秋葉原水曜日の会 06/07/12

秋葉原水曜日の会 06/07/12

秋葉原水曜日の会のメリットは、急に参加できるようになったり行けなくなったりしても問題ないことだと思う。行けるときに行って、いられるだけいて、遊びたいだけ遊ぶ。その緩さがサロン的な雰囲気をもたらし、午後のひとときを優雅に過ごすことができる。その陰には、常時10人を超える参加者人数と、よい雰囲気で楽しみたいという参加者の意識、そして主催者タナカマさんの人柄があるのだと思う。無料で会場を提供しているイエローサブマリン秋葉原RPGショップにも感謝したい。
夏ということで、頭が熱くならないような軽快なゲームを持ち込んでみた。

ブルームーンそれ何やねん?万里の長城ユーコン河の黄金エクストリーム・リミットバイソン

ブルームーン(Blue Moon / R.クニツィア / コスモス, 2004)

ブルームーン3匹のドラゴンをめぐる綱引き

クニツィアがTCG仕立てで制作した2人用カードゲーム。若干のテキストがあるため日本では紹介が進んでおらず、むしろボードゲーム版「ブルームーンシティ」のほうが知名度が高いかもしれない。しかしすでに8つの拡張デッキが発売され、熱心なファンが外国にはいるようだ。アラカルト・カードゲーム賞5位、ニュルンベルク国際おもちゃ見本市トイ・イノベーション・アワード受賞。

 基本セットには、2つの種族のデッキが入っている。6枚の手札から、交互にカードを出して強さを比べ、相手が撤退したらドラゴン獲得。相手が勝つとドラゴンを奪い返されたりして綱引きになるが、カードを使い切るか、ドラゴンを全部取られるかしたときにゲーム終了となる。ドラゴンの数が勝利点になり、5点先取で勝敗を競う。
 カードには火のポイントと大地のポイントがあり、先攻がどちらかを指定する。以降、交互に相手が出したカードと同値かそれを上回る火/大地のポイントのカードを出していく。カードの中には、相手の攻撃力を弱めたり、自分の攻撃力を上げたりする特殊能力があり、単なる数比べに終わらない。
 カードは基本的に上書きされていき、前にいくら強いカードを出したからといって、それを返されて次の手がなければ勝つことはできない。手札を見ながら、どういう順序で攻撃すれば効果があるのか考えよう。さらには、デッキの構成を頭に入れて、次の補充で来そうなカードを予期しながら戦えば、さらに勝率が上がるだろう。

 経験者のけがわさんに手ほどきを受けて勝負。ファンタジーフライト社の英語版であるが、テキストは2,3行ぐらいがほとんどで思っていたほど難しくなく、すんなりゲームに入れた。カードをある限りだして無駄に戦いを長引かせる私に対し、けがわさんは1枚で撤退して次回に大きく攻めてくるなどメリハリがきいている。結局けがわさんが先に山札をなくしたところで私にドラゴンがあり、最後の総力戦となった。有利だったはずが山札の下のほうに特殊カードが固まっていて、通常の戦闘ができずドラゴンを守りきれない。結局けがわさんがギリギリの線で巻き返して勝利を手にした(1ディールのみ)。
 「ブルームーンシティ」でも思ったことだが、SFのイラストが怖い。男だか女だかわからない宇宙人が火花を散らして戦うさまは、SFを通り越してホラーの域だ。そのせいか私はあまり入り込むことができなかったが、ロストシティやバトルラインなどクニツィアの2人ゲームが好きで、しかもマジック:ザ・ギャザリングの嗜みがある人ならばきっと気に入るだろう。(写真:公式ページより)

それ何やねん?(Was’n das? / P.パリエール / ラベンスバーガー, 2006)

ゲーム概要はこちら。日本人ゲーマーがやると、迷っている時点で消去法がはたらき、アイテムを1つ取った時点でほとんどの人が答えを出してしまうという、「それ何やねん?」などとのんびり突っ込んでいる暇がないスピードゲームと化す。
 飲み屋シリーズで居酒屋、ホストクラブ、キャバクラ、ビアガーデン、ホストクラブ、ランパブと並んでいる中、花を1つ取っただけで「ランパブ」という答えが出てくる察する文化の成熟ぶり。フランス人やドイツ人は、2個とか3個とか組み合わせてもまだみんな答えず、あーでもないこーでもないとおしゃべりをしているのだろうか。
 日本版にローカライズしたお題セットをplay:gameに載せておくので、興味のある人は遊んでみてほしい。

万里の長城(Chinesische Mauer / R.クニツィア / コスモス, 2006)

ゲーム概要はこちら。前回は一箇所につぎ込みすぎて負けたので、今回はできるだけ争いを避けて小さい褒賞をたくさん集める作戦に出た。ゲーム前に全員にもつぎ込みすぎる不利を説明したのだが、いざ始まるとどうしても長い長城はできる。2人がどちらもあと1枚で勝てると思ってカードを出しているうちに伸びてしまうのだ。
 しかし今回は、この長城を制した天地さんが上位に入った。2人が戦っている間に、他の人も適度に絡んでいたのと、点数の高いチップが来なかったことが原因のようだ。いろいろな戦い方があるものだと思った次第。
 今回新たに考案された戦い方として、1回目の1位を取らせてから後で乗り込み、2回目の1位を分けてもらうという方法。比較的少ない争いで譲ってもらえるので有利ではないかという話になった。カードのめぐりだけではなく心理面でも相手の隙をついていくことが、勝利のためには必要なことなのかもしれない。そこまで考えてくると、第一印象よりもずっと深みがあるようだ。

ユーコン河の黄金(Gold am Yukon / R.ヴィッティヒ / アミーゴ, 1990)

ユーコン河の黄金金鉱掘りはエンヤコラ

ゴールドラッシュにわくユーコン河岸で、金鉱掘りを集めて金を掘るスゴロクゲーム。
 ダイスを振って列の後ろからコマを取り一番前へ。イモムシ状に移動する金鉱掘りを、サークルに並べると金をゲットできる。そこに1人見張りを置いて、次の金鉱へ。こうして人は少なくなり、身軽になっていく。早く進むか遅く進むかはサイコロ次第だが、中央にある6点の金塊と、その周囲にある4点の金塊をどのタイミングで取るかが選択のしどころだ。
 早めに中央を抑えたミキさんを超える人がおらず、そのまま逃げ切った。私はというと中央に行くタイミングが遅れ、周囲で小さい金鉱をほじくっているだけ。それでもたくさん集めればと思ったが、圧倒的な差で負けた。中央の高得点ゾーンは早い者勝ちで、同じマスには入れないのでスゴロクだけでなく陣取りの要素もある。(写真提供:ヴァイスさん)

エクストリーム・リミット(Xtreme Limits / R.フラガ / ゴルトジーバー, 2006)

エクストリーム・リミット心臓が弱い方はご遠慮下さい

ボードゲームの常識に絶えず挑戦し続けているフランス人デザイナー、ロベルト・フラガ。「ダンシング・エッグ」「スカッドセブン」「タイムイズマネー」「栄光の騎士」など、近年注目しているデザイナーである。その最新作は、タイマーで制限時間が決められた大慌てゲーム。

 ボード上は時計になっている。赤・青・緑3つの針がどの順番で並べば得点になるか指示されたカードが1枚ずつ配られる。タイマーを回したらゲームスタート。手番にはチップを払ってその数だけ好きな針を動かし、順番を変える。これを繰り返して全員のチップがなくなるか、タイマーが鳴ったら終了。10点先取。
 タイマーが鳴ったときに手番を行っていた人は失格になるというルールがドキドキものだ。だから自分の手番はできるだけ時間をかけないよう、さっさと終わらせたい。しかし適当に針を動かしていては勝つことができない。とっさの判断力がものをいう。また、先にチップをなくせば失格になる危険はないが、他の人にいいようにされてしまって得点できないかもしれない。ちびちびやっていれば失格の危険がある。このジレンマには感心した。
 さらに、針が4と8に来たとき、他の人とカードを交換することができる。自分の思い通りになったとほくそえんでいるといきなり交換されて0点に。チップを置く、針を進める、交換する、チップを置く……制限時間の中で賑やかなアクションが繰り広げられるだろう。
 しかし最も特筆すべきは、アナログのタイマー。ねじを回してセットし約3分、カチカチカチカチ……という嫌な音を発する。しかも時間が切れるとジリリリリン!とベルの音。そのとき手番を行っていた人は、つい手がビクッとしてしまうのだ。ああ、心臓に悪い。

3つの針が全問正解ということがなかなか出なくてゲームがちょっと長引くと、皆やけに手際がよくなったり、頭が疲れてきて散漫になったかと思うとベルがなって気合を強制的に入れられたりと、プレイヤーの変化が起こってきてそれがまた面白かった。呼吸も忘れるほど。(写真提供:ヴァイスさん)

バイソン(Bison / W.クラマー&M.キースリング / ファランクス, 2006)

バイソンゲーム概要はこちら。広い猟場を作って覇権を争いあった前回に比べると、今回は小さい猟場を分け合って争いを避ける平和的な展開になった。
 新しい発見はタイルを置くタイミング。タイルを置くというアクションは、ラウンド中必ずしなければならないものであるが、インディアンを投入できるのがこのアクションでしかないため、どうしてもラウンドの最初にやることが多い。しかし敢えて他のアクションを先に行い、盤面に残っているインディアンを先にいじってから後でタイルを置くという戦術をヴァイスさんが取る。いい猟場が後から出てきても他の人はすぐにインディアンを移動できないから独り占めできる可能性が高い。よい戦術だ。
 タイル置きに限らず全てのアクション選択で、自分のやりたいことを見透かされてしまうのは不利になる。いくつもの有効な選択肢があることを示しつつ、大事な一手は後にとっておきたい。
 結局、勝てる喧嘩だけ参加して後は独自の猟場を確保したヴァイスさんが1位。大きな猟場を巡って潰しあいを始めると、どうしても他のところが手薄になる。大小の猟場でのバランスの取り方がポイントになるようだ。(写真提供:ヴァイスさん)

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