ボードゲームシンポジウムのチラシをメビウス、ジョイフルハイパー、イエローサブマリンに置いてきたついでにゲーム会参加。正確に言えば、チラシ置きを口実にゲーム会に参加すると言ったほうがよいかもしれない。ほかにも買い物や仕事を口実に来たという方もいる。今回はTRPG卓がおらず、ボードゲームだけで4卓ほども立った。
パッチワーク|ハリウッドカードゲーム|ベガス|スイム|エレメンツ|セルティカ
パッチワーク(Flickwerk / F.フリーゼ / 2Fシュピーレ, 2000)
オフィス配置はスピード勝負
設計図通りの室内配線をいち早く仕上げるパズル早解きゲーム。ドイツゲームの中で異色を放つ2Fシュピーレの初期の作品で、ビニール袋に入っているしイラストもドット絵だがオークションで高値になっているらしい。
はじめ設計図の周囲4ヵ所にコマを置く。コマを置いたところは配線が外にはみだすところ、置かれていないところははみださないところ。中央にタイルを1枚めくって設計図が完成、スタートとなる。
全員一斉に、自分のタイルを使って設計図通りになるように並べる。配線が外にはみだすといっても、はみだす向きは自由だし、2方向にはみだしてもよい。ただし使えるタイルの数は決まっているので、効率よく使うには論理的思考が大切だろう(やみくもに置いてもできることはあるが、それは一流の電気工事士ではない)。
早解きなので、いかに要領よく完成させるかがポイントだ。後半になるほど解くまでの時間も短くなり、競争は熾烈になる。だんだん得意不得意の差がはっきりした。要領を飲み込んでみるみる上達したPANTAさんの勝利。タイルの構成をよく考えて、ある程度頭でイメージを描きながら作るのが強いようだ(写真:私の作ったオフィスは上がれなかった上に1ヶ所間違ってます)。
ハリウッドカードゲーム(The Hollywood Card Game/ M.シャハト&B.フェデュッティ / FFG, 2005)
俳優をめぐる戦略的読み合い
ハリウッドというテーマを乗せたアブストラクト的なカードゲーム。箱は小さいがフェデュッティとシャハトの共同作品というだけあって練りこまれている。
場札として4列のカードを並べる。この中にはラブロマンス、サスペンス、ホラーという3つのジャンルのカードと、それを演じる俳優、そしてお金のカードが入っている。
順番に1つずつチップを置いて、ほしいカードを請求する。このとき面白いのが、チップは常に下の段から置いていくということ。前に置かれたチップは上に繰り上がる。列の上方にあるカードを取るには先に置いてほかの人もそこに置くのを待たなければいけないし、列の下方にあるカードを取るには最後に置きたい。この時間差が読み合いと駆け引きを熱くするのだ。
1ラウンドで取れるカードはたったの3枚。俳優を取るとその時点でもっている1ジャンルの枚数で映画が完成する。得点はジャンルカードの枚数×俳優の星の数。せっかく大物俳優が来てもジャンルカードをあまり取っていなければよい映画はできない。
後半になるとそれぞれほしいカードが決まってきて、相手がほしいものを取らせないということも考えながらチップを置かなければならない。そうなるとアブストラクト色が強まり、なかなかに息苦しい展開である。
小さな映画をたくさん作る路線、大きな映画にかける路線、映画もそこそこにお金に走る路線が交錯したが、最後は僅差だった。私は世紀の大ラブロマンスを完成させる予定だったが肝心の俳優を取ることができずに伸びなかった。20~30分だが、最善手を探して先の先を読んでいると濃い時間になる。
ベガス(Vegas / R.クニツィア / ラベンスバーガー, 1996)
勝利の女神が微笑むのは誰?
カジノのテーブルを回りながらダイスで勝負するギャンブルゲーム。クニツィアらしいひねりがきいていて、後にテーマをファンタジーに変えたマギノールが発売されている。
テーブルは大小さまざまに14あり、得点も異なる。好きなテーブルに行ってダイスを振り、出た目のところに自分のチップを置くのが基本。チップがテーブルいっぱいになるか、1が出たときに進むマリー(楠田枝里子っていうな!)が来ると、そのテーブルに一番多くチップを置いていた人が得点するようになっている。マリーは手前から回ってくるから、手前から着手するのが定石。序盤はチップが少ないうちにマリーが来てしまうこともある。
複数の人が同じテーブルにつくと競争が熱い。相手のチップが置いてある目を出すと、相手にチャレンジをかけられる(上級ルールを採用)。じゃんけんダイスの目を選んで勝敗決める。
1つのテーブルに最初からずっと居座ってチップを置き続ければほかの人は邪魔に来ないだろう。しかし、1つのテーブルの上がりだけでは勝利できない。何枚かチップを置いたら次のテーブルに移ることになる。しかしそこで空いたテーブルはほかの人の餌食になりやすい。何枚ぐらいチップを置いたところで移るか、あるいはまた戻ってくるか、運を天に任せて次のテーブルに打ち込むか、この判断の悩ましさがクニツィアらしい。
参加者はテーブルを移るタイミングについて好判断を連発し、勝負は最後まで均衡。そうなるとじゃんけんダイスの読みが勝敗を分ける。じゃんけんとは違って、引き分けの効果が違うため、どれもイーブンというわけではない。それを手掛かりに相手の心を読む。最後、テーブルがあと1つ2つになったときの猛接戦を制したPANTAさんの勝利。「ヘイ!カモーン!!」ダイスロールだけでなくテーブル移動も熱くて最後までとってもエキサイティングだった。
スイム(Swim / 作者不明 / アミーゴ, 1992)
アップアップで溺れそう~
海の上を漂流するプレイヤーたちが3枚だけの組み合わせで浮沈を争うカードゲーム。アミーゴがまだウノの会社ですといって売らなければいけなかった頃の古いゲームをPANTAさんお持ち込み。
はじめに渡された3本の丸太。負けるたびに1本ずつなくなっていき、0本で負けるとドボン。最後まで生き残った遭難者が勝つ。
まず配られる3枚の手札。手紙の入ったビンとか、割れたココナツとか、漂流中に役に立つんだか立たないんだかよくわからないものが書いてある。場札と交換しながら点数を上げる。同じ色ならばその合計、同じ数字で全色別ならもっと高い役になる。
組み合わせがOKそうならばSOS発信! するとみんな焦り始める。一周した後に手札を公開し、最も点数に低い人が丸太を捨てるのだ。要は負けなければいいのだから、大したことがなくても早めにSOSを出して、ほかの人に手札を揃える時間を与えないこともときには必要だ。
序盤から手札が揃わないうちにSOSをかけられ、私とPANTAさんが残り1本に。しかしそこで踏ん張って、愛華さんが急速に沈んだ。ばんゆうさん無傷の勝利だった。お見事! 配牌の運が大きいが、SOSを出すタイミングの的確な判断が要求されるのが面白い。
セルティカ(Celtica / W.クラマー、M.キースリング / ラベンスバーガー, 2006)
バイキングのマスは人に踏ませて
ラベンスバーガーの最新作は、大賞コンビのクラマーとキースリングが手がけたファンタジーボードゲームだ。ケルト人神話に基づいており、「ケルティカ」と読むのが正しいらしい。1ゲーム1時間以内、ルールも簡単でどちらかといえばファミリーゲームに属する。
目的は9枚の宝石からなるアムレットをできるだけたくさん完成させること。そのためにカードを出して5人のドルイドを進める。面白いところは、5人のドルイドはみんなのものという点(アンダーカバー方式)。出したカードと同じ色のドルイドを、出したカードの枚数だけ進める。ドルイドの行く道にはアムレットを獲得できるマスと失うバイキングのマスがあり、バイキングのマスはできればほかの人に踏んでもらいたい。皆そう思っている中、貧乏くじを引くのは誰か、その人を礎にして得をするのは誰か。
その選択をままならなくしているもう1つの面白いルールが、配られた手札は必ず使い切るというもの。5枚のカードが配られ、ある限りは出さなくてはならない。それで泣く泣くバイキングのマスに突っ込んでしまうことも。突っ込みそうになっても、ほかのドルイドを進めて我慢しておくと、ほかの人が突っ込んでくれて案外助かったりもする。道中にはカードを補充できるマスがあって、一か八か補充するか、補充しないで手番を早く終えるかの選択も悩ましい。
草場さんがバイキングのマスに突っ込み、ほかの3人がそれで助かるという展開。アムレットを失うと補償カードがもらえるが割には合わない。手札が少なくなってからのカード補充は、動かせるドルイドがことごとく危険な位置にいるためリスクが高い。ファミリーゲームのつくりといっても、十分遊び応えがあるゲームだったと思う。ボードやアムレットはイラストが美しいだけでなく、マスの配置や揃い方など機能性も高い。