ニュルンベルク玩具見本市2008~ゲーム編(5)
ギズボーン|デウカリオン|セレンディピティ|ミスタージャック拡張|地底探検|砂漠王国にて|スルタン|黄金時代
ギズボーン(Gisborne / C.ロッシ / クレメントーニ, 2008)
君の行く道は
ニュージーランドに入植した開拓者たちが未開の土地を突き進んでいくすごろくゲーム。もともとクレメントーニはイタリアの会社で、イタリア人作者であるロッシとの親交からこのゲームが生まれた。
ボードははじめ全部明らかにされておらず、進むにつれて先が追加される。そのため最初に走っている人は得点になるマスに止まれるか、はたまた得点を失う狼などのマスにとまれるかは調整がきかない。でも得点計算が起こったときは最初の人ほど有利というわけで、順位調整が大切だ。進み方が早いゴールドカードは補充ができず、中ぐらいのシルバーカードは1枚、ゆっくり進むブロンズカードは2枚補充という選択も悩ましい。
確保したカードを入れておくカード入れが馬車になっていて素敵だ。
デウカリオン(Deukalion / A.シュタインヴェンダー、W.レープシッツ / パーカー, 2008)
ダイスを見て割り振る
パーカーの「デザイナーゲームシリーズ」は、クニツィア、クラマーと来て第3作目はコンテストを行ったという。採用されたのはドイツ人デザイナー。写真はこちら。
手番プレイヤーはダイスを専用カップで振ってボード中央に置く。これによってそれぞれのアクションがどれくらいできるかが決められる。『イスファハン』のような感じだが、ダイスは各アクション1個で偏りが少ないだろう。
アクションは航海・入植・探検・ヒドラ退治など。選択にあたってはダイス目と同様に、ほかの人の進み具合もよく見ておかなくてはならない。先行して勝利点をあげるにはどうしたらよいか、ダイスの偶然性とは裏腹に戦略性の高いゲームである。
セレンディピティ(Serendipity / M.エッター / ドライマギア, 2008)
たまたま同じだったラッキー
テーブルに並んだ六角タイルをめくって交換しながら、自分の色のをできるだけ多くつなげるゲーム。それだけのルールながら、ほかの人との駆け引きで戦略が生まれる。
タイトル「偶然がもたらす利益」の元になっているのはジョーカーの存在。何色にでもカウントすることができ、自分のエリアが広がって得点を増やすことができる。でもそれは自分ばかりとは限らない。思わぬ幸運がほかの人から転がり落ちてくる場合だってあるのだ。
戦略とめくり運をうまく配合したゲームで、子どもだけでなく大人も楽しめるだろう。
地底探検(Reise zum Mittelpunkt der Erde / R.ドーン / コスモス, 2008)
道具を駆使して
好評のコスモスの文学ボードゲームシリーズ。今回はR.ドーンがデザインしており、本のテーマだけでなくシステムもきちんと作りこまれている。
基本はすごろくで、アイスランドの火口から出発し、洞窟、地底湖、火山を通って地上に帰るというコースになっている。洞窟と地底湖は複雑な地形を、道具カードを駆使して通り抜けていく。道具は4種類で穴や渦を通過できるロープ、岩を崩して進むつるはし、斜めに進める時計、2回進めるカードがある。一寸先は闇、どのマスで道具を獲得し、その道具をどれくらい効果的に使いこなせるかが鍵だ。特に最後の火口は通過がかなり難しいぞ。
プレイ時間は75分。この時間から見ても単なるすごろくではない。さあ、冒険に出発だ。
砂漠王国にて(Im Reich der Wüsstensöhne / K.トイバー / コスモス, 2008)
広いオアシスはどこに
トイバーは『カタン』で有名だが、『エントデッカー』もずいぶん売れている。最初のゴルトジーバー版は8万、コスモスの『ニューエントデッカー』は5万売れたという。昨年発売された2~4人用のエントデッカー「玉の王国にて(ImReich der Jadegöttin)」の続編となる。
最初は縦横に走る十字のタイルからスタートする。好きなところに移動して、タイルを引き絵柄が合えばオアシスを広げていける。そのオアシスにキャラバンを置いて占拠し、産出されるアイテムを獲得して得点にする。アイテムの得点もゲーム中に変えられるようになっており、たくさん集めたからといって高得点になるわけではない。
子どもでも遊べるようにと『エントデッカー』から難易度を下げ、1時間以内で遊べるようになった。ただしエントデッカーの持ち味である戦略性は十二分に確保されている。
ミスタージャック拡張(Mr. Jack Extension / B.カタラ、L.モーブロン / フリカン, 2008)
強烈な個性がずらり
フランスの有名ゲームデザイナーコンビがスイスのメーカーから発売し、ヒットした2人用推理ゲームの拡張である。新たに5人のキャラクターのほか、しつこく職務質問する刑事コマが追加された。
5人のキャラクターは逃げ足が速かったり姿を消しやすかったりと凶悪。これらが犯人の場合、見つけるのは難しいだろう。
刑事コマは犯人ではないが、これに捕まるとしばらく動けない。追いかける側にとってはありがたい存在だ。
もう製品は完成しているが、発売はまだ少し先になりそうとのことである。
スルタン(Sultan / A.ザッツ、S.ハラバン / ファランクス, 2008)
競りで宝石集め
『手荷物検査』のブラジル人デザイナーコンビの作品を、オランダの会社ファランクスが発売した。もとはブラジルのポルトガル語版(Riquezasdo Sultao)がある。
はじめに全員に配られる15枚のデッキはみんな同じで、1~15のお金である。この中からランダムに5枚取って、ラウンドの持ち金とする。
手番プレイヤーは袋からランダムに宝石を出し、3つの売り場に並べる。そして順番にカードを裏に出し、めくったときに金額の高かった人が宝石をゲットできる。一度使ったカードは使えないから、高いカードの出すところはよく考えよう。
集めた宝石は種類によって価値が違い、また同じものを集めるとボーナスが入る。合計を高くするには、高い宝石を狙うばかりでなく、安い宝石をたくさん集めるという手もあるだろう。シンプルで悩みどころの多いゲーム。
黄金時代(Goldene Ära / L.コロヴィーニ、G.バウ / ファランクス, 2008)
17世紀オランダ
イタリアのゲームデザイナー、L.コロヴィーニが仲間のイタリア人と共同作品で5月か6月ごろに発売を予定している作品。各エリアを文化・芸術・交易・植民で発展させ、勝利点を得る。王様が外周を回ってエリアを指定し、そこで各プレイヤーが指定されたアクションを行う。詳細は続報を待ちたい。
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