第151回となり、新しい歴史を刻み始めた水曜日の会に今週も参加。水曜日の会の王決定戦のレーティングは引き続き行われており、夕方にほぼ満席と大いに賑わっていた。
この会で驚くのは、ほとんど毎回初参加の方がいらっしゃることである。そして話を伺うとたいていプライベートでも遊んでいるという。ボードゲームには何人か集まらないと遊べないという特性がある。プライベートで遊んでいる人がやがてミクシィのコミュニティでこのゲーム会を知り、足を運ぶ。ボードゲームが意外に広まっていること、そして次々と人がリンクしていくことに興奮を覚えた。
その一方でボードゲームには勝敗を決するという特性があり、遊ぶうちにムキになってしまい、おせっかいや負けず嫌いをしてしまうこともある。当然されたほうだって面白くない。そういうネガティブなスパイラルに陥らずに参加者がみんな楽しんでいる卓には、必ず細やかな気配りをしている人がいる。水曜日の会はそんな人たちが支えているのだと思うし、私も少しずつ見習っていきたいと思う。
チケットトゥライド カードゲーム|ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔|ロッテルダム|ゴーストップ|熟語バスケット|天九牌
チケットトゥライドカードゲーム(Ticket to Ride Cardgame / A.R.ムーン / デイズ・オブ・ワンダー, 2008)
どの列車に乗ったか覚えておくこと!
2004年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作がシリーズ5作目(北欧マップを除く)でカードゲームになった。再びアメリカを舞台に、旅行者の争いが繰り広げられる。
今度はボードがないから、目的地カードに必要な列車がかいてある。短距離なら例えば緑1枚と黄色1枚、長距離だとそれが4枚ぐらいになり、同じ色が複数あるものもある。はじめに数枚の目的地カードを持ってスタート。
列車カードの引き方はボード版と同じで山札と場札を選んで引く。出し方が変わっていて、同色3枚以上(ジョーカーの機関車含む)か、別の色で1枚ずつ3枚を自分の前に並べる。
ただ出しただけではまだ確定しない。手番の最後に各色1枚ずつ、裏にして確保できるのだ。確保する前に、同じ色のカードをほかの人が枚数多く出してしまうと全部捨てなければならない。無事に自分の番までカードを残すことができるか、調子がよさそうな人のカードを捨てさせることができるか。
確保したカードはもう安全だが、今度はゲーム終了まで確認できない。どんなカードを何枚確保したか、どの目的地カードが達成されたか、だいたい覚えておかなくてはならない。ところが目的地カードをさらに追加するとしたら……どんどん曖昧になっていく記憶。「黒は1枚余計に取っていたかなぁ?」このプレイ感覚はローゼンベルクの『マンマミーア』と似ている。
最初に多めに取った目的地カードはおおむね達成できたと思ったので、余分に取ったと思われる分だけ目的地カードを追加してみた。これがアダとなり達成できずにマイナス。目的地別にもらえるボーナスも振るわず最下位。記憶の要素が取り入れられた分、早い者勝ちをめぐる駆け引きはなくなったが、とにかくカードを捨てさせあう争いがゲームをエキサイティングにしている。
ロードオブザリング・二つの塔(Der Herr der Ringe – Die Zwei Türme / R.クニツィア / ラベンスバーガー, 2002)
備えあれば憂いなし
ゲーム内容はこちら。直前の戦いにばかり備えず、2つ先、3つ先の戦いの用意を徐々に揃える体制が大事だ。かといってポイントの高い戦いを捨てては高得点は望めない。ポイントに応じてほどほどに戦う場面と、全力投入する場面を選択する手腕が試される。いくらカードを溜め込んでも、同じところでカードを溜め込む人がほかにいれば努力は実りが少ないかもしれない。
今回は序盤では先の戦いのカードを集め、終盤では最終決戦の手を抜いてその前に力を注ぎこんだのが奏功して1位。最終決戦では果たしてみんなが10枚以上を出して熾烈な戦いを繰り広げていた。ちょうど場に出しているカードと同じものを、しかもガンダルフ付きで引くなど引き運にも恵まれた。戦う場所をバッティングしないようにする読みと、引き札によって臨機応変に戦術を変える柔軟性。映画版権の関係で日本では発売されずじまいだったのがつくづく残念である。
ロッテルダム(Rotterdam / H.v.トル / ザゲームマスター, 2007)
繊維を積んだ船が漂流
船に積荷を積んで工場まで届け、製品を集めるゲーム。日本に紹介されていないオランダのゲームマスター社が昨年のエッセンで発売した。ゲームバランスが危うい感じがするにも関わらず、全体として楽しいゲームになっているのがすごい。
手番にはまずタンカーに好きな材料を載せて出航させる。出航した船は、プレイヤーが選んだ色にしたがって港湾を進む。ここが面白いところで、その色の航路がある船は、誰のものであれ全部進んでしまうのである。その結果、繊維を積んだ船が石油工場に突入したり、果実を積んだ船がパン工場に入ったりと漂流しまくり。もちろんほかの人が邪魔するように色を選ぶからだ。
無事に材料と同じ工場に入れた船は製品がもらえる。繊維工場では服か靴、パン工場ではパンかクッキーというように2種類ずつあり、どちらがもらえるかはカードを引いてみてのお楽しみ。それだけでも得点になるが、予め配られたミッションカードに示された製品を全部揃えればボーナスがもらえる。ミッションカードを揃えるため、いらない製品をプレイヤー同士で交換してもよい。
航海の途中ではイカリマークに止まるとアクションカードがもらえる。ほかの人の船と積荷を交換したり、どんな製品にもなったり、いきなり2点になったりと効果は強力でヒヤヒヤするが、製品が思うように集まらなくても最後まで逆転に望みをかけられるだろう。
配られたミッションカードが繊維主体だったので繊維工場を目指すが漂流ばかりの私。おじさまさんはパン狙いでパン工場を目指すがひたすらクッキーばかり。その間、船のたくみな位置取りでアクションカードを引きまくっていたタナカマさんが一気にミッションを達成し1位。色を1つ選ぶと何隻もの船が一度に動くのが楽しかった。
ゴーストップ(Go/Stop / 澤田大樹 / B2F Games, 2008)
裏の裏をかく
バッティングしないように数字の大きいカードを狙うゲーム。B2Fゲームズから発表し続けている澤田氏の作品で、数年前に発表されていたがこのたび少量が再販された。シンプル極まりないカードとは裏腹に、バラエティあふれる展開が楽しめる。
各自の手札にはマークが書いてあり、本命札は1枚しかない。1~10のカードを1枚ずつめくり、そのわきに全員が自分のカードを裏にして出す。どこで本命札を出すかは自由。
こうして数字カードが5枚出たところでみんなが出したカードをめくってチェックする。本命がいなかったり、本命がバッティングした場合にはスルー。また1枚カードを置いて、そのわきに各自自分のカードを出しておく。本命が一枚だったときが決勝だ。一番数字の大きいカードに、一枚だけ本命を出している人の勝ち。1は10に勝つというルールがあり、小さい数字でも侮れない。
数字の大きいカードは人気が高いからバッティングしやすい。でもみんなそう思って裏をかこうと数字の大きいカードに本命を出していないかもしれない。それならば裏の裏をかいて数字の大きいカードに出そうか……お互いの顔色を伺いながらカードを選ぶ面白さ。狙いが見事に決まってみんなに一泡吹かせたときの爽快感。実によいゲームである。
途中までよたろーさんとバッティングしまくっていたが、裏をかくのを止めて裏の裏をかいてみたところ3本連続奪取で1位。
熟語バスケット(Jukugo Basket / 久居つばき / ビバリー, 2008)
熟語トランプを使った『ワードバスケット』。前に出された漢字カードとつなげて熟語になれば、早い者勝ちで出すことができる。漢字の順番を守るとどうしても熟語ができない場合が多いので、逆順でも熟語になってればOKとした(学→文で「文学」など)。
何度か誰もカードを出せずに交換し続ける難しい場面があったが何とか終了。最少失点で1位となった。よたろーさんが変な熟語を次々と発明していたのがウけた。「女流」はあるけど「男流」はないんだなぁ。
天九牌(Tien Gow Pai / 伝統ゲーム / グランペール, 2006)
天九牌にはさまざまな遊ぶ方があるが、そのうち前の人が出した数を受けて牌を出し、出せなければ失点になる長天を遊ぶ。カウンティングをしたり、弱い数字を徹底的についたりすればまだ深みが増すのだろうが、そこまで考えずに出しても十分楽しい。最後の牌がピタリと合って出せたとき、失点を防げた嬉しさはたまらない。
失点を5で割って端数を切り捨て、その差分だけチップをやり取りするというルールを採用。大負けしても十分立ち直ることができ、僅差になるのでエキサイティングだった。