山形ボードゲームクラブ 06/07/08

山形ボードゲームクラブ 06/07/08

山形ドライブ 先週鶴岡で開かれた庄内テーブルゲーム研究会に引き続き、今度は天童で開かれた山型ボードゲームクラブ定例会に参加。実家から鶴岡までは片道100キロ、天童は片道60キロで、往復とちょっとしたドライブになっている。
 山形の道路は、歩行者や自転車がほとんどおらず、信号もあまりないため景色を楽しみながらスムーズな運転ができる。写真は白鷹町から朝日町に抜ける国道287号線の風景。
 開始時刻から1時間ほど遅れて到着すると、すでに5人2卓が立っていた。後から来た方を入れると、13名ほどの盛況ぶり。庄内から4名、宮城から5名も来ていただいたのが大きい。21時半まで、後半は3卓に分かれて思い思いに好きなゲームを遊ぶことができた。
 終わってからはレストランで24時までトーク。17日発表になる大賞の予想とか、最近ボードゲームのホームページで定期的に更新しているところが少ない話とか、サイト管理者が絶賛した直後に仲間がヤフオクに出品して儲けるのはインサイダー取引じゃないのという話とか(笑)。

ゴールドラッシュアプ・ディ・ポスト万里の長城サイクルレースベネチアの仮面舞踏会バイソン

ゴールドラッシュ(Goldrausch / R.クニツィア / HiG, 1990)

ゴールドラッシュ山師は先?後?

大量の金脈を狙って山師を配置するカードゲーム。カードゲームながら第1回ドイツゲーム賞(1990)で5位を獲得し、90年代のクニツィアの活躍の足がかりになったゲームである。ルールはコンパクト、ジレンマは全開。
 山札からカードを引いて場に並べていく。金鉱を掘るキャラクターは6種類あり、それに対応した列になっている。キャラクターカードならば決められた列に置き、金カードならば好きな列へ(ただし、原則としてキャラクターカードがある列に置く)。キャラクターカードを置いたら、その列に自分のチップを置いて所有を主張できる。カードが全部置かれたらゲーム終了。列ごとにいくら儲かったかを計算し、チップを置いている人で分け合って収入となる。これを4ラウンド繰り返して一番儲けた人の勝ち。
 先にチップを置いて、その列に金カードをどんどん置いて育てていく方法が堅実だが、あまり儲かりすぎると他の人に贋金カード(0点)を置かれて潰される恐れがある。反対にチップを後から儲かっている列に置いて一攫千金を狙おうにも、そのキャラクターカードがこないとチップを置けないから、下手をするとラウンド終了までチップを置けないままになるかもしれない。どのタイミングでチップを置くかは、カウンティングに基づいた確率計算と山勘が必要だ。

いろいろ考えても、引きのいい人にはかなわない。ゑびなさんが高価な金カードをどんどん引いてきて自分の列に置いていく勢いのよさ。鴉さんと私は、一攫千金を夢見て残しておいた最後のチップが置けなくて手元に残る「ニート状態」。「オラ!働けよ!」などと突っ込まれた。カードを1枚引くごと、チップを1つ置くごとに大盛り上がり。

アプ・ディ・ポスト(Ab die Post! / H&H.ヒューバー / ゴルトジーバー, 1996)

アプ・ディ・ポスト落ちる!落ちる!

詳細はこちら。人数が多いと、それだけ嵐になる可能性が上がるので、準備万端で出発したつもりでも、連続の嵐で自分の番がまた回ってくるころには墜落していたなんてことも。そのためカードを溜め込んでから出発する安全策を取る人が多かったが、乗客を乗せて1位になるには、そんなことでは間に合わない。
 嵐一発で落ちる覚悟で上空をどんどん飛ぶmuraさんが1位になった。私は1回の嵐ならOKというくらいで安定飛行していたが、1位を1度も取れず3位。
 飛行機レースを飛ぶか落ちるかのギャンブルゲームにしてしまう発想がすばらしい。

万里の長城(Chinesische Mauer / R.クニツィア / コスモス, 2006)

潰しあいは漁夫の利を招く

万里の長城の建設で手柄を立てて、始皇帝から褒美をもらうカードゲーム。クニツィア最新作。「サムライ」などに見られるクニツィア得意の数比べシステムが、ちょっとした特殊カードで味付けされて新味を出している。
 各自同じ構成のデッキから5枚を引いて手札にする。自分の番にはカードを置く/引くを2回。つまり置く・置く、置く・引く、引く・置く、引く・引くという4種類の行動ができる。
 1周してきて再び自分の番になったとき、いずれかの列で単独最多をキープできていれば褒賞チップを獲得。さらにもう1周して単独首位をキープできていれば2枚目の褒賞チップももらえる。1周する間に誰かが単独首位の座を奪ったら、今度はその人が単独首位を1周奪われないかのチェック。
 各列は、カードの数字の合計で競うのが基本だが、枚数勝負にしてしまう「貴族」、相手のカードに上書きしてしまう「ドラゴン」、2回のアクション外で置ける「騎士」、同じ列にいればいるほど可算的に強くなっていく「戦士」がいて、ゲームをドラマチックにしている。

最初にたくさんのカードを出し合って意地をかけた泥仕合をすると間違いなく勝てない。その間に他の人が別の列をほしいままにしてしまうからだ。競り合いになったとき、全力を尽くして勝ちに行くのはあまり得策でないように見えた。しかしどこで勝負から降りるか、あるいは相手を諦めさせるか、初回プレイではまだよく分からない。もっとクレバーな戦い方をしたい。

万里の長城

サイクルレース(Um Reifenbreite / R.ボンテンバル / ジャンボ, 1992)

サイクルレースツール・ドフランスで

詳細はこちら。1992年のドイツ年間ゲーム大賞で、2002年に10周年で再販もされたが、あまりよい評判を聞かない。それはこのゲームには基本ルール、発展ルール、プロフェッショナルルールが付属しており、発展ルールまで入れても物足りないが、プロフェッショナルルールを全部入れると煩雑になるという問題があるのかもしれない。ルール調整が必要なのだ。
 今回入れたのは最優秀選手に送られるイエロージャージと、通過ポイントごとに得点が入るツール・ド・フランスまで。つまり点数表に記入できるだけのルールというわけである。ただしうドーピングは、リスクが高い割に効果が大きくないので採用せず、チャンスカードから出てきた場合だけにした。
 QTAさんが序盤からのエネルギーカード投入と怒涛のダイス目で圧倒的に1位。2つのダイスの合計で進むので2~12と開きがあり、1位がゴールに入るころには最下位集団はまだ第3ポイントも通過していないというぐらいの開きがあった。しかも7で出てきたチャンスカードには天と地ほどの差があるので、レースをコントロールしている感覚は抱きにくいかもしれない。それでも、チーム戦なので全体で上位に入れば、1位を取っていなくても優勝はわからないので、運に翻弄されながら盛り上がり、最後までだれない展開となった。自転車レースが好きな方に。

ベネチアの仮面舞踏会(Maskenball Venezia / Z.アッツェル / アドルング, 1999)

お互いのジェスチャーを当てっこするという尋常でないコミュニケーションゲーム。前回のレポートはこちら。今回は12人で挑戦。
 もちろん全員のジェスチャーを覚えきるのは無理だとしても、2、3人の分だけしっかりマークして確実に抑えることと、ウロウロ移動しながら、目線が散るタイミングを狙ってジェスチャーを仕掛けることで、高得点を稼ぎ出す人もいた。
 ゲーム中はニヤニヤ、そして何か変なジェスチャーをする人が出るとゲラゲラ。お互いに顔をうかがっている雰囲気が恥ずかしくもおかしかった。

バイソン(Bison / W.クラマー&M.キースリング / ファランクス, 2006)

バイソン食べ物の恨みは恐ろしく

インディアンたちが土地を確保して食料を奪い合う陣取りゲーム。大賞コンビのクラマーとキースリングが、オランダのメーカー・ファランクス社から発表したもので、大賞にノミネートされた「マハラジャ」の後継作となる。中箱ながら、ゲームの遊び応えは十分。
 各ラウンドにプレイヤーは4つのアクションを行う。アクションは、

  1. タイルを置いてインディアンを投入する
  2. 家を建てて平原や山地の影響力を挙げる
  3. カヌーを作って川の影響力を挙げる
  4. 1箇所にインディアン集合
  5. インディアンを1マス移動
  6. インディアンを3マスまで移動

以上の6種類。各アクションは1ラウンド1回ずつ。いろいろできるように見えて、やれることはシンプルで少ない。ただし、それぞれのアクションにいくらインディアンを投入するかによって、消費する食料が増えるのでリソース管理に注意が必要だ。
 順番に1回ずつ、4つのアクションを行ったらラウンド終了で得点計算。平原(バイソン)、山地(鳥)、川(魚)という地形があり、同じ地形でつながっているところは1つのエリアとして、家、カヌー、インディアンの数を比べる。1位にはそのエリアにいる動物全部の食料ポイント、2位はその半分、3,4位は自分のコマが置かれているタイルにいるだけの動物。家とカヌーはもちろんのこと、インディアンも数は非常に限られているので、カツカツな中での陣取り合戦はかなり頭を使う。
 勝敗は、最終ラウンドが終わった後の得点計算で決まる。前のラウンドまでに獲得していた食料を一旦リセットして、最終ラウンドだけで手に入った食料ポイントの合計で勝負する。最後の最後に置いたインディアン1人で逆転されることも十分あり、気の抜けないゲームである。

中央の大平原をおさえた夢さんと長い川をおさえた私が序盤好調だったが、中央は競争率が高く、中盤からは辺境の地に居座った神尾さんとpsy10さんが伸ばし始める。勝敗は最終ラウンドまで分からなかったが、後手番有利も手伝って夢さんが大猟場を占領し1位になった。たったの4ラウンド、16アクション×4人なのにゲーム時間2時間弱。タイルの引き以外に運の要素はないので、相手の出方を読んで好手を探すのには長考派でなくとも自然に時間がかかってしまった。でもゲーム中の考える苦しさは、楽しさでもある。

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