いつもは夕方に帰らなければいけない秋葉原だが、予定が変わって夜までいることができた。日中はせいぜい3卓ほどで回っているが、17時を過ぎるころからどんどん人が集まってきて、全部で9卓あるイエローサブマリンのほとんどを埋め尽くしてしまう。30人くらいになるのではないだろうか。目が回るほどだが、これほど愛好者がいるというのは嬉しい。
パトリツィア|庭小人商会|私の世界の見方|トール|エチゼン|バルバロッサ|4 in 1よりニエット|ドラゴンパレード
パトリツィア(Patrizier / M.シャハト / アミーゴ, 2007)
とりあえずパトリツィア、ってことに
説明も楽だし時間も短い。それでいて悩みどころがあり、ドラマもある。コマもカードも最少限だから準備も後片付けも楽。初めてでも、1回遊んで感触を確かめてからもう1回遊べばだいぶコツがつかめるだろう。そんなわけで水曜日の会ではこのところよく遊ばれているゲーム。ドイツ年間ゲーム大賞の審査員が相変わらず『ズーロレット』を遊ぶ層をターゲットにしているならば、『パトリツィア』もおそらく来年の年間ゲーム大賞にノミネートか推薦されるのではないだろうか。
ゲーマーには場をコントロールする感覚が薄くて物足りなさを感じるかもしれないが、オーソドックスなドイツゲーム式の陣取りに新しい可能性を開いたものとして注目したい。
庭小人商会(Gartenzwerge e.V. / R.マター / アルゲントゥム出版, 2004)
交配して金のドワーフを作れ
庭ではたらくドワーフたちには実はランクがあった。つがいを組んで交配し、上位ドワーフを作っていくカードゲーム。
プレイヤーは自分のドワーフにお見合いをさせる。お相手はほかのプレイヤーから入札で獲得。一斉にチップを握ってオープン。手番プレイヤーは上限を提示し、その中で一番安い金額を提示した応募者にお金を払ってドワーフを借りる。一方余っているドワーフを交配に提供するには、逆に手番プレイヤーが下限を提示し、その中で一番高い金額を提示した応募者からお金をもらってドワーフを貸す。同時公開で上限・下限が設定される競りのシステムは秀逸だ。
交配に使うドワーフのランクによって引ける山が異なり、その中にさらに上位のドワーフが入っている(ハズレもあるが)。こうして手に入れた新しいドワーフでさらに交配を進め、最終的に金のドワーフを獲得した人が勝ち。
競りを効率よく進めるお金のマネージメントと、交配の引きの両方が楽しめる面白いゲームである。やすやすさんがとんとん拍子で上位ドワーフを手に入れ優勝。ドワーフの♀はヒゲが生えているというのを聞いたことがあるが、2匹を交配部屋に入れるときの気持ちは複雑である……。
私の世界の見方(Wie ich die Weld sehe… / U.ホシュテトラー / アバクス, 2004)
女性入っても下ネタか!
パーティーゲームなので、男女混じって遊ぶのがやはり面白い。男だけで遊ぶと下ネタ合戦になってしまうことがあるが、今回は女性が入ってもなお下ネタ合戦。それだけ水曜日の会のメンバーが打ち解けているということか。多人数で2ゲーム遊んだ。
「○○は△△にとても悪い影響がある」……「強烈なガス臭」は「セックス」に!
「私があの世に行ったら、最初に○○と出くわすと思う」……「本物の男」!
「となりで寝ている人のいびきがうるさい?○○で解決さ!」……「高圧電流」!
トール(Tor / R.クニツィア / アミーゴ, 1995)
ゲーム終了間際が熱い
サッカーをテーマにしたクニツィアの2人用カードゲーム。同じデッキの手札から1枚を一斉に出し、数字の高いほうにボールが移動する。相手のゴールに入れば1点。こうして手札がなくなるまで続け、点数の多いほうが勝つ。
カードは1~13があり、13は9以下のカードに負けるというルールがある。数字の大きいカードをどこで使うかがポイント。先に出しすぎても後からいいようにされるだけだし、出し惜しみしていては後で追いつけない。
よたろーさんと勝負。裏の裏をかいてカードを出し合うのがしびれる。序盤に少し大きめのカードで攻め、1点を先取。後は攻めるふりをして防戦に回ったが、前半終了間際に1ゴール。
1対1で折り返した後半は……続く。
エチゼン(Echizen / bone5 / 骨折ゲームズ, 2006)
汗をかいたほうが負け
水曜日の会では同人ゲームはプレイされないが、時間調整によたろーさんとエチゼン。小さいタイルの両端に人差し指を置き、押したり引いたりして、相手の指を先に離れさせるというアクションゲームだ。タイルにおサルさんの絵が描いてあり、笑いを堪えながらのシビアな戦いになる。
3本勝負で2勝1敗、私の勝ちー。たかが指一本なのに、1戦1戦がものすごいスタミナを使うゲームで、えらく体力を使った。
バルバロッサ(Barbarossa / K.トイバー / カタン有限会社, 2005)
分かりそうで、分からない
粘土で何かを作って、その何かを当ててもらうクイズゲーム。88年の年間ゲーム大賞受賞作品が、コンパクトな廉価版となって再販された。ゲーム内容はこちら。新版の変更点はこちら。特にゴーストのマス(ほかの人が2マス進む)がなくなったのは、クイズに集中できるとてもよい改良だと思う。
一斉に作品を公開してみたら、私の作品(赤)がずば抜けて具体的。早速当てられまくって後退。一方、イオリさんの黄色とひびきさんの白の抽象度が高くて苦戦。お互いに当てられなくなってからが結構手間取ったが、推理と直観を精一杯はたらかせつつ、あーでもないこーでもないと喋っているのはこのゲームならではの楽しさだ。
なお正解は赤がキャンプファイヤーと人形、青がプロペラとおたまじゃくし、白が物干し竿と花瓶、黄色があさりと角笛。終わってから言われてみればなあんだというのがまた楽しい。
4 in 1よりニエット(Njet aus 4 in 1 / S.ドーラ / アミーゴ, 2007)
5人でもできるようになりました
幻のトリックテイキングゲームを集めた『4 in 1』に収録された『ニエット』。手札を見ながら消去法で切り札やスタートプレイヤーを決めるのだが、何を消したかが手札の内容を知る手がかりとなり、カードを出し始める前から熱い戦いが楽しめる。ゲーム内容はこちら。
もとは3~4人だったが、今回のリメイクで5人まで遊べるようになったのは注目すべきところだ。ルールを決めるボードもこれに従って若干変更された。
- 伏せるカード枚数の中に「0を含めない」「全員2枚をとなりに渡す」を追加
- トランプ色なしも選択可能に
- 得点倍率にミゼール(取るほどマイナスに)が追加
特にミゼールの追加は大きな変更で、思惑がさらに複雑に絡み合う。
今回は3人で勝負。1人対2人になるけれども、1人で勝てば得点が倍増する上に、得点倍率を下げることで差をつかなくする手もあり、4人のときと同等以上に十分楽しめる。皆がスタートプレイヤーを自分で消す弱気な展開。そこでカードが強いときは親になり、弱いときは強い人と組んで得点を稼いだ。今度は新境地である5人でやってみたいものだ。
ドラゴンパレード(Dragon Parade / R.クニツィア / ズィーマンゲームズ, 2007)
心理戦なんですが
ゲーム内容はこちら。最終的にもっていきたい方向とは逆から動かすのがひとつの手だが、今回は皆がそれをやり始めたからたいへん。あちらこちらとぶれると、思い切ったところにコマを置きづらい。中央付近にコマが集まる中、一か八かの勝負をかけたところにうまい具合にはまり1位獲得。最後の1枚で皆が微調整のため出したカードが全て同じ方向で、ドラゴンが暴走したのには笑った。群集心理は、ひとりひとりの心理とは全く変わることを示すゲームである。