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日本ボードゲーム大賞2024に『ワイルドバイキング』『あいうえバトル』

NPO法人世界のボードゲームを広める会「ゆうもあ」は3月16日、日本ボードゲーム大賞2024を発表した。選考部門「ゆうもあ賞」に『ワイルドバイキング』、投票部門に『あいうえバトル』が選ばれた。

選考部門は近年発売のボードゲームを対象にゆうもあ内の選考委員で、投票部門は前年1年間に日本国内で新発売された作品を対象にウェブ投票で選ばれている。今年で23回目。

選考部門「ゆうもあ賞」はボードゲームをあまり遊ばない家族や、初めてゲームを買おうと考えている人向けに、親子でも大人だけでも楽しめ、広く流通しているものを選ぶ。大賞の『ワイルドバイキング』のほかに、ノミネートとして『あいうえバトル』『ミスターダイヤモンド』『六華』が選ばれた。

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投票部門は昨年12月から今年2月まで、約2ヶ月にわたってネットなどで行われ、26都道府県から78名(昨年比-39名)が参加した。各自ベスト5まで記入できる方式で、1位5点、2位4点、3位3点・・・として集計。1位は『あいうえバトル』(幻冬舎版)で、『キャット&チョコレート』『ラブレター』に続く13年ぶり3回目の国産ゲーム1位となった。国産ゲームでは選考部門、投票部門の両方に『あいうえバトル』『六華』が入賞している。

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【日本ボードゲーム大賞2024】
選考部門「ゆうもあ賞」
大賞:ワイルドバイキング(Wilde Wikinger)
ノミネート:あいうえバトル(AIUE Battle)
ノミネート:ミスターダイヤモンド(Mister Diamond)
ノミネート:六華(Rikka)

投票部門
1位:あいうえバトル(AIUE Battle)52点(得票率23.08%)
2位:ハーモニーズ(Harmonies)51点(得票率:16.67%)
3位:ファラウェイ(Far Away)49点(得票率:19.23%)
4位:スレイ・ザ・スパイア:ボードゲーム(Slay the Spire: The Board Game)46点
5位:六華(Rikka)43点
6位:ドラダ(Dorada)37点
7位:コーヒーラッシュ(Coffee Rush)35点
7位:スカイチーム(Sky Team)35点
9位:アクワイア(Aquire)29点
10位:ミスターダイヤモンド(Mister Diamond)29点

NPOゆうもあ:日本ボードゲーム大賞2024 ゆうもあ賞 決定
NPOゆうもあ:日本ボードゲーム大賞2024 投票部門 発表!

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ヒストリーオブ自民:シゲル疾風編(History of Jimin)

1票の相場は5億円

吉田茂から石破茂まで、9つの時代(ラウンド)にわたって自分に割り当てられた人物に票を集めて総裁を目指す。社会派ボードゲームデザイナー、北条投了先生の昨秋の新作。票の売り買いは億円単位、交渉自由、特殊能力や政局カードによる逆転(またはお金を払っての阻止)もあり、3時間かかったけれど最高に楽しめる。

毎ラウンド異なる登場人物の山札から1枚ずつ引き、自分の担当する人物が割り当てられる。人物によって力の差があるため、気に入らない場合は他プレイヤーに押し付けてもよい。とはいえ、総裁になるには実力以上にカネが必要で、総裁にならなくてもキャスティングボードを握ることによって十分に戦える。

幹事長役のプレイヤーが順番に名前を読み上げるので、担当している人物が読み上げられたら人物を公開して手番を行う。手番には、人物カード効果・イベントを発動させ、いずれかの総裁候補に投票する。このとき、自由に交渉して金銭を授受できるところが面白いところで、告発などの効果を使わないための口止め料だったり、1票を買いつける競りになったりする。「これで私を首相に!」「そんなはした金、受け取れませんな」みたいなやりとりが楽しすぎる。票を集めても、「浜田幸一」「五人衆の会合」などの政局カードによるどんでん返しも起こるので安心できない。

こうして全員の手番が終わったら得票数を合計して総裁を決める(同数なら名声値、それも同じなら後手番を優先)。総理になると大きな名声が加わる。これを9ラウンド行ない、人物の名声、派閥を多く集めるともらえる派閥ボーナス、お金1億円につき1点を加えて勝敗を決める。

交渉ゲームのため、9ラウンドが公称60分で終わるはずもなく、しかも終わってからも興奮の感想戦が続いた。私は吉田茂・田中角栄・中曽根康弘を引いたが生かせず、総裁になれたのは小泉純一郎で1回のみ。しかし2大対立候補のキャスティングボードになって、総裁の名声に匹敵する大金をせしめたり、趨勢を見て鞍替えすることで票を2回売ったりできた。第9ラウンド「時代は誰を求めるか」では、親子3代パワーをもつ河野太郎に小林鷹之が票を売り、その票を石破茂がまとめて買い取ろうとしたが一票及ばず、高市早苗が薄氷の勝利を収めたが、一番儲けたのは高市を担ぎ出した岸田文雄だったという、本当にありそうな(?)展開となった。ボックスパッケージでの再版希望。

ヒストリーオブ自民 シゲル疾風編
ゲームデザイン:北条投了/芸無工房(2024年)
2~6人用/60分
通販:ディスカバリーゲームズ