっぱい
すごろくやで取り扱っている子供用のミニゲームシリーズ。1缶1000円弱で購入でき、それぞれに工夫がってなかなか楽しい。
ペンギンは、棒で流氷コマをはじき、ペンギンの近く(棒で判定)に止められたらペンギンを移動して、中央を目指すアクションゲーム。思いっきりはじいて失敗し続ける神尾さんを尻目に、欲張らないようにしてじわじわと移動して勝利。
ウマのゲーム内容はこちら。神尾さんがウソのような奇跡の目を連発して勝利。
カエルは『ノミのサーカス』のようにチップでカエルをはじいて缶の中に入れる。缶には高さがあってなかなか入らないのでつい熱中してしまう。こちらは私がカエルを入れて勝利。
こういう単純なゲームのほうが飽きが来ないこともあるのが不思議だ。
ヴァイキング(Winkinger / M.キースリング / ラベンスバーガー, 2007)
2人バイキングは楽しい
ゲーム内容はこちら。ドイツのゲーム情報誌でこのゲームは2人で遊ぶのが楽しいというのを読んでいたものだから遊ぶ機会をうかがっていたが、ようやくそのチャンスに恵まれた。
2人用のルール変更はほとんどない。したがって大量のタイルとコマを順番に引き受けることになる。それをどのようにしてうまく並べるかも腕の見せ所だが、2人の場合、タイルとコマの購入がとても面白い。お互い相手がどのタイルをほしくてお金をいくら持っているかが丸分かりなので、値段の高いタイルを先に買わなければならなかったり、わざとお金をなくして安いタイルを取りにいったりと戦略性が高い。
第1ラウンドが勝負の分かれ目だった。海賊船を避けて出費がかさんだ神尾さん苦しい立場に。私はある程度の海賊船を覚悟してお金を節約しておいたら、その分戦士も取ることができて儲かった。その後も差がどんどん開いていったように見えたが、大差はつかず私の勝ち。神尾さんは島を積極的に閉じるようにしていたので、島数のボーナスが入ったのである。
時間もかからず駆け引きが楽しめる『ヴァイキング』の2人ゲーム、オススメしたい。
シチリアの殖民(Colonization in Sicily / 川崎晋 / カワサキファクトリー, 2008)
ダメ法案に泣く泣く投票
ゲーム内容はこちら。今回の見どころは夢さんと鴉さんが立候補したところ。残り3人は入植したくてうずうずしていたのに、出てきた法案は特権と資金。まるで談合したかのようなダメ法案で受けた。
実際、この戦略はアリである。たとえ投票チップが手に入ってもほかの人の手が大幅に進められてしまうならば得をしたとはいえない。あえて使えないような法案を出してほかの人の手の進行を遅らせるのも悪くない。ただしそのためには対抗候補もそれなりの法案を出さないと自滅することになるので諸刃の剣ではある。
立候補者を見破ってあえて投票チップを外す方法、投票者の手を食い止めるために使えない法案を出す方法と、立候補にも投票にも戦略の幅があり、それがゲームにドラマを生んでいる。この優れた秘密法案システムを海外のゲーマーにも唸ってもらいたい。