ボードゲームにおける男女平等

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ポッドキャスト「ほらボド!」第352夜(リンク)にて、「『男って…』『女って…』主語大きい人」という話を振らせて頂いた。収録は一昨年のものだが、ちょうど東京オリンピック組織委員会・森会長の女性蔑視発言がほうぼうで物議を醸しており、タイムリーな公開時期だったと思う。

「かわいいアートワークなので女性におすすめ」というような言い方は、ジェンダーバイアス(性差に対する固定観念)を感じる。今どき、「かわいい」に男性も女性もなく、かわいいアートワークが嫌いな女性や、そういうものが好きな男性も多くいるだろう。収録の中では、「論理的なゲームは男性向けというのもいかがなものか」「ボードゲームに対象年齢はあっても対象性別はない」という話も出た。

しかしボードゲームは男性の多い趣味なので、間口を広げて女性にもっと親しんでもらいたいという思いは理解できる(そういう男性目線に嫌らしいものを感じなくはないが)。


鴻上尚史「可愛らしくて、ひとり興味あって入ってくる人は、野田さんいませんか、そういう女の子は?」
北条投了「見たことありません」
おのののか「えーでも飲み屋さんとかに置いてあったら私たまにやりますよ」
小野「女子会で遊んでるってのは聞きますね」
北条投了「見たことない!」
ほんこん「見たことない……って心の声を口にすな!」
(タモリ倶楽部「同人アナログゲームを楽しもう!」2015年9月18日より)


ボードゲームという趣味では、男女の偏りはどれくらいあるのだろうか。ゲームマーケット来場者アンケートでは2019大阪が男性71%・女性29%、2020秋が男性78%・女性22%だった(カタログより)。当サイトの昨年の訪問者(14万ユーザー)では、男性68%・女性32%である(Google Analyticsより)。いずれもおよそ3対1~7対3といったところで、2倍以上の開きがある。

趣味・娯楽の男女別統計を出している社会生活基本調査(H28)によると、15歳以上の日本人1億700万人中、将棋(300万人)は男性87%・女性13%、囲碁(130万人)は男性85%・女性15%だった。こういった伝統ボードゲームと比べれば、モダンボードゲームの男女比は偏りが少ないといえる。ちなみにカラオケ(3280万人)では男性49%・女性51%、テレビゲーム・パソコンゲーム(3660万人)では男性55%・女性45%と、ほぼ半々となっている。

理想的にはボードゲームという趣味も、男女平等への取り組みなどしないで自然に男女比が半々になることが望ましいが、それは一朝一夕にはできないだろう。ボードゲームにおける男女の偏りは、遊び・趣味・仕事などさまざまなレベルで「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」というアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が集積したものであり、日本おもちゃ大賞にいまだ「ボーイズ・トイ」部門と「ガールズ・トイ」部門があるような現状では、改善も当分望めそうにない(この部門分けは2021年に廃止。欧米では玩具の男女向け表記をなくす動きが広がっている)。趣味も実社会の男女格差を反映したり、相関関係にあったりする。

幸い、ボードゲームは国産・海外産を問わず性別を不問にしているものがほとんどである(『レディース&ジェントルメン』のようなボードゲームもあるにはあるが)。「人間の営みすべてがボードゲームに反映される(T.ヴェルネック氏)」というのとは逆方向になるが、ボードゲームにおける「公正性」や「協力関係」を、実生活で男女平等を進めるのに応用できるのではないかと思っている。

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