帰国中に久しぶりのゲーム会を山形の実家にて開催。山形ボードゲームクラブの掲示板でお誘いしたところ、仙台の神尾さんご一行はじめ、muraさん、やまとさんにお越し頂いた。こどもの日、大の大人が童心にかえってわいわい騒ぐのもまた一興である。
インダス|ティル・オイレンシュピーゲル|サンクト・ペテルスブルク|クク
インダス(Indus / W.Panning / Queen Games 2004)
インダス文明の遺跡に探検隊を送り込んで発掘された宝物を取り合うゲーム。今やクイーン・ゲームズ専属デザイナーの感があるパニングが、昨年のラッキーループに引き続いて発表した作品です。クイーン・ゲームズはアルハンブラでヒットして注目度を高めましたが、その後ブレイクするかは未知数です。 可変のボードは6×6マスになっており、建物や道路などの遺跡が描かれています。ここに探検隊を送り込んで遺跡を占領します。遺跡ごとに多数決で一番多く探検隊を送り込んでいた人が宝をゲットできます。
外周に各自探検隊コマを置いたらスタート。自分の番には探検隊を増員し、サイコロを振って外周から中に入れます。サイコロですので、狙った遺跡に送り込めるかは運次第。でも、探検隊の中には教授、助手、現地労働者のランクがあって、たとえば教授などは3回までサイコロを振りなおすことができます。絶対外せないスポットには教授を用意しましょう。
運よく1つのマスに2人、自分の探検隊を送り込めるとそのマスを確保できます。そのマスにいたほかの探検隊は、前にいた分も後から入る分も拘束してしまえます。拘束すればポイント。探検隊を分散させて幅広く宝を集めるか、高価な宝のあるところに集中させるか、選択のしどころです。
全部の探検隊が遺跡に投入されたらゲーム終了。遺跡ごとに誰の探検隊が一番多いか数えて、指示された宝を分配します。遺跡はいくつかのマスからなり、また1つのマスにいくつかの遺跡が重なっているので、どの遺跡で多数を狙うか見ておく必要があります。
狙ったダイス目をうまく出した吉村さんが手広く多数を取り1位。サイコロでどの目が出ても対応できる探検隊の配置には頭を使いますが、最終的にはサイコロ運に任されてしまいます。ボードの組み合わせを変えてさまざまなマップで遊べるようになっているのが売りですが、それによって展開が変わるかはわかりません。
ティル・オイレンシュピーゲル(Till Eurenspiegel / K-H.Schmiel / Mattel 1987 )
いたずら好きな妖精ティルがまいた靴を当てて綱をわたっていくゲーム。ティル・オイレンシュピーゲルは妖精の名前で、リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲に『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』という曲があります。ゲームの作者はシュミール。アラカルトやみんなで決めたことなど異色の作品を発表してきたデザイナーです。対象年齢は5才以上となっていますが、さすが大人でも真剣になってしまう記憶ゲームに仕上がっています。
全員の前にカードを裏向きに並べます。カードには革靴、ブーツ、トゥシューズなど靴だけが描かれています。コマを進めるには、それぞれのマスで指示された靴のカードを神経衰弱の要領でめくっていきます。
似ている靴もあるのでどのカードにどの靴が描いてあるか覚えるのはたいへんですが、更にたいへんなことに、カードが絶えず動いていきます。毎回毎回、自分の前にある一番左のカードをめくって確認した後、それを左どなりの人に渡します。こうしてカードはボードの周りをぐるぐる回転し、一度覚えたつもりでも混乱します。
序盤は1枚正解するだけで進めますが、中盤は2枚、終盤は3枚、全部正解しないと進めません。全部の場所を覚えておくのはいよいよ難しくなりますが、前に進むほど進みづらくなるため、出遅れてもすぐに追いつけるようになっています。
序盤からみんな間違いまくりで大混乱。カードがどんどん回っていくので目が離せません。その中から吉村さんが怒涛の記憶力で突き抜け勝利。前の人が何をめくったか覚えておく注意力がものを言いました。私はボケボケプレイでだんとつビリ。インドの暑さで頭がやられたせい…にしておきます。
サンクト・ペテルスブルク(Sankt Petersburg / M.Tummelhofer / Hans im Glueck 2004 )
職人・建物・貴族にバランスよく投資して大都市サンクト・ペテルスブルクの繁栄を築き上げるゲーム。新人の作品ながら、ハンス社の新作として注目を浴び、ドイツやアメリカのゲーム会では高い評価を得ているゲームです。イラストレーターが久しぶりにドリス・マテウスということも注目の理由かもしれません。
ゲームはカードを並べる、購入する、購入したカードで利益を得るということを繰り返して進みます。カードによってお金が入るもの、勝利ポイントになるものがあり、最後は勝利ポイントで勝敗が決まります。やることはわかりやすくてシンプルです。
都市を作るアイテムには職人、建物、貴族、アップグレードの4種類があり、それぞれ安いものから高いものまでいろいろです。資金繰りをしながら、どの値段のアイテムをどのタイミングで買うかが勝敗を分けます。
職人は主に資金を調達するために雇います。職人カードを並べ、職人のスタートプレイヤーから購入を始めます。購入したいのにお金がなければ、いったん手札に取っておいて後で出すこともできます。手頃な値段のカードはみんな欲しいので早めに確保しておきましょう。全員が買いたいだけ買い終わったら、購入した職人カードから収入を得て職人ラウンド終了。建物ラウンドに移ります。
建物からは主に勝利ポイントが入り、高価なものほど勝利ポイントも高くなります。建物ラウンドも同様に、カードを並べて建物のスタートプレイヤーから購入を始めます。建物カードから収入や勝利ポイントを得てラウンド終了。
次は貴族ラウンドです。貴族は勝利ポイントもお金もそこそこですが、ゲーム終了時にたくさん集めているとボーナスがもらえます。後半はみんな欲しがるアイテムです。
そしてアップグレードラウンド。これまでに購入した職人、建物、貴族をアップグレードして、より多くの勝利ポイント、お金をもたらすようにします。中には特殊効果をもつようになるものもあり、その成長には心踊るものがあります。終わったらまた職人ラウンドへ。
4種類の建物はそれぞれ誰から買い始めるか決まっていて、次は誰から買い始めるのか注意しておくことが、必要なアイテムを手に入れるのに重要です。序盤、お金はかなり欠乏するので、資金を上手にやりくりしながら買う順番に注意していいアイテムを買っていかなければなりません。
それから、同じアイテムを購入する場合や、売れ残った建物を買う場合は値段が安くなるので安くなるのを見計らって買うのも有効でしょう。1ルーブルも無駄にできません。
4種類のカードのうちどれかがなくなったらゲーム終了。最後のボーナスを加えて、勝利ポイントで勝敗を競います。ポイントはボード上の得点表で記録するので途中経過もよくわかりますが、交渉や直接攻撃がないのであからさまは上位妨害はできません。
今回は神尾さんがいきなり高価な貴族「女帝」を雇って資金がショート。大きく出遅れました。その一方で吉村さんが職人を多数集め、潤沢な資金で好きなものを買いまくる展開に。吉村さんの圧倒的な勝利かに見えましたが、建物を重点的に購入したやまとさんが着実に勝利ポイントを増やし、最後は1点差で勝ちました。私は高価な職人をたくさん雇ったのが響いて3位。
どういうカードが出てくるかは運の要素がありますが、資金繰りをよく計算した購入の選択はいろいろ考えるところがありました。自分の街の成長が目に見えるのが楽しめ、次回はああやってみたい、こうやってみたいと思うのもいいゲームの証拠と言えるでしょう。カードの印刷やコマの彩色に金色が使われているのもいい雰囲気です。
難を挙げるとすれば、ボードがほとんど用をなさず、カードゲームとして小箱で出してもよかったのではないかと思う点。コンポーネント重視派としては、このほうが嬉しいのですが、システム重視派は少し拍子抜けしてしまうかもしれません。