久しぶりにmoonさんと会って、持ち込まれたゲームをじっくり遊ぶ。買おうかな、その前にどこかで遊びたいなと思っているゲームを遊べるのはほんとうに嬉しいことである。この日のmoonさんのレポートはこちら。あわせてお読み下さい。
傭兵隊長(Condottiere / D.エアハルト / ファンタジーフライト, 2007)
一進一退の攻防
イタリアを舞台にカードで勝負し陣取りをするゲーム。邦題はアークライトのもので、今はなきオイロゲームズから発売されていたときは原題そのままに『コンドッティエーレ』と呼ばれていた。アメリカから再販された第三版は小箱。比較的シンプルなゲームであるだけに、ボードを最小限の大きさにしたこの小箱のほうがピッタリくる。
はじめに全員10枚ずつ配られたカードが戦力。手番には1枚ずつ出し、全員がパスしたところで合計の多い人が指定されたエリアを取る。つまり競りで陣取りをするわけだが、カードにさまざまな効果が仕組まれていてよりドラマチックになっている。
いきなり戦闘を終結させてしまう降伏カード、全ての兵隊の戦力を1にしてしまう冬カード、その冬を打ち消す春カード、一番強い兵隊を除去してしまう司教カードなど。その中でもこのゲームの特徴となっているのがかかしカード。このカードを出すと出した兵隊を手札に戻せるという効果しかないが、ほかのスペシャルカードより圧倒的に枚数が多い。これでどうなるか?
手札を補充できるのは、1人を除いて全員の手札がなくなったとき。先に手札を使い切ってしまうと、ほかの人が楽々エリアを取るのを指をくわえてみていなければならない。1枚でも多くあれば、たとえそれがカス札だとしても相手にプレッシャーを与えることができる。
こうした中、戦いで熱くなりすぎて手札を浪費していては勝てない。ときには栄誉ある撤退も必要だ。もうこの戦いで勝つつもりはありません。どうぞお取りください……と見せかけておいて、ほかの人が安心してパスしたらまたカードを出してもよい。パスをしたらもうカードを出せないが、かかしカードならまた自分の番が回ってくるのだ。本当に撤退したのか、それとも様子を伺ってまた攻めてくるのか? 1枚も無駄にできない中での駆け引きが熱い。
ボードで次の戦場を決めたら次ラウンド。隣接しあう3つのエリアか、合計5エリアを取れば勝ち。エリアの獲得状況に応じて勝負に出るか引くかも決まる。そのエリアだけは絶対取らせない!
消耗戦を静観し、その直後に漁夫の利でエリアを集めたタナカマさんが5エリア達成で勝利。1枚出すたびに戦況に一喜一憂する戦いは、本当に熱かった。
順風満帆(Before the Wind / T.ランズフォークト / ファランクス, 2007)
逆風吹きまくり
オランダの港で荷物を仕入れ、店に並べて船に出荷するカードゲーム。ドイツゲームを基礎にしつつ、一風変わったゲームを出しているオランダのファランクスゲームズの新作で、今年のカードゲーム賞の3位に入った。2位となった同社の『大航海時代』に並んで今年度の注目すべきカードゲームである。今年のカードゲーム賞は、昨年の上位(『ブクステフーデ』、『公爵』、『ノッティンガム』)とうって変わって重量級カードゲームが選ばれた。
ゲームは3種類のアクションカードを出して進行する。まず商品の仕入れ。リンゴ、チーズ、スパイス、シルクの4種類があり、カードで指示されたものを仕入れたら手札に入れる。
次に商品の保管。カードに指示されたお金を払い、手札から自分の前にあるお店に並べる。
そして商品の出荷。場に並んでいる船に指定された品物を全部お店に揃えて、船カードをもらう。この船が勝利点になり、合計して規定点に達したら勝ちというわけだ。
ここまでならばよくあるパターンかもしれない。秀逸なのがアクションカードの選択だ。手番の人は、3種類のアクションカードの山から参加者の数だけめくる。1つの山からめくることができるのは2枚までだが、今自分がほしい種類のカードを多めに、ほかの人の手を進めそうなカードを少なめにめくることになるだろう。
次にめくられたカードを順番に1枚ずつ選ぶ。このとき、すでにほかの人が選んだカードがほしければ値段を提示して買い取りを持ちかけることができる。持ちかけられた方は、提示された値段で売るか、逆に支払ってキープするかを選ぶことができる。お金をもらってしまえばこの回はアクションなしでお休み。お金を多少払ってもアクションにこだわるか、ふっかけてお金を取るか、相手の選びそうなアクションを金目当てで選ぶか、各自の手の進み具合とあいまって、さまざまな駆け引きが生まれる。
こうしてアクションカードを選択してから、一人ずつアクションを行う。船は早い者勝ち。同じような品揃えのお店を持っている人がほかにもいると気が気ではない。しかも船カードが少なくなったらラウンド終了で、シルク以外の商品は腐ってなくなってしまう。そこまで見越して、どの種類のアクションカードをめくり、どのアクションを取るか、ライバルに取らせないかを考えなければならない。シビレル~!
序盤にうまいこと商品が揃って船にどんどん出荷できたのと、トップが狙われ始める中盤に特殊カードで接戦をものにできたのが奏功して1位。プレイヤー間のアヤが強く、手番の回り方によっては何もさせてもらえない人が出るという可能性があるが、ゲーマーズゲームとして非常に面白いと思う。
メトロマニア(Metromania / J.M.マーマン / シュピールオーフェイス, 2006)
都市計画は協力がカギ
三角形のタイルを並べて自分の路線を延ばし目的地をつなぐゲーム。昨年のエッセンでフランスのメーカーから発売されたものである。プレイスペース広島が輸入販売。
手番にはタイルを配置して路線を延ばす。起点は空いているところから自由に始められるが終点は反対側にしなければならない。そして路線を延ばしながら、予め指定された2つの地点を結ぶ。2つの地点はそれぞれ2人のプレイヤーが持ち合っており、つながっていないとペナルティになるので協力が必要だ。しかし協力するとはいえ相手の路線にだけ持っていかれては得点にならない。できれば乗り換えてつながるように。でも、ほかの路線に最短距離をつながれてしまうと得点を持っていかれてしまう。
得点計算はまず、自分の路線をいくつ完成させられなかったかによってペナルティがある。1つだと得点が半減、2つだと0点に。ひえ~。続いて2つの地点をもっとも短く結んだ路線に得点してから、結べなかった地点にまたペナルティ。最後に公園を最短で結んだ路線に得点が入って合計を競う。私は、何だかペナルティばかりで4位。協力が足りなかった模様。
全員どのように置けば得点になるのかがつかみきれず、期せずして得点が出入りしてしまうという展開。経験が足りないようだ。
シェイクダウン(Shake Down / カタパルトコンセプツ / パッチプロダクツ, 2006)
絶対ムリ!
プラスチックの塔の下にスプリングで仕込まれているカードを抜いて、上に重ねていくアクションゲーム。こぼしてしまったカードは失点になる。カードの中にはリバースとかダブルといった指示が書かれているものもあり、安心していたらまた回ってきたりもする。
当然、カードはぎりぎりの端っこに乗せてぐらぐらにする。こうしてカードが並んでいくとまるで傘のように。持ち上げるだけでもう落ちそうなのに、下から新しいカードを引き抜けって?
全員立ったままで妙に盛り上がっていた。アクションカードの指示は英語なのでちょっと遊びづらいかもしれないが、パーティゲームとしてとてもいい感じだ。