昨日の記事では世界で1年に1000タイトル以上の新作が発売されていることを見た。その中には、エッセン・シュピールにヤポンブランドなどがもちこんだ日本の作品も含まれている。海外からも注目される日本のボードゲームが増えている状況である。それでは、日本の新作タイトル数はどれくらいあるだろうか。
資料は日本ボードゲーム大賞(NPOゆうもあ主催)の新作リスト。こちらもドイツ年度に合わせて、前年の秋から当年の夏までを1年としているので、前のエントリーとあわせて見ることができる(ただしこのリストでは拡張セットを含めていないので、拡張も加えれば数はもっと増える)。新作リストでは、国産・日本語版+多言語版・訳つき輸入版を分けており、その内訳を見るのも面白い(内訳がなかった2008年、2009年については独自に調査)。
さらに、当サイトで毎回行っている新作評価アンケートをもとに、ゲームマーケットの新作タイトル数も加えた。こちらも国産ではあるが、当日会場で売り切られ、一般発売されない同人作品が多くの割合を占めるため、日本ボードゲーム大賞のリストとの重複は限定的である。
これらを足し合わせると、この5年、右肩上がりで増え続け、昨年は500タイトル以上の新作ボードゲームが日本で発売されたことが分かる。うち6割がゲームマーケットで発売された新作であり、輸入ゲームより同人ゲームが注目されるのも自然なことといえよう。そして世界で発売された作品のうち、日本に輸入された作品の割合は例年約20%。とても1人では遊びきれない数ではあるが、それでも約8割は日本で一般発売されないままとなっている。
注目は日本語版・多言語版のリリースで、2008年は8タイトルしかなかったのが、2013年には52タイトルまで増加した。6倍以上の伸びである。「日本語版ブーム」といわれた2010年は確かに前年の14タイトルから2倍以上の30タイトルに増えているが、そこから3年連続で30タイトルをキープし、さらにもう一段増えたのはものすごい。2014年も既に半年で30タイトル近くがリリースされており、昨年並みの水準になることは間違いなさそうだ。
日本語版・多言語版の伸びに対応して、訳つき輸入版が減少しているが、これは切り替えの結果であると見られる。従来はあまり売れる見込みがなく、訳つき輸入版が多かったところが、最近は売れる見込みが立って日本語版・多言語版を注文するようになったためであろう。それだけ日本人ユーザーが増えていることを伺わせる。
世界と比べて急激な新作の増加率と呼応しているのが、ゲームマーケットの参加者数・出展者数である。東京で行われている年2回のゲームマーケットの合計を集計したところ、次のようなグラフとなった(ゲームマーケットが年1回だった2010年までは、ゲームマーケットの前身であるテーブルゲームフェスティバルの参加者数・出展者数を加えてある)。
昨年と2008年を比べると、日本で発売される新作タイトル数は2.7倍、ゲームマーケットの出展者数は3.4倍、参加者数は5.4倍となっている。世界で発売された新作タイトル数は1.2倍だったことと考え合わせると驚異的な伸びである。日本は今、ボードゲームの新興国となっている。