秋葉原水曜日の会 06/03/01
このサイトの読者にはミクシィに入っていない方もいらっしゃると思うが、ミクシィは友人の招待によって参加できるクローズドなネットワークで、この会はその中で立ち上げられた集まりである。ミクシィに参加していなくともこの会は毎週水曜日開催されているので立ち寄ることができるが、参加者はたいてい、ミクシィでお互いのプロフィールや今回持ち込まれるゲームを確認している。
おかげで初対面でもある程度話が通じるし、話したければさらにつっこんだ話もできる。仕事上の人脈よりも多彩で、出会いが自分自身の喜びとなり、肥やしとなる(「出会い」といってもたいてい男ですが)。趣味人として心を通わせていると、そこが自分の居場所になっていく感じがするものだ。
バトルライン|フォレロッテ|手抜き工事|ミュー|シンシナティ|私の世界の見方
バトルライン(Battle Line / R.クニツィア / GMTゲームズ, 2000)
2人用のカードゲームとして国内でも高い人気を維持している。手軽に遊べ、選択が悩ましく、展開が多様という、よいゲームの基本的な条件をよく満たしているからであろう。くさのまさんお持ち込み。
9つのピンの両サイドに、交互に1枚ずつカードを出す。3枚になった時点で、より強いフォーメーション(同色、連番)になっていたほうがピンを獲得(3枚未満でももう無理という状況では勝負が決まる)。ピンを3つ連続か、半数以上取れば勝ちだ。
あまり早々と3枚並べて役を確定するのは得策ではない。相手がそれを見てより強い役を当ててきたり、特殊カードで勢力を崩したりする可能性があるからだ。だからあと1枚ですごい役ができそうなところで止めておき、相手を威嚇する。ここの駆け引きがゲームの面白いところ。
終盤になるにつれて勢力が明らかになっていくが、威嚇しておきながら最後の1枚が来なかったり、特殊カードに崩されて敗残兵になったりと最後まで油断ができない。終盤ほどタイトに、盛り上がっていくのでゲームが引き締まる。
くさのまさんが私の3タテチャレンジを退けつつ、その間に別の戦場にもつぎ込んで5:4で勝利。最後まで勝敗が見えない戦いだった。
フォレロッテ(Volle Lotte! / 作者不明 / アバクス, 1994)
天国から地獄へ
ダイスを使ったバーストゲーム。途中でやめればそれまでの得点が入るが、目が出なければ全てはパーになってしまう。あまり話題には上らないが、すでに10年以上も前からいまだ販売されている隠れたロングセラーである。くさのまさんお持ち込み。
カードをめくると、その手番のボーナスなどが指示される。たいていは「フォレロッテ(6つのダイスを全部得点にする)でボーナス」というカード。1と5は単独で得点になるが、それ以外は同じ目を3つ出さなければならない。振り直しは何回でもできるが、得点になる目が出ないとバーストする。
幸いにしてフォレロッテを達成すると、さらにもう1枚カードをめくってチャレンジができる。ここでの落とし穴がレッドカード。このカードを引いた人は、ダイスを振る前にバーストしてしまうという問答無用、情け容赦なしのカードだ。調子に乗ってきてもう一声、というところでレッドカードを引く悔しさは、うなだれた首が腹にくっつくほど。
ほかにもストレートを作らないといけないカードや、バーストなしでフォレロッテまで安心して振れる花火カードなどがあって、ゲームに緩急を持たせている。
よたろーさん、ずーあーさんがいいところでレッドカードを引きまくる展開。お二人は負けっぷりも見事だった。残されたくさのまさんと私のデッドヒートは、最後までトップが誰か分からない展開だったが、ちょっとだけ欲を出した私が負けた。
細かい役はなく、得点計算がすっきりしているので純粋にダイスロールに集中し、そのその結果に皆で一喜一憂できるよいゲームだと思った。カードゲームの箱でコストパフォーマンスもよい。
手抜き工事(Pfusch / H.ビルズ、P.グートプロード、R.クレーン / ファンコネクション, 1992)
あの人の気持ちがよく分かる?
マスコミではもはや旬を過ぎた感があるが、耐震偽装事件を先取りするゲームがドイツで15年近くも前に発売されていた。鉄筋を抜いでビルを建てれば抜いただけ儲かる。あとは監督庁にばれないかどうかだけが問題だ。
「手抜き工事」の1ヶ月は、粘土コネコネフェイズから始まる。この粘土でつくるユニットの中にキューブ(鉄筋)を入れてもよいし、入れなくてもよい。外見だけ、入れたか入れなかったか分からないように作る。さも中に入っているかのように見せかけるにはちょっとした器用さが必要だ。なおお互いに見えないようにするため、塀を立ててある。
できあがったら建築現場に運んで積んでいく。2階建てで完成する住宅から、4階建てで完成するビルまで、どこに建ててもよい。ハウスルールとして、高い建物ほど完成させればボーナスがもらえることにした。
次は査察官を決める競り。一斉に賄賂チップを出して、1番多額の賄賂をしていた人物が査察官となる。建設中のビルに脇から串をブスリ。突き抜けたということは、鉄筋が入っていなかったということ。そのビルには撤去命令が下される。ちなみに、完成してしまえばもう査察は入らないので、住民は安心(なのか?)。
これを12ヶ月。4月には長雨のため建設できず査察だけがあり、8月には夏休みのため建設だけやって査察は来ない。鬼のいぬ間の洗濯、好き放題手抜きできる。
ゲーム終了時には、完成した建物のユニットは1つ100,000マルク、手元に残った未使用の鉄筋は1つ50,000マルク。査察をくぐりぬけていても、大真面目に鉄筋を使いまくったのでは勝てない。しかし、撤去命令は3回食らうとゲームから脱落してしまうから、黒に徹するのもよくない。
私の建物は中盤にかけて2つも撤去されてしまった。あと1つ撤去で脱落になってしまう。しかしみんなここは大人だからむごい真似はするまい、お上にも慈悲はあると思ってその後一切鉄骨を抜くことにした(おいおい)。ところが、最終ラウンドまで賄賂がもたない。それで最後の査察官が私のところに来た。ぶすーっと。破産である……。
1位は「鉄筋がいかにも入ってそうな」ビルを2件も建てたよたろーさん・図工は5かと思われたが、思いのほか本当に鉄筋を使用していることが判明。代わって抜いたのが、住宅建築を手がけて小まめに完成させ、適度に鉄筋を抜いたプラティニさん。タナカマさんは大きいビルが崩されてしまったが、完成したビルの造形は壮観だった。
粘土をこねる喜びに加えて、1位を追い落とそうとする思惑が絡み合ってゲームとしても楽しい。ただ惜しむらくは、油粘土で手がものすごく臭くなることだ。今度は小麦粘土にでもしたい。
ミュー(Mü / D.マテウス、F.ネステル / ドリス・フランク, 1995)
トリックテイクの酸いも甘いも知り尽くした方へ
マニア好みのメーカー、ドリスフランクがずっと前に発表したカードゲーム集。6つのルールが楽しめるが、本日はその筆頭にあたるミューをプレイ。タナカマさんお持ち込み。
2人ずつチームになるナポレオン式のトリックテイキングだが、始める前に競りをして親を決める。手札が強そうだと思ったら、カードを一番多く公開して親を名乗り出るのだ。
親になると、チームを組んだ相手と規定ポイントを獲得しなければならない。カードに書かれた▲マークを、競りで公開した枚数に応じて集める。多く公開するほど自信がある証拠とみなされ、それだけ多く集めなければならない。相手チームはその規定ポイントに達しないよう妨害する。
トリックテイクの特徴は、切り札でリードされたら、切り札でマストフォローするという点。色か数字で2つの切り札が設定されるため、どの切り札が出てくるか読めない。そんな中で獲得ポイントを読みきるのはほぼ不可能に近い。手札をざっと見た感触で「この色(数字)が切り札にできるならばいけそうかな」ぐらいの予想をし、あとは運を天に任せて全力で戦うといったところか。規定ポイントが高く設定されればされるほど、ボーナスも多い。
4ディールやって、強い札に恵まれた私がほどよく主導権をよく握ることができて1位。昔と比べてトリックテイキングにはだいぶ慣れたつもりだったがそれでも先が見えない。ただでさえ敷居の高いトリックテイキング、チーム戦なので盛り上がりはいいが、難易度はさらに高いと見た。
シンシナティ(Cincinati / R.シュタウペ / アミーゴ, 2006)
シュタウペが今年発売したダイスゲーム。カジノさながらの本格的なダイスカップ、ポーカーチップ、フェルトのシートが目を引く。お値段も結構なものらしい。草場さんお持ち込み。
まず3つのテーブルに賞金が配られる。次に全員、手持ちの5つのダイスをカップに入れて振り、ひそかに見て、どのテーブルにつくかを決める。どのテーブルにつくかは、賞金金額とダイスの出目次第だ。
Aのテーブルでは、目を揃えて競う。最低スリーカード(同じ目のダイス3つ)で参加でき、出目の大きさと揃った数で勝負する。
Bのテーブルでは、目を並べて競う。最低ミニストレート(連続するダイス4つ)で参加でき、同じく出目の大きさと並んだ数で勝負する。
Cのテーブルでは、合計数の小ささを競う。11以下で参加でき、小さければ小さいほど強い。
誰とも重ならなければ条件を達成すれば賞金ゲット。2回まで無料で振り直し(それ以上はチップを払う)できるので、達成はあまり難しくない。ただし、選んだテーブルがバッティングすればより強い役を求めて決戦。賞金額の多いテーブルは激戦区になるだろう。
そのほか、「対決カード」を取った人は一人指名してサシで勝負できる。勝てば賞金横取り。
今日はあまり欲を出さないのがいいのかダイス運がついていて、ありえない出目が続出。賞金がどんどん貯まる。対決を申し込まれても斥けて1位。選んだテーブルごと、当事者同士で処理していくので、全員でわっと盛り上がる場面がなく、自分が選んでいないテーブルは蚊帳の外に置かれるのがちょっと寂しい。バッティングしてこそ盛り上がるので、このゲームは5、6人で遊びたい。