2週連続の秋葉原。リクエストしたゲームをもってきてもらって堪能した。ほうぼうに遊ぶ環境がない場合、遊びたいゲームは買わなければいけないことが多い。でもユーロ高の今、遊んでみてから買うかどうか決めたいのが人情である。そんなとき、このゲーム会でリクエストすれば多数の参加者の誰かが持ってきてくれる。珍しいゲームでも遊べることが多い。そういう意味でもたいへん重宝する会である。
グレイハウンズ|かくれんぼオバケ|ストーンヘンジ拡張ノクターンよりスターゲイト|同・太陽と月
グレイハウンズ(Greyhounds / B.ブルンホファー / マテル, 1987)
これだから犬は分からない
ハンス・イム・グリュック社の社長B.ブルンホファー氏が20年前に発表したゲーム。1986年にドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされ、翌年マテル社から再販された。その頃の経緯はこちらを参照。社長はずっと編集者に徹していたが、偽名で発表した『サンクトペテルブルク』が大人気を博し、今年もまた偽名で『石器時代』を発表している。
ドッグレースがテーマのこのゲーム。馬と違って犬は気まぐれだ。いきなり突進したかと思うと、途中で道草を食ったり。そんな気まぐれな犬たちの中から、どの犬が一番になるか予想できるだろうか。
各自1匹ずつ担当する。まず手札からスペックの調査。カードの合計数が大きい犬からオッズが決まる。そして用紙に予想を書く。予想は単賞、2位以内、連勝複式の3種類があり、確率が低いほどオッズも上がる。持ち金を好きなように賭けたらいよいよレーススタート。
第1レースは1周のみ。全員カードを出して、一番高い数字を出した人の犬だけが次に高い数字を出した人との差分だけ進める。いくら高い数字を出しても、ほかの人も高くてはあまり進めないというわけだ。
同じマスにいる犬同士はカードを同時に出すが、差がついたら前にいる犬から出していく。後にいる犬は、前の人の出したカードを見てから出せるので有利。したがってトップをとってもまず逃げ切れない。中間あたりからさすのがよさそうだ。カードは6枚。何周かすればお互いのカード内容も覚えてくるだろう。今回は低いカードでやり過ごして、みんなの高いカードがなくなったあたりで一気に……というのは、みんなが考えていることである。
1着から3着まで賞金が出て、あとは予想が当たればオッズにしたがって配当。これがなかなか当たらないんだ、もう。自分の犬に賭けて頑張るのが基本だが、カードプレイの巧拙でいくらスペックが高い犬でも走るとは限らない。
第2レースは2周。カードの出し方は同じだが、数字の高い順に1,2番の犬が3番目に高い数字との差分だけ進む。第3レースは3周。上位3人が一番低い人との差分だけ進む。だんだん進み方は派手になっていき、レースの展開も先が読めない。ゴール前のデッドヒートが熱い!
月斎さんと私は予想が結局1回も当たらずすっからかん。ギャンブルとはそんなものである。優勝は単賞を2回も当てたまつもとさん。
かくれんぼオバケ(Gespenstisch! / M.シャハト / ハバ, 2006)
逃げたかと思ったら
鬼とオバケがお互いに部屋を予想しながら追いかけっこ。対象年令4~8才というシャハトの子どもゲームだが、大人が遊ぶとまるで様変わり。高度な心理戦が楽しめる。
まず鬼がひそかに部屋を1つ決める。続いてほかの人は自分のオバケを移動。自分がいる部屋から通路でつながっている部屋にしか移動できない。ルールでは必ず移動しなければならないようだが、大人向けに移動しないでそのままいられるという選択肢も用意した。
みんなの移動が終わったら鬼が予め選んでおいた部屋を公開。その部屋にいたオバケは驚かされたことになり、チップを1つ捨てなければならない。「バァ!」というとよいだろう。鬼を交替して続け、誰かのチップがなくなったら終わり。
大人がやると必要以上に相手の心理を読みたがる。前回はこちらを選んだから今度は反対側かとか、前回は動かなかったから今回は動くかとか。鬼が部屋を公開するときはドキドキの瞬間だ。捕まってしまうと読みが外れた悔しさも手伝って本当にドキッとする。
子どもと遊んでもよし、大人だけで楽しんでもよし。子どもゲームにも、こうした作品がときどきあるからドイツゲームは奥が深い。
ストーンヘンジ拡張ノクターンよりスターゲイト(Stargate from Stonehenge: Nocturne Expansion / B.カタラ、S.ラジェ / タイタニックゲームズ,2008)
最後は一か八か
著名デザイナーが考えた、同じコンポーネントを使って遊ぶゲームアンソロジー『ストーンヘンジ』。5つのルールが入っているが、このたびさらに4つのルールが拡張として発売された。それが『ノクターン』である。今回もヴレーデ、カタラ&ラジェ、ルーニーなど錚々たる顔ぶれである。大き目の箱の中に入っているのが5,6人用のコマだけで追加ボードもチップも入っていないというのは「拡張」としてどうかと思うが、同じコンポーネントで遊ぶという点にこだわったのであろう。
「スターゲイト」はフランス人のデザイナーコンビ、カタラとラジェによる作品。親が持っているカードを、消去法で推理していくゲームだ。子は順番にボードにコマを置いて、置いたマスの要素が親のカードにあるかを尋ねる。要素は色、数字、夜か昼か。1つでも合っていれば親は「マル」と言い、1つも合っていなければ「バツ」にする。1回だけ答えたくないときにドルイドを置いて回答拒否できる。
これを8回以内に推理して先の段階で当てるほど高得点になるのだが、選択肢が広くてとても難しい。今回は5人が親をやって、全員で話し合いながら予想したのに正解者はゼロ。最高でも2~3択にしぼりこむのがやっとである。
ゲームに慣れるにつれて写真のように1と2のところに集中して置いて絞り込む作戦になった。写真では「白・1・夜」と「白・1昼」のどちらもマルなので、白か1のどちらかはあるということが分かる。次に「青・2・夜」がバツなので昼であることが分かるが、まだ広い。「青・2・昼」はドルイド。白だけだったら選択肢は狭められるが、1だったら10代全部が入るので(10の位か1の位かは関係ない)まだまだ予想できない。白でないことが分かってもダメなのである。ここからの絞込みはかなり頭を使う。(正解は黄・10・昼)
予想がワンパターンになる割には絞り込みにくく、あれこれ考える割には最後は一か八かなのでいまひとつ。
ストーンヘンジ拡張ノクターンより太陽と月(Celestial Confrontation / from Stonehenge: Nocturne Expansion / K.J.ヴレーデ / タイタニックゲームズ, 2008)
貯めて一気に
同じく『ノクターン』からヴレーデの作品。『カルカソンヌ』の作者だが、それ以外のゲーム(『ドラゴンライダー』、『王冠と剣』、『ポンペイ』など)はあまり高く評価されていないと思う。
2対2でチームを組んでストーンヘンジの建設合戦を行う。上記の「スターゲイト」もそうだが、『ストーンヘンジ』の中には一番のコンポーネントであるストーンヘンジを使わないゲームもある(何を考えているんだろう?)。拡張にしてやっとテーマに忠実なゲームがあったというところだ。
5色のカードから1色を出してコマを進め、建設ゾーンまで来れば建設ができる。ただし建設するにはほかのコマを追い越さなければならないのと、建設コストがどんどん高くなっていくので独りではなかなか達成できない。そこでパートナーとの協力だ。
補充したとき自分の前にカードを公開すればパートナーの建設で利用してもらえる。必要枚数がどんどん増えていくのでこの協力が大事。相手チームに建設の先を越されてしまうと、その色で公開しているカードは捨て札になってしまう。貯めて貯めて一挙に得点しようとしていると、相手チームがさっさと出してしまって無に帰すこともある。捨て札にならないようにするにはあまり公開しないでおくのも手だが、それだと相手が利用しにくい。このジレンマがいい!
よたろーさん・むらたさんコンビとまつもとさん・私コンビで対戦。抜きつ抜かれつの攻防だったが、最後に貯め込んだカードを一挙に放出して勝利。建築コストが高くなってみんながカードを貯めに走る終盤はややだれるが、パートナーと相手チームを互いににらみ合いながらのカードプレイは面白かった。