書籍『ゲームメカニクス大全 ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け』10月12日発売

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翔泳社は10月12日、『ゲームメカニクス大全 ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け』を発売する。著・G.エンゲルステーン&I.シャレヴ、訳・小野卓也、A5/608ページ、3980円(税別)。
昨年発刊された洋書”Building Blocks of Tabletop Game Design(卓上ゲームデザインのビルディングブロック)”の翻訳。ボードゲームで用いられる184のメカニクスを13のカテゴリーに分け、具体例を挙げながら解説する。
第1~5章はゲームに不可欠な要素にまつわるものを扱う。第1章は「ゲームの構造」として、協力ゲームやチーム戦ゲームなど、ゲーム全体の作りをカテゴリー分けする。第2章は「ターンオーダーとターン構造」で、進行形ターンオーダーや同時アクション選択など、手番順に有利不利にならないためのさまざまな工夫を紹介。第3章「アクション」ではアクションポイントやアクションキューなど、アクション選択の方法を、第4章「解決」ではハイナンバーや交互除去など、アクションの結果を判定する方法を、第5章「ゲーム終了と勝利」では勝利点の与え方やゲーム終了の方法を提示する。
第6章「不確実性」ではブラフや隠し情報など、ゲームの展開を見えにくくする方法、第7章「エコノミー」ではリソースの分配方法で、ゲームに取り入れられる原理を説明し、第8章「オークション」と第9章「ワーカープレイスメント」ではゲームのメインにすえられるメカニクスのありとあらゆる変種を紹介する。第10章「移動」と第11章「エリアコントロール」では、ウォーシミュレーションゲームでの軍隊の移動と領地の支配から、ユーロゲームでのレースやエリアマジョリティが扱われる。
第12章「セットコレクション」ではタイル配置、グリッドカバー、ネットワークビルド、コンボといった現代のボードゲームに人気の要素を部分と全体という観点で分析し、第13章「カードメカニクス」ではトリックテイキングやデッキビルドなどを紹介する。
各章には序文で概要が記されているほか、各項目では、そのメカニクスの概要が短文で示され、その効果や利点、使用上の注意点などを実例をもとにして解説する。一項目につき2~3ページで、項目間の参照もあり、辞書的な体裁が取られている。
中には複雑なメカニクスもあり、実例として挙げられているボードゲームのことを知らないと、イメージがわかない箇所もあるかもしれない。帯に「すべてのゲームデザイナーのための」と銘打たれてはいるが、デジタルゲームへの応用は限定的にならざるを得ないと思われる。
その分、ゲームデザイナーでなくても、ボードゲーム愛好者には楽しめる内容となっている。自分が好きなボードゲームがどのようなメカニクスで成り立っているのか知ることで、そのゲームのことをより深く知ることができ、さらに同じメカニクスを使っている別のボードゲームを探してみるといった広げ方もできるだろう。たくさんのタイトルが挙げられているので、そのリストを見ているだけでも遊びたいものが出てくるはずだ。
当サイトの管理人が翻訳を行い、訳者としての見解はあとがきに記したが、コロナ禍であらゆる行事が中止・延期となり、家に閉じこもりきりとなった今年前半を注ぎ込んだ渾身の翻訳である。ぜひご覧ください。

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