秋葉原水曜日の会 05/10/19

秋葉原水曜日の会 05/10/19

一ヶ月ぶりの秋葉原。12時から14時ごろは1卓程度だが、15時ごろからどんどん人数が増えていき、TRPG卓を完全に圧倒していた。平日の昼間に来られるというのは主に販売関係・自営業・学生だが、中には無理やり時間を作っていらっしゃっている方もいるようだ。
 ゲーム経験があまりない人向けに始められた会だが、これだけ多くなれば多様性も出てくる。長時間ゲームを除けば、卓分けによっては難易度の高いゲームを選ぶこともできるし、昔の定番をいまさらと言われずに遊ぶこともできる。この多様性は、水曜日の会がサークルという形式を取らない緩い集まりだからというだけではなく、参加者ひとりひとりの懐の広さによるものでもあるだろう。
 水曜日の会の参加は自由。ミクシィに入っていれば参加者の顔ぶれや遊んだ感想を読むことができるが、ふらりと立ち寄ってもよいだろう。ただそろそろ心配なのは、満席になって遊べない人が出てくるのではないかということと、あまりの盛り上がりにイエローサブマリンが有料化を検討し始めることのふたつである。

パイレーツ|建築作品(バウベルク)|ポイズン|ニース|ペグドミノ|ミックス|デルファイアカバ

パイレーツ(Pirates! / R.クニツィア / ラベンスバーガー, 2005)

パイレーツ欲しい物は自分の努力で得る

城塞を陥落させ、宝を奪い帰る海賊たちの熱い戦い。海賊は根が盗人であるからして、横取りも辞さない。このサバイバルの覇者は、ダイスロールで決まる!
 クニツィアの最新作だがラベンスバーガーの非ドイツ向け商品で今年のエッセンでは発表されていない。船、海賊、大砲、宝のコマは(一部他のゲームから流用しているようだが)雰囲気を盛り上げるのに十分で、これだけ豪華なコンポーネントなのにドイツで発売されないとは不思議だ。
 根本はダイスゲームだ。船を移動して城塞に着いたら、ダイスを振って出た目の海賊や大砲を除去できる。全滅させればお宝ゲットだが、させられないと反撃にあうだろう。城塞からの反撃も(左どなりの人が)ダイスを振って出た目の海賊や大砲を除去する。
 この宝は港に持ち帰らないと自分のものにならない。ところが帰り道には、横取りを狙うほかの海賊たちがうじゃうじゃ。海賊同士の戦いもダイスの振り合いだ。宝を死守したものの船がぼろぼろになってしまったところに、漁夫の利を狙って次の船が襲い掛かる。海の荒くれ者たちに仁義などないのだ。最後に規定数の宝を持ち帰った人の勝ち。
 船の装備をアレンジして移動力や攻撃力を変えることができるが、戦略性云々よりもダイス一振り一振りで盛り上がるというゲームだ。クニツィアのダイスゲームとしてはグラディエーターを髣髴とさせる。

 手稲さんが先行して宝を増やしたものの、当然の如くみんなから付け狙われる。三艘で次々と襲い掛かるさまはすさまじかった。私ははじめダイス目に恵まれず城塞をなかなか陥落できなかったが、そこでマークが外れたのが幸いし、少しずつ貯めこんで最後に逃げ切った。直接攻撃が熱いゲームなので、やられると落ち込む性格の人には向かないだろう。ルールはシンプルなので、ゲーム経験の少ない人と手軽に盛り上がりたいというならばOKだ。(写真提供:タナカマさん)

ポイズン(Poison / R.クニツィア / プレイルーム・エンターティメント, 2005)

我慢と度胸のはさみうち

クニツィアのシンプルなバースト系カードゲーム。マッドサイエンティストたちが薬品を鍋にぶち込んで怪しげな飲み物を作る。鍋がいっぱいになったら飲むこと! おいおい、毒が入っているぞ! 最後に彼らの体はどうなってしまうんだろう……。
 薬品(手札)は赤・青・紫の3つ。3つの鍋があって色ごとに分けてぶち込んでいく。緑色の毒はどの鍋に入れてもよい。鍋にたまった薬品の数値を14以上にしてしまった人は、鍋にあった薬品を全部引き取る。これを繰り返して手札をなくすまで続ける。
 引き取った薬品は全てマイナス1点。毒はマイナス2点。プラスはない。この人たちは本当にお互いを傷つけあうためだけにやってるんだ……自分だけ助かろうとしながら。
 でも、色ごとに一番多く薬品を引き取った人は、薬品の秘密の効果でその色の薬品を全部捨てることができる。百尺の竿の先から一歩踏み出した者に与えられる栄光。でも、それを知ったマッドサイエンティストたちは、同じ色の薬だけを集めようと腐心し始める。すると当然その色の薬には毒が投げ込まれることになるのである。

 鍋は3つしかなく、いずれもすぐにバースト寸前の状態になるため、自分の手番に選択肢はあまりない。小さい数字のカードがあればそれを出して回避するか、それがなければ毒が入っていない鍋のカードを引き取るか、自分が集めている色のカードを引き取るか。
 もちろんそこでハラハラドキドキするのもよいが、すこし先回りして考えてみるとなかなか面白い。つまり、鍋がまだ一杯になっていない状態から、自分や他の人が集めている色を予想して、自分が集めたいものはもう一周するようにわざと小さい数字のカードを入れたり、他の人が集めている色には最初からどんどん毒を投げ込んでみたり。さらに、プレイヤーの人数回数やることになっているので、前節までの成績を見てトップ目にいる人をみんなで協力して邪魔しあうというところまで行けばかなり戦略的なゲームになってくるだろう。

私の手札は毒だらけ。それをうまく活用できず、自分で引き取ったりしているうちに最下位に沈んだ。オール・オア・ナッシングがよくて中途半端はダメというルールから生まれるジレンマはクニツィア独特の味わい。クニツィアの作品はアメリカで人気があるようだが、ドイツ語版なしに発売されるのは珍しい。閉塞気味のドイツに対して、活気をもち始めたアメリカや日韓での展開はこれからも注目される。→Boardgamegeekの写真

デルファイ(Delphi / G.ブルクハルト / ハイデルベルガー, 2002)

あちら立てればこちらが立たず

ギリシャ神話の聖地デルフィを舞台に繰り広げられる神々の戦いを描いたカードゲーム。トール、コルザールと並んで細長い箱で発売された3作の中のひとつ。
 基本システムは数比べだが、ゲームの進行はきわめて斬新だ。はじめ全員一斉にカードを出してオープン。次に、出したカードが一番弱かった人がカードを出す。カードの数字を合計して強弱を比べ、その結果一番弱かった人がカードを出す。こうして強さを競り上げていくのだが、競争に疲れたら途中で棄権してもよい。棄権した順にビリから順位が決まっていく。最後まで勝ち残れば1位だ。得点はビリだけマイナス、あとはプラスで1位が最も高い。
 この「ビリから出していく」というルールが秀逸だ。心理的なプレッシャーを作り、ゲームに緊張感を持たせている。
 だったら全力で臨めばいいかといえば、そうではない。手札は8枚で、3ラウンドを戦わなければならない。1回の戦いに投入できるのは平均で2~3枚だけ。しかも、後のラウンドになるほど得点も大きくなる(マイナスも)ので、強力なカードはできるだけ温存しておきたいのである。
 この「カードを配分して戦わなければならない」というルールはエレメンツにも見られるが、プレイヤーに短期的・長期的戦略性を要求し、ゲームに深みを持たせている。
 しかしせっかく強いカードを温存してもそれが必ずしも使えるとは限らない。高得点のカードを除去するカードや、他の人の得点を半分にしてしまうカード、さらにもっと激しいハプニングを起こすカードなど、特殊カードが結構あるのだ。もちろん、それを逆手にとって少ないカード枚数での一発逆転もできる。
 この特殊カードが戦略を転覆させることもあり、予期できない展開が楽しめる。

この手のゲームは最終ラウンドにみんな戦力を投入してくるため、その1つ前のラウンドが勝負だとにらんでいた。最終ラウンドは負けなければよいだろうという作戦である。しかし、かなり手薄な状態で迎えた最終ラウンド、みんなの力が想像以上に強くてビリに沈み、それまで溜め込んだポイントを削り取られて2位。1位は経験の力が冴えたRaelさん。参加者一同、「これほしい!」とお気に入りのようすだった。→Boardgamegeekの写真

アカバ(Akaba / G.ホフマン / ハバ, 2004)

やってる方は必死だぜ

イチジク型のふいごをつかって空気を送り、ボード上でコマを進め、お宝を集める子どもゲーム。今年のドイツ子どもゲーム賞だが、フリークが選ぶ子どもゲームだからあてになるかわからない。
 ボード上には柵があって、そこをよけながら進まなければならないのだが、柵に突進して飛び越えようとしたり、しまいにはふいごで柵を吹き飛ばしたりと普通の子どもより幼いプレイが続出(あ、オレだ)。途中からそういうズルは反則ということになった。
 どこに何の宝があるか覚えておくという記憶の要素も少しあるが、基本はアクションゲーム。隣りの人がサイコロを振ってゾロ目が出るまで続けられることになっており、焦りながらふいごをプコプコ押しているさまは見ていて楽しい。一方やっているほうは必死。頭は真っ白だ。そういうゲームを大人がするのも、たまにはよいかもしれない。→Boardgamegeekの写真

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