昨日に引き続き平日ゲーム会。今度は秋葉原にて。木曜日はロール&ロールステーションのプレイスペースが無料になると聞き、早速試してみた。テーブルごとにカーテンで仕切られており、ゆったりしていて、椅子やコート掛けなどの設備もよい。土日はRPGのプレイヤーで大いに賑わっているが、平日は静かで快適。無料のゲーム貸し出しも、アークライトが扱っているゲームが並んでいて興味深い。水曜日に無料になるイエローサブマリンRPGショップと共に、ボードゲーム愛好者にもっと認知されてもよいだろう。
ファラオの黄金|深海のYrr|もっとホイップを!|モニュメント
ファラオの黄金(Das Gold des Pharaos / A.テッベ / アイデンティティゲームズ, 2007)
呪いのピラミッドに潜入
危険なピラミッドを探索して宝を持ち帰るオランダのアドベンチャーゲーム。コンポーネントが異様に豪華で、ゲームの雰囲気を盛り上げる。
探索は1手番につき3アクション。博士と助手の2つを組み合わせて行う。博士ができるのは、タイルをめくることと宝を運ぶこと。助手ができるのは、タイルを回転させることとランプを置くこと。ランプが置いてあるタイルは自分だけスキップして進むことができる。博士はタイルをめくりながらどんどん奥に進み、助手がランプを置きながら追いかけていく。
博士が持ち運ぶ宝は、ピラミッドの外に出てはじめて確保できる。ピラミッドの中ではライバルの博士に奪われやすいので、帰り道にずらりとランプを並べて、一気にピラミッドを脱出したい。
宝のあるタイルが出ると、発見した博士はまず写真を取る。カシャ。そしてカメラからタイルを1枚引くと、宝の内容が明らかに。1枚しかないところもあるし、呪いのミイラやスカラベが出現するところもある。
呪いのミイラが出ると、そのタイルから出口まで最短距離のタイルにいる博士と助手は怖がってみんな一斉に出口まで逃げ出してしまう。そして一からやり直し。スカラベが出ると、最短距離のタイルにいるランプが全壊。帰り道がたいへんだ。
クライマックスは、最後の宝が出てから。最後の宝タイルがめくられ、ツタンカーメンのお面が出ると、ピラミッドは急速に崩壊し始める。まずはそのタイル、次の1周が終わったらその周りのタイル、さらにその周りのタイルというように、タイルが取り除かれ、逃げ遅れた博士や助手は哀れ帰らぬ人に。生き埋めになった博士は-2点、助手は-1点である。
とりあえず手前から探検を進める。2ルートができて、1つはkarokuさん、もう1つはふうかさんがランプを並べた。私は両方に少しずつ置く。これが中途半端で、見つかった宝をなかなか持ち帰れない。それならばと自力で奥に進んだが、めくれどもめくれども宝は出てこず。1枚全部岩なんていうのもあった。
最後に一番奥の角にあったタイル。喜んでめくったらミイラかつスカラベという凶悪な呪いがかかっていた。私とふうかさんの博士と助手がお帰り。陰に隠れていたkarokuさんが難を逃れてツタンカーメンを持ち帰る。タイルを回したりして全力で阻止する2人。させるか! でも結局、助手1人を犠牲にして博士が無事に帰還し、karokuさんの1位。映画を見ているようなドラマチックな展開が楽しかった。
深海のYrr(Der Schwarm / W.クラマー、M.キースリング / コスモス, 2008)
油断できない海の恐怖
船や海岸を襲うクジラ、津波、カニ。その原因はいったい何なのか、地球はこれからどうなってしまうのか?……そんなドイツの小説をテーマにしたボードゲーム。小説は日本語訳も3巻で発売されており、映画化もされる予定だという。
文学作品をボードゲーム化する流れはこのごろのトレンドになっていて、コスモス社からは『指輪物語』、『80日間世界一周』、『大聖堂』、『地底探検』などが発売されている。独特の世界観がゲーム全体に格調をもたらしていて、小説を読んでいる人はもちろん、読んでいない人も豊かな気分で遊ぶことができる。
この作品ではついに、大賞作家のクラマーとキースリングが登場した。小説のカタストロフィをゲームの中でどう描くのか興味があったが、タイル配置をベースにして戦略性の高いゲームに仕上げた手腕はさすがである。
ゲームの目的は、海の中央にいる謎の知的生命体イールと、海辺にある自分の基地に、タイルを配置して海中ルートを作ること。ルートが大きいほど得点になる。
ゲームはまずアクションカードを入手するところから始まる。入手方法はキースリングの『ヴァイキング』にも見られた競り下げ方式。並べられたカードの一番手前を取ると無料だが、2枚目は1点、3枚目は2点、4枚目は3点と、自分の点数を減らさなければならない。取るたびに手前に詰めて値段が下がる。
点数をケチって手前のものばかり取っていると、結局それはほかのプレイヤーが選ばなかった残り物であるから、必要なアクションが揃わない。ときには点数を惜しまずに大事なカードを選ぶ必要がある。駆け引きはもうここから始まっているのだ。
カードは場になくなるまで1枚ずつ取っていく。使うのは全部取り終わってからなので、先の先まで考えた選択が必要になる。それと同時に、ほかのプレイヤーのアクションを予想して先手を打ったり、対抗策を決めたりするのも大切なこと。実に悩ましい。
さてカードを取り終わったら、実際に1枚ずつ使っていく。カードの種類はそれほど多くなくて、基地を作って人を増やす、船を進めてタイルを取る、取ったタイルを並べる、クジラ・津波・カニを動かすの6種類。あと次のラウンドの順番カードを取った際に、4つの特殊能力から1つを使える。
基本は、基地を増やしてタイルでつなげていくこと。タイルを置いたら、自分のルートとしてその上にブイを置ける。同じタイルに相乗りするのは難しいので、特に中央のイール周辺は早めに押さえておきたい。しかし、ゲームは平和な配置競争だけではない。
クジラ・津波・カニのカードを使うと、ほかのプレイヤーの船や基地を襲うことができる。クジラは海上だけだが自由に移動でき、津波は一直線にしか進めないが陸海を襲う。でも一番怖いのは陸地をぐるぐる巡回しているカニだろう。1回のアクションで2つの基地が襲われることもある。襲われたプレイヤーから得点を奪えるので、差を詰めるのには有効な方法だ。
タイルを配置しながら、ほかの人がこういう攻撃をしてこないかよくよく警戒しなければならない。射程距離にいる場合は逃げたり、先手を打って襲うことで回避したり、一難去ってから移動したりするなど、対抗策はいろいろ考えられ、ゲームをさらに悩ましくしている。たった1枚のジョーカーをどのアクションでいつ使うかがカギだ。
全部のアクションが終わったら、一番大きいコネクション(基地、人、ブイ、船)の大きさで得点をして次のラウンドへ。3ラウンドでゲーム終了。最後はさらに、イールにつながった基地のボーナス、東西南北にある基地のコネクションによるボーナスを入れて勝敗を決する。
タイルをせっせと集める2人を尻目に、序盤からタイルを取っては並べるという速攻でイールを確保した私。タイルがない分、攻撃カードで得点を集めるアグレッシブな戦法だ。ところが序盤の攻撃は点数が低い上に、攻撃対象が少ないので効率が悪い。その間にタイルをしっかりためこんだkarokuさんとふうかさんが得点を伸ばし始める。ジョーカーでまさかのカニを動かして大ダメージを与えるという妙手を見せたkarokuさんが、コネクションでも大量得点を取って1位。津波やクジラの射程圏内をうまく外す上手さも際立った。
次にプレイするならばこうしたい! と思うことしきり。直接攻撃がシビアだが、そこが建設的なものが多いドイツゲームではかえって新鮮に感じた。
もっとホイップを!(… aber bitte mit Sahne / J.D.アラーズ / ウィニングムーヴズ, 2008)
ケーキの切り分け問題
ケーキを平等に分けるには、切った人が後から選ぶのがよい。そうすれば、ちょっとでも大きいと、それは相手に取られてしまうわけだから、できるだけ同じ大きさに切るだろう。でも、実際問題「できるだけ同じ」というのが難しいところだ。
この難しさをゲームにしたのがこの作品。『サンマルコ』でもこのシステムをアクションカードの分配に取り入れたが、今回はまさにテーマがケーキである。
自分の番にはいろんな種類が混ざった11枚のケーキを人数分に分け、隣の人から順番に取ってもらう。自分が取るのは最後の1組。
取ったときに食べてしまってもいいがそれで入るのはホイップだけ。最後まで取っておけば、具の種類ごとに一番多く取っておいた人にボーナスが入る。例えばチョコレートは全体で11切れあり、一番多く集めた人は11点。アプリコットは4切れあって4点。集めるのがたいへんなものほど、得点も高い。途中で食べる人がいると最多が変わる。
ゲーム中に誰がどのケーキで1位を取っているか、それが今回のケーキを分けることで逆転できるかということが分かるため、美味しそうなイラストと裏腹に分配は非常にシビアだ。たった一切れが勝敗を分けることもある。さらにその場で食べるという選択肢もあり、考えすぎて頭の血糖値が下がりそう。おまけにお腹も空いてきて、20分ほどのゲームなのにえらく消耗した。
ゲームはkarokuさんが最初からパクパク食べる作戦。しかしこれは失敗で、ふうかさんと私がボーナスを集めやすくなっただけである。11点のチョコレートケーキ(これはその場で食べても結構得点が高い)にこだわりすぎた私が失速して、ふうかさんがダントツの1位。この後、コンビニに行ってイチゴショートと飲むヨーグルトブルーベリーを買ったのは言うまでもない。
モニュメント(Monuments / S.リストハウス / アバクスシュピーレ, 2008)
世界の大不思議も見る人次第
カードを揃えて世界の七大不思議+αを建造し、歴史家を使って価値を上げるゲーム。価値は刻一刻と変わっていくので、新しい建物を建設するか既存の建物の価値を上げるか、相場観が試される。
自分の番には場札か山札からカードを補充して揃ったら出すか、歴史家を使ってすでに出ている建物の価値を上げるかのどちらか。カードを出して建設できる建物は各種類2つまでで、早い者勝ち。最後は自分が建てた建物からボーナスが入るので、まず建てなければ話にならない。
しかしカードがなかなか揃わなくても出遅れるわけではない。歴史家を出すと、ほかのプレイヤーが建設した建物のカードを奪い、奪った分だけ得点になる。自分の建物が少なければ、ほかの人が歴史家を出す旨みも少ないから、絶好のチャンスというわけだ。エッセンで遊んだとき、単なる引きゲーじゃないかと思ったのだが、得点方法をよく見ると、そうではないことがよく分かる。
しかし奪うといってもなくなってしまうわけではない。1枚だけになったらそれ以上奪われず、そこに積み増していくこともできる。また、奪われるたびにその建物の価値が上がるのでむしろ歓迎なのである。積み増すのは、同じ建物で競合するライバルに差をつけるためだ。
山札がなくなると最終決算。建物ごとにそのときの価値で得点が入るが、枚数の多いほう(枚数が同じ場合は数字の大きいほう)が2倍の点数をもらえる。数字が一番大きい9のカードを取られたら、枚数で対抗するしかない。でも積み増した途端にほかのプレイヤーが出した歴史家に持っていかれる可能性もあり、一筋縄ではいかない。歴史家はいくつかあり、最後まで出せないと大幅なマイナス点になってしまうので、中盤からとにかくみんな出してくるのだ。
今回は序盤にカードが揃わなかったので歴史家で稼いだが、中盤から手を広げすぎた。後から建設した建物は大した点にならず、しかも歴史家がおろそかになってしまう。karokuさんの圧勝。建てるか否かの選択と、歴史家を出すタイミングであれこれ考える奥が深いゲームである。時間は45分くらいなので、リプレイ率も高そうだ。