世界に広がれぼくらの子孫
ミトコンドリアのDNA解析から、人類の祖先はアフリカ大陸の女性だったと考えられている。アフリカの真ん中に置かれたコマから、世界各国に人類を広げ、文明を発展させていくフランスのボードゲーム。壮大なテーマの割に、徹底的に要素を絞り込んで作られていて、15万年の歴史をたった1時間以内でシミュレートできる。人類コマが形態を変えながら世界中にどんどん広がっていくのが小気味よい。
最初はアフリカ大陸に部族コマが1個だけ。自分の番にできることは、となりのエリアに新しい部族コマを置いて自分の村を作るか、自分の村を近くのエリアに移動させるか、ほかの人の村と場所を交換するか。新たに部族コマを置いたエリアの色に応じて、タイルやカードを獲得する。これらがポイントになり、その合計を競う。見かけはエリアマジョリティーに見えるし、ゲーム中もついつい自分の村を増やすことに専念しがちだが、実はセットコレクションとパターンマッチングのゲームなのだ。自分の村がいくら多くてもそれ自体は得点にならない。
エリアの色は5種類あって、それぞれもらえるものが異なる。薄緑色のエリアでは即時効果のあるカード。緑色のエリアでは狩り場の得点チップ、オレンジ色のエリアでは永続効果のあるカード(ただしイノベーションチップが必要)、茶色のエリアでは集めるほど得点になるイノベーションチップ、そして紫のエリアでは指示された条件を満たすとポイントになる目的カードがもらえる。どの色のエリアに行って、何をもらうかという選択がこのゲームの中心である。
部族コマは高さ、太さ、色がそれぞれ3種類ずつある。最初にアフリカ大陸の中央に置かれているのは背が低く、一番細い部族コマだ。となりのエリアに置くコマは1要素だけ+1段階までのものでなければならない。低い・細い・茶色だったら、中背・細い・茶色か、低い・中太・茶色か、低い・細い・白色(または黒色)のいずれかとなる。ゲームが進むにつれて、残りのコマが少なくなるのと、成長しきってしまうのとで、置けるコマがどんどんなくなっていく。そのため拡張ではなく、すでにあるものを移動せざるを得なくなり、目的カードの達成に支障をきたすことがある(特定のエリアに自分の村が3つあるなど)。
最後はカードかチップか部族コマがなくなったらゲーム終了。リードしているプレイヤーは、なくなりそうなものをどんどん取ってゲームを終わらせにいくので、終盤の展開は早い。
4人プレイで1時間ほど。序盤はめいめいが最初に配られる目的カードに沿って、その達成を目指した。私はイノベーションチップのレベル1を集めると得点になるというカードだったので、広く浅く集めていく。そのためイノベーションチップのレベル2に着手するのが遅れ、永続効果のカードがなかなか出せない自体に。目的カードに縛られたのがよくなかった。その後、レベル2を集めると得点になる目的カードを入手して効率は良かったものの、目的カードの得点以外が手薄になってしまった。蓋を開けてみると目的カードの達成枚数はあまり差が出ず、使わなかったカードの得点が増えるという永続効果でどんどん得点を増やした鴉さんが1位。
ひとまず目を引くのはさまざまな色・形のコマだが、実は組み合わせを考えたカードとチップの取り方が重要だという変わったプレイ感のゲームである。
Origin
A.マイニーニ作/マタゴー(2013年)+cosaic(2015年)
2~4人用/8歳以上/45分