ゆうもあゲーム会04/05/16

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ゆうもあゲーム会04/05/16

ブタの積み木 都内で月1回開かれているゆうもあゲーム会にスタッフとして参加。
 このゲーム会は、世界のボードゲームを広める会ゆうもあが親子連れを対象に全国5ヶ所で行っているもので、東京は第5回となる。大阪から始まった会で、東京で開催されるようになったのは最近。ゆうもあでは理事に名前を連ねさせていただいている私だが、恥ずかしながらゲーム会に参加するのは初めて。対象は3才以上だが、妻と2才になる娘を連れて参加する。

 『ゆうもあ』は、現在初心者に重点を置いて裾野を広げる組織として活動している。特にゲーム会はその方針が強く打ち出され、ゲームに慣れた大人(いわゆるフリーク)だけの一般参加は遠慮してもらうことになっている。それはボードゲームという未経験のものに初めて出会う雰囲気作りを重視しているためだ。訳知りのゲーマーが陣取っていては、初めての人が参加しづらい。
 理解はできるが普及させるターゲットをそこまで限定してしまうのはどうしてか、この方針がいまひとつ納得できないでいた私は、百聞は一見にしかずと参加することにしたのである。

 広くて大きな会場に遅れて着くと、すでに遊んでいたのは5家族ぐらい。スタッフは理事の草葉さんや滋賀から駆けつけた奥山さんなどのおかげで十分におり、それぞれの家族に入って説明しながら一緒に遊んであげる余裕があった。人手が足りなくて手伝わなければならないということは、当面なさそうである。
 こちらはまずゲームどころではなく、娘の応対に追われることになった。会場の隅にはスタッフが用意した幼児用遊び場があり、そこでテディーメモリーやブリオの線路セットで遊ぶ。受付に行っても娘が手を引いてあっちへ行こうという。そのうち支部長の北村さんがこぶたのレインボーレース(Russelbande)のブタの積み木を出してくれた。それを積み重ねてしばし遊ぶ(写真)。反対向きに積み重ねることができたりして、なかなか面白い。

 やがて家族が増え始めると、ひとまず娘は妻に任せてインストに回ることに。北村さんたちが用意したたくさんのゲームから子どもたちが選んだゲームはカタン。小学校中学年ぐらいだったと思う。他の卓ではカヤナックや、カイピラニアや、この窓どの窓?などを遊んでいるわきで、この選択には明らかに浮いている。しかも一緒に参加した親子はお母さんと女の子。いきなりの対象年齢ぎりぎりラインで遊べるのだろうかと暗雲が立ち込めた。
 しかしカタンは今や日本のゲーム。その面白さを何とか知ってもらいたいものでもある。ええいままよと、インストを始めることにした。資源の取り方、建物の建て方だけを1分で説明して、すぐにゲームスタート。初期配置は初期配置のときに、交渉は最初の手番のときに、盗賊は誰かが7を出したときに、チャンスカードは誰かが最初に買ったときに、港は家を建てる先を探しているとき、勝利条件はゲームが少し動き出したときにそれぞれ別々に説明した。交渉しやすいように、序盤は資源カード公開とした。

 だがそうした配慮はいらなかったかもしれない。子どもたちの飲み込みの早いことに舌を巻く。妻が娘を置いて池袋に出かけたので泣き叫ぶ娘をだっこしながらゲームの司会をしていたが、子どもたちは気にも留めず集中している。やがて娘は腕の中で眠りだした。そのうち教えてもいないのに足元をみた交渉を始める子どもたち。すごい。
 ちょっと気になったのはサイコロが飛び出さないようにする筒。これを使って、ついつい自分の好きな目が出るまで振ってしまうように見受けられた。筒がなければ1回投げて決まるのだが、手元で振っているとよくわからない。見るからに意図的であるとわかった場合は「もう一度振ろうか」とさりげなく注意できるが、意図していないのに注意されるのは心外だろう。私は、これが筒ダイスの欠点だと感じた。
 砂漠が中央にあるカプコンカタンのおかげで、10点、7点、5点2人と、それほど差が開かずに終わった。ダイス、交渉、建設、陣取りと、ボードゲームの要素がたっぷりつまったカタン、勝敗という結果は結果として、その過程自体を十分楽しんでもらえたと思う。最初何をしたらいいかわからなかった子どもたちの目がだんだん輝いてきたのが印象的だった。

 その後お母さんが「家からもってきたゲームを遊んでもいいですか?」といって出したのがなんとヒュドラ。ほとんど宣伝もなく、イエローサブマリンにひっそりと売られているゲームを親子連れが手に取っていたとは、これまた驚いた。しかもお母さんがインストできるというのでお任せする。カードはすでに混ぜられていた。そのテーブルではあとミッドナイトパーティが行われていた。

 眠っている娘を抱いてちょっと歩き回ると手持ち無沙汰にしている男の方がひとり。その方を誘ってインシュを遊ばせてもらう。

インシュ(Yinsh / K. Burm / Don & Co, 2003)Good

インシュ オセロのようにコマを裏返しながら、自分の色のコマを5つ並べる2人用アブストラクトゲーム。ギプフプロジェクトの第5弾。大局観がないためにアブストラクトゲームがひたすら弱い私ですが、コンポーネントの雰囲気とリングの中にコマを入れる、コマをめくるという行為に何となくカタルシスを感じ、楽しむことができました。今年発売されたドイツのゲーム誌では、新作の中で一番の評価を得ているそうです。

 最初ボードには両者5つずつ、リングを置きます。手番にはこのリングのいずれかにコマを1つ置いてから、リングを移動します。次にコマを置きたいポイントに移動するのがよいでしょう。リングは直線状に移動することができ、すでに置かれたコマを飛び越えることができます。コマを飛び越えた場合、そのコマが全部裏返ります。つまり白は黒、黒は白になります。
 自分のコマが一直線に5つ並んだら1ポイント。その代わり5つ並んだコマとリングを除去します。5つ並べることを3回、つまりリングを3つ先に除去した人が勝ちとなります。

 コマが並んでリングを除去すると、その分置ける場所が少なくなるので相手が少し有利になります。そのため勝負は最後までもつれ、圧倒的に相手が勝つというアブストラクトで屈辱的なケースが少なくなるように思われます。そういう面でもいいゲームだなと思いました。ですが勝敗は2回やって2敗。頭を使うところはいくらでもあります。写真は2回戦で私が負けたところ。つながりそうなところがことごとく黒に押さえられています。


 このゲームのプレイ中、となりの卓からお母さんがやってきて「面白そうなゲームですね」。私にはこれがまた驚きだった。こんなアブストラクトなボードを見ただけで、面白そうと興味を持つのはすごい。私はドイツ誌の評価が高いから遊んでみようと思い、しかも遊んでから初めて面白さがわかったのに、見ただけで面白そうとは。どういうゲームか説明をするとお母さんはわざわざ子どもを呼んできて、我々のプレイ風景を見学させていた。
 結局熱中するあまり閉会ぎりぎりまでかかってしまい、他のスタッフにはお待たせをしてしまった。申し訳ないばかりである。一緒に遊んでくれたKaさんは最後あざやかな手腕を見せて強かった。それとも、私が弱いだけかもしれない。娘は、結局閉会まで起きず、私の腕の中ですやすや。

 今回の参加で感じたことは、親子連れや子どもといっても、もはや初心者でないことが多く、また初心者として来たとしても1,2回の参加でたちまち初心者でなくなるということ。カタンを簡単に理解する子どもたちや、ヒュドラを持ち込む親子、インシュに興味を持つお母さんからそのことを強く感じた。
 そうだとしても『ゆうもあ』のゲーム会は初めての方に広く開かれていなければならないだろう。リピーターだけになってしまっては初心者を対象としているとは言えない。一度参加した人が他の家族を誘ってきて、その家族がまた楽しむ。このような連鎖がゆうもあの活動上大事なポイントといえる。
 しかしそれを達成するためには、一見さんだけでなく、リピーターも大切にしなければいけない。初めてでも楽しく、2回目以降でも楽しい。ゲームを理解すればするほど、さらに楽しい世界を用意しておかなければならない。もっともっといろいろなゲームを知りたい、また同じゲームでももっともっと楽しく遊びたい、そういう欲求は思いのほか大きい。
 というわけで、『ゆうもあ』の情報誌『シュピール』はさまざまな層のさまざまな要求に応えていかなければならない。初心者かフリークかという二項対立を超えて、もっと別の視点からターゲットを考えていく必要があるように感じた。

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