ゴールデンウィークの最終日(中には最終日でない人もいたが)、自宅ゲーム会を開催。連日ボードゲームを遊ぶGW(ゲームウィーク)だった方もいらっしゃってうらやましい限り。
山形県長井市でゲーム会を定期的に開いています。興味のある方はこちらへ→
島が見えた!|フィンカ|黄金都市|リトルアマデウス:はじめてのオーケストラ|キッチンカオス|スネイル・トレイル|詐欺師|ギフトトラップ|私の世界の見方
島が見えた!(Land in Sicht! / S.ドーラ / ラベンスバーガー, 2009)
見えた!と思ったら間違った
航路をよく憶えて宝を集める子供ゲーム。私の大好きなゲームデザイナー、ドーラの作品である。この人の作品はオリジナリティにあふれ、爆発的な興奮はないが、後から振り返ったときまた遊びたくなる魅力を備えているものが多い。だからこのデザイナーの作品だけは、一度遊んで「?」と思っても手放さないでおくことにしている。
ボードには海タイルが敷かれ、扉状にめくると島と航路が現れる。宝箱、オウム、果物、真珠。それぞれいくつ集めるか、先に決めたら(これによってプレイ時間と難易度を調整できる)好きな島からスタート。
自分の番には、航路を決めて、その先にあるタイルをめくる。そこには新たな航路が現れ、タイルをスルーして次のタイルにいくか、島に到着する。スルーしたら、その先のタイルをめくって続け、島に着いたら、その島の宝を手に入れて終了。そして船が止まっているタイル以外を全て戻して来た道を閉じて隠してしまう。ほしい宝がどのタイルにあるか、またどの航路でつながっているかをよく憶えておかなければならない。
集める宝は5色に色分けされていて、それぞれどこか1つの島でしか入手できない。また、集めない宝のある島に間違ってたどり着いてしまったら、宝は入手できずにそこで移動終了になってしまう。ほかの人が通った航路の後を付いていくという戦法もあるが、「ほかの船がいる港には入れない」というバリアントを採用してこれをできなくした。後を付いていかないつもりでも、集めている宝は同じなので、狙いがかぶってきつい。
指定された宝を全部集めて、予め決められた島に最初にたどり着いたら勝ち。
ぽちょむきんすたーさんに先を越された感があったが、上記のバリアントのおかげで追い越しをかけて1位。くさのまさんの船がゴールからどんどん遠くへ漂流していくのが笑えた。記憶ゲームではあるが、航路がたくさんあって憶えきれないので、「えー?そっちに行きたくないよぅ!」「おーっと大正解!」などとタイルめくりに盛り上がれた。タイルが扉状になっていることでめくったり閉じたりが楽になっているところも素晴らしい。
フィンカ(Finca / R.リンデ、W.ゼントカー / ハンス・イム・グリュック, 2009)
集める前に考えよう
農産物を各種集めて得点タイルを取るゲーム。45分程度の短時間で、クニツィアのような駆け引きとジレンマが楽しめる。
自分の番にはコマを移動して農産物を1種類取るか、または集めた農産物を払って得点タイルを取る。いくつかのエリアで得点タイルが枯れたら終了。途中、得点タイルのボーナスなどもあって、合計の多い人が勝つ。要素を絞りきっており、とてもシンプルだ。
農産物を取る場合、ロンデル状のマスでコマを進めるが、ここがゲームの核心。移動数は、移動前にマスにいるコマの数、そしてもらえる農産物の数は、止まったマスにいるコマの数なのである。例えばコマが3つあったら3マス進めて、止まったマスにあるコマが合計4つになったらそのマスの農産物を4つもらう。やってみればシンプルなものだが、ほしい農産物がなかなか取れなくて悩ましい。
農産物がたくさんもらえるからといって同じマスに集まりがちだが、それでは単一で皆と同じような農産物ばかりになってしまう。狙っているタイルで先を越され、別の農産物を集めなおさなければならなくなってしまうだろう。しかも恐いのは、ストックに農産物がなくなるとバーストして全員没収されるというルール。ストックが少なくなると、誰かがバーストを仕掛けてくる可能性も考慮しておく必要がある。
だからといって、単独で集めていては1個ずつしか手に入らない。適度にほかの人と協力しておきたい。
マスを回るうちに馬車チップをもらえる箇所が2つある。このチップを使って、手に入れた農産物を配達する。得点タイルに指示された農産物を払うと、そのタイルがもらえる。さらにこの得点タイルには各種ボーナスもあるので、ほかの人に先駆けてどんどん集めておきたい。
どの農産物を集めてもタイルが取れる序盤はとても軽快なテンポで進む。「思ったより軽いですね」と言っていたのも束の間、ゲームは次第にじっくり考える方向に。ほしいタイルが絞られ、それに合わせて農産物を集めるからである。手持ちの農産物も、前に取ったタイルもすべて公開情報だから考えることが多くなる。「ブドウを取っていると、このタイルを先取りされるから、それなら今配達してしまって、それからブドウを……」さらに全員の得点状況が分かる終盤は、どこでゲームを終わらせればトップになれるかを考えて詰め将棋のようになった。
タイルを非公開にするくらいでもう少し軽いほうが私の好みではある。先日の『ボンベイ』しかり、シンプルなルールのゲームがしばしばガチゲームになってしまうのは、プレイヤーのせいだけではないだろう。効率よく農産物とタイルを集めたぽちょむきんすたーさんがボーナスもゲットして勝利。ちびちびと農産物を集めていた私は、大得点タイルに一歩及ばなかった。
黄金都市(Die goldene Stadt / M.シャハト / コスモス, 2009)
金はなくとも黄金を目指す
沿岸から建物のコネクションを作って中央の黄金都市をめざすゲーム。今年のニュルンベルクで3タイトルも発表しているシャハトならではの、カツカツの悩ましい展開が待っている。
建物は、港からつながるように置いていく。4つの地形があり、1軒建てるのに対応する地形カード2枚を出さなければならない。このカードの競りからゲームは始まる。
ランダムにプレイヤー人数分並んだ2枚組のカードで、ほしいところに手形を置いて予約。同じものがほしい人は、お金を払って追い出す。追い出された人は別のカードに行くか、もっとお金を払ってまた追い出すか。こうして誰も予約していないカードなら無料、誰かが予約しているとお金を払って追い出すというのを全員が落ち着くまで繰り返す。『エボ』や『アメンラー』で見られた「ところてん競り」である。
しかし、ここにシャハト得意のお金のなさがある。多めにもっていても、ちょっと欲張ればすぐなくなってしまう。少ないと足元を見られて、ほしいカードが取れないだろう。追い出されると選択権は最後になるので、所持金とほかのプレイヤーの状況にあわせたクレバーな選択が試される。
カードを取ったら順番に建物を建てる。建てる場所によってアイテムがもらえ、中には得点につながるものもある。しかし勝敗にかかわるのは何といっても中央にそびえ立つ黄金都市。ここには入っただけで得点がもらえる。黄金都市の中央は、途中でカギを手に入れないと入れないが、その分得点が大きい。先に入るほど得点が高いから、アイテム集めもそこそこにして中央に急ぎたい。
最初からわき目も振らずに黄金都市を目指した私が、中央の2エリアに入ることができて大量得点。これで勝利は間違いないと思いきや、最後にふたを開けてみればボーナスをこつこつ積み重ねたぽちょむきんすたーさんが1点差で1位だった。ぽちょむきんすたーさんは、黄金都市に1つしか入っていない。それでも勝てたのは、早めに商品を取ってラウンドボーナスが少しずつ入っていたことと、ボーナスカードをたくさんとって最終ボーナスを当てたことが大きい。くさのまさんやnagaさんはボーナスカードがハズレ(状況に応じたカードが引けないと苦しい)ばかりだったが、黄金都市に先に入れなくても勝つチャンスがあるのはよい。
リトルアマデウス:はじめてのオーケストラ(Little Amadeus: Mein erstes Orchester / R.クニツィア / アミーゴ, 2006)
楽器集めはいいところでおしまい
くるくる回るルーレットが指し示したカードを、ハズレが出る前に取って集めるバーストゲーム。『リトルアマデウス』というキャラクターのシリーズでアミーゴ社が何タイトルか発売した作品のひとつで、デザイナーは何とクニツィア。
ルーレットは八角形になっており、各辺にカードを並べてスタートする。ルーレットを回して、止まったらそのカードがほしいかどうかをスタートプレイヤーから順に確認。スタートプレイヤーがいらないといえば次の人へ。次の人もいらないといえばさらに次の人へ。1ラウンドにもらえるカードは1枚だけだから、得点の低いカードはスルーしてもよい。
誰かが取るか、全員パスしたらまたルーレット。止まったところにあるカードがほしいかどうか、スタートプレイヤーから順にまた確認する。このラウンドにもらった人はもうもらえない。これを続けてだんだんカードがなくなるにつれ、ルーレットの指した先にカードがない可能性が高くなっていく。するとバーストで、このラウンドにカードをもらっていない人はもらえないまま終わりとなる。高得点のカードがまだ残っているとき、得点の低いカードで妥協するかどうかのジレンマが悩ましい。
得点の低いカードには、同じものを集めるとボーナスというバリアントを採用。1点のトライアングル、2点のシンバルは枚数が多めになっていて、これを取るかどうかがさらに悩ましくなった。シンバルのボーナスで私が1位。
キッチンカオス(Zoff am Herd / R.ストゥープ、T.カメンズィンド / ニュルンベルガー, 2008)
スープは美味しいうちにフタして
リアルタイムで呼び上げられる順に材料を入れて、美味しいスープを作るカードゲーム。大慌ての厨房を見事に体験できる。
円形に鍋を並べ、シェフがコックカードをもってスタート。シェフはコックカードに書かれたコックを呼び出して、コックカードを出す。呼ばれたコックはすばやく手札から鍋にカードを出して、カードを補充。補充するカードはコックカードか、自分のさじ・鍋のふたカードである。コックは次々とランダムな順番でコックを呼び出すので、次のコックが呼ばれる前にカードプレイと補充をすばやく行わなければならない。皆が慌しく作業し、鍋にどんどん材料が放り込まれるさまは、まさにキッチンカオス。
コックカードがなくなったら、鍋をひとつずつ開けて得点計算する。鍋の得点は、一番多い野菜の枚数から、二番目に多い野菜の枚数を引いた分。つまり同じ野菜がたくさん入っていて、それ以外がはいっていないほど美味しいスープになる。1種類しか入っていなければさらにボーナスもある。そしてその点数をもらえるのは、さじを一番後に置いた人。美味しそうな鍋はさじがどんどん入り、具よりもさじが多い事態になることも。さじが入る前にふたをすれば、それ以上入れられなくなる。
瞬時の判断なので最初はムチャクチャだったが、次第にどうすれば高得点になるか皆がつかめてくる。同じ材料を続けて入れればさじを入れられる。さじ合戦が始まる前にふたができればいいが、ふたもさじもなかったら、関係ない野菜を入れて味を落とす。でも順番はランダムなので、いいところで自分の番がくるか待ち遠しかった。
Psy+さんがボーナスも集めて1位。私は何とかビリを免れるくらいだった。臨場感あふれるプレイ感が楽しい。
スネイル・トレイル(Kecke Schnecke / F.シュターク / ニュルンベルガー, 2008)
目にも止まらぬカタツムリ
山札をめくって、家なしカタツムリが出れば同じ色の家を早い者勝ちで出す。カードがたまってきたらサラダカードで一気取り。でもその前に太陽カードが出てカタツムリが全滅するかも。クニツィアの『イッツマイン』にパターン認識を加えたカードゲームである。
家やサラダカードは最後まで出せなければマイナス点、サラダカードで取ったカタツムリがプラス点で合計を競う。カタツムリがどこまで溜まったところでサラダカードを出すかの判断が難しい。ほかの人に先を越されるかもしれないし、太陽カードで全滅するかもしれない。
カードを全部出せて、そこそこカタツムリも集めた私が1位。
詐欺師(Hochstapler / R.クニツィア / コスモス, 2009)
ゲーム内容はこちら。ブラフゲームというよりも、世論を形成し、意外な現実を楽しむコミュニケーションゲームであるような気がしてきた。皆が多い多いというノリでビッドしてくるので、調子に乗って上げたらブラフがかかって、開けてみたら実際は0ばかりとか。そんなときの共犯関係による笑いがおかしい。鴉さんに止められまくったPsy+さんが見事に騙されて3枚取り。
ギフトトラップ(GifTrap / N.ケレット / ギフトトラップ, 2006)
ゲーム内容はこちら。ボードゲーム愛好者は一般的にインドア派なので、自然と好みも似通ってくる。「水上スキーレッスン券」とか、みんながほしくないものだ。そうなると選択肢が限られ、厳しい戦いとなった。マイルドな選択でくさのまさんが1位。
私の世界の見方(Wie ich die Welt sehe… / U.ホシュテトラー / アバクス, 2004)
締めはこの頃このゲームということが多い。もう『アップルトゥアップル』には戻れない。詩的にも、単なる下ネタ好きにも、また論理的にも選べるネタの豊富さが笑いを誘う。nagaさんが絶好調で1位。
カード枚数がネックとなって国内での一般発売がこれまでなかったこのゲーム、もっと入手しやすくなってほしいものだ。