つくば自宅ゲーム会 06/07/24

つくば自宅ゲーム会 06/07/24

わんこさん・にゃんとろさんから久しぶりに遊ぼうという連絡が入り、はるばるつくばまでご来訪いただいてのゲーム会。米出さん、けがわさんもお招きし、5人でめくるめく1日を過ごした。
先週ドイツのeBayで手に入れたばかりの未知の中古ゲームと名作を交互に遊ぶ。国内で誰も紹介したことがないような中古ゲームは十中八九ハズレといってもいいが、そのゲームがもっている素朴さにはゲームとは別の魅力がある。しかし現代で数々の傑作に触れうる我々にとって素朴なゲームばかりでは刺激が足りない。一方、クニツィアなどの名作は楽しいが、既プレイ品ばかりでは新しい発見が少ない。未知のゲームと既知のゲームをバランスよく混ぜて遊ぶのが、楽しさの幅も広がるし適度なリラックスにもなると思った。

カッツェンジャマーブルース万里の長城リオンボマロニーの遺産ラーカテリーナの陰謀メディチエクストリーム・リミットハステ・ヴォルテ|おしゃれパーティ|バベルの塔|郵便馬車

カッツェンジャマーブルース(Katzenjammer-Blues / R.クニツィア / ゴルトジーバー, 1998)

カッツェンジャマーブルース哀愁漂うネコたちのミュージック

ネコを使った競りでネコを集めて、カルテットを作るカードゲーム。「ネコの哀愁ブルース」という意味の原題は、カッツェンマー・ブルースと読む。ハイ・ソサエティ―珍獣動物園と比べると知名度が高くないが、キレのあるクニツィアの競りゲームとして隠れた人気がある。

 競りにかけられるネコは山札からカードをめくって並べる。ジョーカーか同じ数字が出たら競りスタート。競りに使うのは手札のネコ。競りはワンペア、バラ2枚、スリーカード、バラ3枚の順で強い。不要なカードを競りに使って必要なカードを集めよう。
 競り落としたとき、手札に同じ数字のカードが4枚あればカルテット(フォーカード)として公開でき、数字の分だけネズミチップがもらえる。これを一番集めた人が勝者だ。
 カードを使ってカードを競る。それだけでも十分シビれるのだが、さらに悩ましくしているのがジョーカー。これは何の代わりにでもなる便利なカードだが、ゲーム終了時に最も多く使った+手札に持っていた人はマイナス5点になってしまう。珍獣動物園のお金と違って直ちにゲーム脱落ではないが、7,8点集められれば上出来のこのゲームでマイナス5点は大きい。それを覚悟でジョーカーをがんがん使うなら、徹底的に使い倒さないと勝ち目はないだろう。ジョーカーは、カルテットにしたときだけマイナスなしで捨てることができる。

 序盤からジョーカーを使った私に対し、わんこさんとにゃんとろさんはジョーカー控えめ。にゃんとろさんがどんどん競り落とすがその割に揃わない。わんこさんは1枚1枚地道に集める作戦。三者三様の戦い方になったが、結局全員ジョーカー2枚でマイナス5点という驚くべき結果になり、後半からテンポよくカルテットを公開したにゃんとろさんが頭ひとつ抜け出た。
 競りといっても基本はカードの枚数勝負なのでそれほど難しくなく(その分あっさりしていて競り好きには物足りないかもしれないが)、何を捨て何を拾うか、ジョーカーを使うか捨てるかという選択の悩ましさが小気味よいカードゲームだった。カタンに牽引された90年代後半のゲームのレベルの高さを再発見できる一品。

万里の長城(Chinesische Mauer / R.クニツィア / コスモス, 2006)

概要はこちら。クニツィア好きには既視感満載だがそう分かっていてもたまらないジレンマがある。最近のヘビーローテーション。今回は敢えて1位タイにして勝負を保留するという戦法も見られた。2位狙いばかりではなく、カードを溜め込んで高得点チップを取りたいもの。まもなくメビウス頒布会から一般発売される予定のようだ。

リオンボ(Riombo / R.ヴィッティヒ / マテル, 1988)

リオンボ人の不幸を笑う

河を進みながら丸太をためるゲーム。1983年のドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品。進み方は独特で、各プレイヤーの手番に全員が何本かの丸太を握る。これを一斉に公開し、手番プレイヤーはその合計値だけ進むというシステムだ。
 なぜほかの人の船を進めようとするのかというと、各マスの指示があるからだ。「(丸太を)全員に2あげる」「全員から3もらう」などのマスが点々としており、ほかの人には「全員にあげる」ほうのマスに止まってもらいたい。そこであと何マスあるか数えて、握る丸太を微調整することになる。思惑が一致せず意外に進ませてしまったりすることがほとんどだが、全員の思惑が一致して手番プレイヤーを陥れることができたときはなかなか盛り上がる。
 1周すると丸太を10コもらうか、船をダブル(3周目はトリプル)にできる。ダブルになると手番中ならば丸太の収入も支払いも2倍。そんなときに「全員から3もらう」なんてマスに止まって一気に稼ぎたい。既定数の丸太を集めた人が勝ち。

 1周目は取ったり取られたりで膠着したが、2周目に入って全員ダブルの船になると激しいやり取りに熱が入ってきた。このゲーム、お約束というかゴールの1つ手前に「スタートに戻る」というマスがある。そこに見事止まったけがわさんのもの寂しそうな顔を見たときは、悪いけれども笑いが止まらなかった。その笑いの力で運を引き寄せたためか1位。すみませんでした。

マロニーの遺産(Das Erbe des Maloney / S.サクソン / ラベンスバーガー, 1988)

マロニーの遺産慌てる競りは高騰する

禁酒法時代に活躍したマフィアの遺産をめぐって子分たちがアメリカを駆け巡るゲーム。シド・サクソンの名前がドイツに十分浸透した80年代後半の作品で、英語版まで出ている。

 はじめに12枚配られるアクションカードには、それぞれどの都市に何曜日に行けば遺産をいくらもらえるかが表示してある。全員が乗った車はランダムに決めた都市・曜日からスタート。
 1日のはじめに、全員で競りを行う。競り落とした人が次に訪れる都市を決めることができる。競りは順番なしの口頭で、競り値を言ってから3つ数える間にほかの人がそれ以上の高値をつけなければ落札できる。この3つ数える間というのが慌てさせるもので、今日はどの都市にいったら儲かるのかカードをすばやく精査し、適正な競り値をつけるのはほぼ不可能。だいたいこれぐらいでというアバウトさを強要される仕組みになっている。遺産が2倍になる火曜日と金曜日などはとんでもない高値が付くことも。ほしいと思いこむと際限なくお金をつぎ込んでしまうのはまるでヤフオクのようだ。
 競り落とした人が次に訪れる都市を決めたら、そこで全員がアクションカードを出して遺産を公開できる。競りに参加していなかったのに思わずいい都市に入ったという棚からぼたもちもある。これを繰り返して誰かがアクションカードを使いきったら終了。
 競り落とした人は、都市にトランクがあれば獲得できるが、マイナス点もあるので競り落とすのが一概にいいとは限らない。また最後に残ったお金は安いが得点になるので無駄遣いしないほうがよい。

 序盤は競りにはあまり参加しなかったのに棚からぼたもちが多く、後半になってアクションカードが減ってから、皆がお金を使い果たす頃を見て競りに絡んでいったのが奏功し1位。ほかの人がどの都市を狙っているかある程度推理しながら競りに乗ったり降りたりするのがよいのだろうが、自分の手札を見るのに精一杯で、そこまでの余裕は全くなかった。

ラー(Ra / R.クニツィア / アレア, 1999)

ラー欲張りのリスクと楽しみ

タイルを競り落として豊なエジプト文明を築くゲーム。1999年のドイツゲーム賞2位。1時間以内に終わるほどほどのプレイ時間と、ただの競りゲームに終わらないプレイヤーの絶妙な駆け引きから定番中の定番といってもよいほどの人気ゲームで、絶版になってからもネットオークションで高騰していたが昨年ウーバープレイからほとんど同じデザインで再版された。

 順番にタイルをめくって場に並べていく。一番多くもっていれば得点になるファラオ、種類を集めるほど得点になる文明、洪水タイルがあれば得点になるナイル、そのまま得点になる金塊、ゲーム終了時まで集めて得点にする遺跡などタイルによって得点方法はさまざま。タイルが揃ってきたところで、「ラー」のタイルがめくられるか、誰かが「ラー」宣言すると競りが始まる。
 競りに使う太陽コマはたったの3つ。つまり1ラウンドに3回までしか競り落とせない。どのタイルでもほしいのは全員同じだが、それぞれの手持ちによってほしさは微妙に異なる。ナイル川ばかりの人は洪水タイルが手に入るまでは競りを控えたいかもしれないし、同じ遺跡を集めている人は大得点チャンスにもなる。競りに乗るか、降りるかにはほかの人の動向も関わってくるだろう。
 それをさらに悩ましくさせるのは、競りに使う太陽コマの数字は公開であること。たとえ競り負けても、ほかの人に高い数字タイルを使わせればその後に楽になる。低い数字タイルでもタイルが微妙に少なくて皆が競りに乗り気でないときに使えば使い道がある。使った太陽コマは前の競りで使った太陽コマと交換し、次のラウンドで使えるようになる。数字タイルも、競りの対象だということを忘れてはいけない。
 3回競り勝った人から抜けて行くので、残った人は比較的楽に競り落とせるようになる。しかしだからといってタイルめくり放題取り放題というわけではない。「ラー」タイルが既定数出てしまうと、3回競り落としていない人がいてもラウンドが終わってしまうのだ。「ラー」タイルが増えていくにつれ焦りも増す。もっとめくるか、途中で妥協するか。
 ラウンドがいつ終わるか分からないというプレッシャーの中、たった3枚の太陽タイルが公開されていることによって生まれる競りの駆け引きはドイツゲームの最高峰と言っても過言ではない。

 第2ラウンドに最後残ったわんこさんが強運でタイルを大量ゲットし1位。タイルの種類がいまひとつ飲み込めないうちはスムーズに入り込めないが、リファレンスなどを見てどれが今自分にとって必要なタイルかをしっかり押さえられるようになれば楽しみが急速に広がるだろう。正解は1つとは限らない。1回1回の競りが、痺れんばかりの悩みどころだ。

古代ローマの新しいゲームより「カテリーナの陰謀」(”Die Verschwörung des Catilina” vom Neue Spiele im Alten Rom / R.クニツィア / ピアトニク, 1994)

カテリーナの陰謀奴らを暴け!

クニツィアの珠玉のゲーム集「古代ローマの新しいゲーム」に入っている推理ゲーム。1~6で5色、30枚のうち各色1枚だけ抜かれている。残りのカードが配られ、お互いに質問しながら、「抜かれたカードの合計」を推理する。
 質問は全員に/特定の人に、色/数字を尋ねる。その色/数字もっている人は全員なら1枚、特定の人なら全部を質問した人に見せる。他の人も何枚あったかというところまでは知ることができる。こういった情報をメモして、消去法でない数字を考えるのだ。
 推理するのが「数字の合計」というところがポイント。つまり何色の何番が抜かれているというところまで特定しなくても、「2が1枚ない」「4は2枚ない」などの情報をつかめれば推理できるわけだ。こまめなメモと、情報を複合する論理力が必要。
 最初ににゃんとろさんが手を上げる。抜かれたカードを見て……「間違ってました」。外れたら質問に答えるだけで、もう手を上げることはできない。続いてけがわさん、米出さん、わんこさんが次々と手を上げるも全員不正解。ということで頭がウニになったままフリーズしていた私に勝利が転がり込んできた。スルースでもそうだったが、熱が出るくらい頭を使ってクラクラ。論理力はどうやらないらしい。

メディチ(Medici / R.クニツィア / アミーゴ, 1995)

メディチシビアな損得勘定

イタリアの大富豪メディチ家。フィレンツェを手中にし、芸術家のパトロンとしてルネッサンス時代を支えた一族である。このゲームでは鋼製品、銀製品、染料、香辛料、布という5つの商品を入荷し、その入荷量でお金を稼ぐ(メディチ家は、ほんとうは銀行業で栄えたのだが)。1995年ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート、同年ドイツゲーム賞5位。
 商品を競りで手に入れ、カードの数字の合計と種類ごとの枚数が多い人にお金が入る。これを3ラウンド繰り返して最も儲けた人が勝ち、というこのゲーム。流れは至極シンプルである。お金を使って競りをし、その結果またお金をもらうわけなので、損得勘定をしっかりしなければならない。
 その損得勘定を際立たせているのが競りのシステム。手番プレイヤーは1枚ずつカードをめくり、1~3枚まで、好きなところで競りを開始できる。そして1周だけの競りをし、手番プレイヤーは最後にビッドできるのだ。自分がほしい商品ならばできるだけ安値で手に入るよう、またほしくない商品ならばほかの人にできるだけ高値で競り落としてもらえるように枚数を調整しなくてはならない。
 そして1ラウンドで競り落とせるのは合計5枚まで。もう4枚競り落とした人は、あとは1枚の競りにしか参加できない。この枚数制限もあって、1枚か2枚か3枚かというこの3択が非常に悩ましく、このゲームの最もキモとなる部分となる。
 例えば布と香辛料を集めている人の手番。1枚目をめくったら数字の低い香辛料だった。このままではおそらく誰も引き取り手がいないから、取ろうと思えば安値で取れるだろう。しかし数字の低さが気に入らない。それではもう1枚……おおっと香辛料だ!しかも数字が高いぞ。この2枚なら文句なくゲットできる。よし、競り開始! ほかの人はあまりほしくないが、このプレイヤーに安値で落とされるぐらいなら取ってもいいくらいだ。8ぐらい出すかな?「それなら、じゃあ7。」7かぁ……ぎりぎりのラインだな。ここは8で競り落とすか、譲って次のチャンスを待つか。――とこんな具合に、思惑が絡み合い駆け引きがうずまく競りは熱い。

 けがわさんが経験の差で絶妙のビッドを繰り返して1位。第1ラウンドでトップだった守りの姿勢が祟ってずるずる後退した。始終計算ばかりして気が抜けないのは疲れるが、商機をうまく見つけるだけでなく、カードの枚数調整によって自ら作り出す感覚がたまらない。

エクストリーム・リミット(Xtreme Limits / R.フラガ / ゴルトジーバー, 2006)

ゲーム概要はこちら。10点先取はだれるので、5点ぐらいでもいいかもしれない。

ハステ・ヴォルテ(Haste Worte / W.クラマー&M.キースリング / シュピールツァイト, 1997)

ゲーム概要はこちら。けがわさんが「アメリカ合衆国の州名」で爆走したが、「エ行を用いない」「二文字のみ」などのハンディキャップカードに苦しめられている間、最後に「台所にあるもの」で私が追いつき、同点1位。「ボードゲーム」が意外と出せないのがおかしい。

この後私は中座し、残る4人で3ゲームを遊んでいただいた。概ね楽しんでもらえた模様。夕食を食べて解散となった。はるばるお越しいただいた皆さん、ありがとうございました。

上へ前回のゲーム会レポート一覧トップページ