一昨日秋葉原でお会いしたかゆかゆさんをお誘いして土浦のKさん宅へ訪問。珍しいゲームをいっぱい遊びました。
クラクラ|タバイヤナ|ホーマスツアー|森のマイスター|クロンダイク|ヌアムート|ロブスター|ビラボング
クラクラ(Kula Kula/R.Wittig/Blatz 1993)
93年の年間ゲーム大賞・美術特別賞受賞作品。コンポーネントの美しいゲームに贈られる特別賞で、大賞設立の79年以来、97年までほぼ毎年授賞があったのですが、ここ5年ほどなくなってしまった賞です。コンポーネントが美しいだけでは不十分なのかもしれません。
このゲームも、コンポーネントに本物の貝殻が使われています。プレイヤーは島を巡りながら途中で巻貝を集め、その巻貝3つをタカラ貝1つに交換し、6つのタカラ貝を集めることを目指します。
移動は単純に1マス進むか、カードを引いて進みます。カードの中には「偶像カード」があり、これが出なければ何枚でも引いてその分だけ進めますが、これが出たらこの手番はノーカウントになってしまいます。
確実に1マスずつというように、のんびりと島を巡っていられないのは、一つには進めば進むだけ貝殻が拾えるというからと、他プレイヤーに追いつかれると貝殻を盗まれてしまうからです。勇気を持ってカードを引いて、運よく進んでいくことが必要です。なお、イルカさんはルーレットになっていて支持された番号のところに新しい巻貝が置かれます。
3人だと絡みが少ないのでのんびりムードでしたが、他2人が接近してお互いに損しているところでのんびりと貝殻を集められたKさんが勝利。
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タバイヤナ(Tabaijana/W.Kramer/Herder 1990)
「貴族の務め」が大賞を取った90年にノミネートされていたクラマーのやや低年齢向けゲーム。島が沈没していく中で自分の色の荷物を揃えて船に乗せることを目指します。
最初荷物は他プレイヤーの色と混在しています。ダイスを振って荷物を崩しながら移動していきますが、①移動する荷物の中に自分の色の荷物が入っているか、②移動せずに残った荷物の一番上が自分の色のどちらかでなければなりません。このルールを守りながら少しずつ荷物を積み替え、自分の色の荷物4つを揃えて船に乗せます。
どんどん沈没していく焦りの中、他プレイヤーの荷物が揃わないように気をつけながらパズルを解いていくように自分の荷物を集めます。ただし移動はダイスなので、思い通りに積み替えていくことはできません。3つや4つをを揃えたときの特典もありますが、結局ダイスがものを言います。
船がどんどん行ってしまい、全員負けかという厳しい状況の中、最後のマスに自分のコマを揃えて船を待ち、最後に見事にジャストの目で上がったかゆかゆさんが勝利。
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ホーマスツアー(Um Reifenbreite/R.Bontembal/Jumbo 1992)
92年の大賞受賞作品。であるにも関わらず、国内ではあまり知られていません。翌年が「ブラフ」、前年が「ドリュンタードリューバー」であることを考えれば、その知名度の低さに驚きます。もっとも、今年受賞10年を記念して再販されるとのことなので、もう少しは知られるようになるかもしれません。
さて内容は自転車レースでダイスで進んでいきますが、1プレイヤーが5人の選手を全て受け持つということで、コースは大混雑になります。「アベカエサル」の原理で前がつまっているとアウトコースを走るか、そこで止まらなければならなくなります。こうして団子状になっていったところで、アクシデントで「落車」など起ころうものなら、連鎖でみんな転んでしまいます。スリップストリームを使ったり、登坂路(赤い線)ではエネルギーカードを使ったりしながら、うまいコース取りをすることが必要です。
とはいえ、振るダイスは2個ですので進む数は2~12と差が大きく、さらに7が出るときに引けるチャンスカードも効果がばらばらなので、戦略云々よりも運の要素がかなり強いようです。特に集団を抜けて単独トップに踊り出ると、なかなか止められません。レースゲームということで比べると、戦略性としては「アベカエサル」が一枚上手のようです。
また、一瞬だけエネルギーが補充されるというドーピングのルールがありますが、6分の1の確率で出場5選手が全員失格になるというハイリスクに対して、1人の選手が1回だけ、少し進めるというローリターンぶりで、よほどの博打好きでなければ手を出さず、ゲームの要素としてはあまり機能していないと思います。
ダイス目に恵まれたかゆかゆさんがトップ。私は最後に欲が出てドーピングをしましたが、それが発覚して全員失格。
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森のマイスター(Waldmeister/A.Seyfarth/Hansim Glueck 1994)
「プエルトリコ」の作者ザイファルトが「マンハッタン」と同じ年に、同じメーカー(ハンス社)から出した意欲作。いたるところに「プエルトリコ」の要素がちりばめられており、作者がこのゲームを足がかりに、「プエルトリコ」に至ったことが推察されます。
道路や工場に汚染された禿山に植樹し、自然豊かな森にすることを目指します。各プレイヤーはそれぞれ山を持っており、そこに樹木を植えて育てます。終了条件は例によって3種類で、自分の山をすべて成木で埋めること、お金がなくなること、資源破壊チップがなくなることですが、資源破壊チップが全部なくなった場合、全員の敗北になる点が非常に大きなポイントです。
これは「皆で環境保護に取り組まないと、共倒れになるよ」という教育効果を狙ったものと考えられますが、敗色が濃くなると積極的に資源を破壊してゲームを終わらせようとするプレイヤー(テロに走る後進国のようなものか?)が出現してお寒いゲームエンドになることもあります。
さて、ゲームが始まると自分の森はどんどんダメージを受けていきます。排気ガス、工場の煙、酸性雨、害虫…ダメージが一定以上になった樹木は、枯れて種になってしまいます。その他、森林火災や暴風雨など、一瞬で種になってしまう凶悪なカードもあります。ダメージを取り除く方法(道路・工場の改良、益虫など)は少なく、また種は苗木を経て成木になるまで時間がかかるため、自分の山を全部成木にするのは至難の業です。
さらに、手番の行動を自分で決められないという点がまた営林を難しくします。手札から何枚かを選び、指名した他プレイヤーに裏向きのまま引かせて、その残りが自分の行動になるのです(自分の取り分を残さないという手もあります)。いいカードがあっても、他プレイヤーに引かれてしまえば自分用に使えません。ダメージを与えるカードを相手に食らわせるという方法もあるのですが、裏向きのまま引かせるのでランダムな要素が大きく、思ったとおりに行動できません。共存共栄でしのぐか、相手だけにダメージを与えるかという大まかな選択になります。
このような訳で忍耐の持久戦になるこのゲーム、同じハンス社が昨年出した環境保護ゲーム「利益・廃液」にも通じるところがあります。こういうゲームが好きというタイプがいるとは思いますが…。
今回は1時間くらい過ぎたところで、このままでは環境破壊チップがなくなってしまうことが判明し、それから1時間は協力しながらあわよくば出し抜こうという微妙な戦い方に様変わり。注意深く戦ったにも関わらず、最後にちょっとした油断から結局全員敗北という悲しい展開になってしまいました。
もっとも、プエルトリコと比較しながら遊んでみるのはとても楽しいと思います。いたるところに共通性がみられます。
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クロンダイク(Klondike/S.Rohner, C.Wolf/Haba2001)
砂金取りのアクションゲームで昨年の子供ゲーム大賞受賞作。袋からボールを3つ取り出して皿の上に乗せ、砂金(黄色)と石ころ(黒や灰色)をふるい分けます。見事石ころを皿の外に落とし、砂金を皿の上に残すことができれば自分の取り分です。
このふるい分けが容易ではありません。皿の上はボールが転がりやすく、油断していると全部落ちてしまうほど。3つのボールが転がる軌跡をじっくり観察しながら、頃合を見て「えいやっ!」とボールを落とします。
一方、他のプレイヤーはいくつ砂金が取れるか(=皿から落とさないで残せるか)予想して、砂金を賭けます。個数が当たれば砂金をもらえますし、外れれば取られます。砂金取りの腕前を見極めながら、「この人は上手だから全部成功するだろう」「この辺で集中力が切れそうだから、ひとつくらいは落とすかな」などと考えていくのもわくわくします。
なお灰色の小石が出ると、アライグマをもらえます。これを持っていると、袋から出したボールが全部砂金だった場合(ふるい分けはありません)に、分け前をもらえます。
コンポーネントの大きさに焦りました。皿もボールも結構あります。さすがハバ。なお下に張られたロープは、ずっと何に使うんだろうと思っていましたが、机の上から転がって落ちないようにするためのものだそうです。
かゆかゆさんが絶妙な手さばきで砂金をうまく集めて1位。得手不得手がありましたが、何回かやれば上達するのでしょうか?
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ヌアムート(Nur Mut!/J. Grunau/Ravensburger1996)
ラベンスバーガーのお手軽なカードゲームです。ローゼンベルクの「タイタス」と同様に表も裏も数字が書かれているカードで手札を出し切ることをめざします。
手番には自分の手札の一番上のカードを、3つの場札の上に出します。数がひとつ大きいか、ひとつ小さいカードでなければ出せません。出せなければパスするか、裏返しにして挑戦します。裏返しにして別の数が出たときに、それで場に出せればもう1回、出せなければ山札のひとつ(一番上にあるカードの数字が一番大きい山)を全部もらいます。早く手札を無くした人の勝ちです。
出せるのにパスをして後続を困らせることもできますが、全員パスすると最初にパスした人は強制的に裏返しにして挑戦しなければなりません。
2回やって2回とも私の勝利。運の要素の方がやや大きいようですが、その分だけ軽くてテンポもいいです。
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ロブスター(Die heisse Schlacht am kaltenBuffet / A. Randolph / Ravensburger 1990)
食卓をまわってご馳走を集めるゲーム。90年の大賞ノミネート作品で、ランドルフの名作と言われています。
手番にはダイスを振ってその数食卓をまわり、ゴールに着いたら食卓の上のご馳走を頂きます。ちょうどの数でゴールに着いたら2つもらえます。もらったらスタートに戻ってこれを繰り返します。
ダイスは3つまで振ることができ、進む数は(ダイスの合計数)×(振ったダイスの数)になる点。ところが、合計数が7を超えると1マスも進めません。つまり、最高で7×3の21マス進めます(これでちょうどゴールになっています)が、3つ振るのはリスクが高いという訳です。2個でも期待値は7ですから、リスクはまだ高いと言えます。
それでは1個のダイスでゆっくり進むのがいいのかというと、そうではありません。ご馳走が早い者勝ちなのと、ゆっくり進んでいると途中で他のプレイヤーに乗られやすく(同じマスに来た場合、後のプレイヤーが上に乗る)、そのままゴールに入ると、そのプレイヤーしかご馳走がもらえないからです。
後半は一発逆転を狙って3つ振りが増えます。最後のご馳走が「ロブスター・7点」です。簡単なルールなのに、大いに盛り上がる好ゲームです。
かゆかゆさんがちょうどの数でゴールしまくって、優勝。私は1度だけ、3つのダイスで7を出したところで運が尽きたようでした。
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ビラボング(Bilabong/E.Solomon/Franjos 1994)
カンガルーのチームがお池の周りを1周するレースゲーム。「ヒュレ7」「ブラックボックス」などパズル系ゲームで知られるソロモンの作で、94年の大賞ノミネート作品です。
「プレイ時間・30分」とあったので軽い気持ちで始めたものの、アブストラクトに近いノーラック・ゲームで、頭を非常に使いました。カンガルーは他のカンガルーを踏み台にして縦横斜めに飛びます。2つ離れているところから飛んだら2つ先へ着地、3つ離れていれば3つ先へ着地します。連続ジャンプも可能で、着地先の近くに適当なカンガルーがいればどんどん飛んでいくことができます。
ジャンプしないで1マスだけ移動することもできます。これは次のジャンプへの準備をする場合に用いられます。
最初に5匹のカンガルーを1周させたプレイヤーの勝ちです。あまり先に進みすぎると後から来るカンガルーの踏み台にされてしまうし、遅すぎると踏み台がいなくなってしまいます。適度に絡みながらある程度まとまって進んでいくのが正解になるでしょう。
かゆかゆさんがこの手の才覚を示して1位。先の先ぐらいまでは読んでおかないと勝てないゲームです。