秋葉原水曜会 05/08/31

秋葉原水曜会 05/08/31

先週に引き続き2週連続の参加。13時ごろに到着するとタナカマさんとRaelさんが対戦していた。Raelさんと現実でお会いするのは初めてだが、ゲーム歴がずいぶん長いご様子の上、世間ではあまり評判を聞かないゲームで面白いものをたくさんご存知で、話が盛り上がった。またミクシィのコミュニティ「テーブルゲーム始めました。」に集まる水曜会のメンバーもだいぶ顔と名前が一致してきた。新しい人との出会い、ゲームとの出会い。これだからボードゲームはやめられない。

乞食と泥棒企業買収ゲームサックノアールムードブームタウンFBI

乞食と泥棒(Beggars and Thieves / 作者不明 / パーカーブラザーズ, 1984)

乞食と泥棒2人用トリックテイキングだなんて

 もう20年前のゲームで、かつては東急ハンズにも売られていたという。5人まで遊ぶことができるが、2人でやるのが面白いというRaelさんの薦めでプレイ。
 カード配りきりで、手札、公開札、非公開札に分ける。非公開札の内容は自分にも相手にも分からない。はじめ手札と公開札でトリックテイキング。2人だから自分が出したカードと相手が出したカードの1対1勝負で、取るか取られるかだ。
 公開札を出した後は非公開札もめくられて使えるようになる。めくったら思わぬ強いカードが出てきたりして一喜一憂。全部出すまで続け、獲得したカードに書かれた得点の合計で勝負。数字は14まであるが、7や8といった中間の数字の得点が高い。中間の数字を意図的に集めることの何と難しいことか。
 赤、青、緑の乞食カード、切り札になる泥棒カードをどの順番で出していくか考え始めると、とても悩ましい。相手の手札に何があるかを読みつつ、公開札にも目を光らせながら、一番多く得点できる方法を探らなければならない。1プレイ5分程度で終わるので、軽く頭の体操をするのにも重宝するだろう。カードも1枚1枚違う写真が載っていて魅力的だった。

企業買収ゲーム(M&A / 鈴木銀一郎 / アークライト, 2005)

企業買収ゲーム腹黒い企業家たち

 鈴木銀一郎氏がアークライトから3作まとめて発表した新作の中の一作。あとの2つは2人用ウォー・シミュレーションゲームである。ライブドアの堀江氏が行ったことで有名になったMergerand Acquisition、通称M&Aをテーマにしたゲームで、今年の人生ゲームでも採用されることになっており、ホットな話題だろう。
 IBNとかダイブドア、夏樹書店など6社が登場。プレイヤーは資本の力にものを言わせてこれらの企業の買収合戦を繰り広げる。金額が書かれたチップをそれぞれの企業に並べていき、ゲーム終了時に一番多くの金額を出資していたことがわかった人がその企業を乗っ取って資産を手に入れる。
 チップは5億円から400億円まで。ボード上の指示に従って裏向きに置いたり表向きに置いたり。安い額をたくさん裏向きに置いてはったりをかますか、見せ札にどでかい金額を置いてライバルをひるませるか、あるいは安い金額を置いて油断させるか。それだけでも駆け引きは十分楽しめる。
 さらに、裏向きになっているチップを表にしたり、ライバルと交渉してチップを交換したり、奥の手の強力イベントカードを出したりというアクションもできる。同じ乗っ取りでも、全体の過半数を超える出資をしていれば資産価値が2倍になるからまた欲が出てしまう。
 今回はタナカマさんが大金の見せ金を有効に使って1位。イベントカード「第三者割当増資」に阻まれたかゆかゆさんは及ばなかった。最後の点数計算は面倒くさいが、ゲーム中にあーだこーだ言いながら、水面下の心理戦を繰り広げられるよいゲームだと思った。クニツィア好きの方に。

サック・ノアール(Bausack -Sac Noir / K.ツォッホ / ツォッホ, 1995)

サックノアールマゾヒズム堪能

 バウザックの再販らしいが、色やパーツに若干の違いがあるらしい。さらに言えば、コンポーネントはパーツ100個ということで、1つ1つのセットも微妙に違うらしいが、ゲームにはそれほど影響しない。今回は競りのルールを入れて遊んだ。
 ほしい積み木、ほしくない積み木を宣言して1つ選ぶ。最初はしっかりした土台がほしいからほしい積み木。競りをして一番多い値をつけた人がゲット。だいたい土台が出揃うと、今度は相手の邪魔に入る。平面の少ない辛そうな積み木をほしくない積み木に選んで競り開始。こちらは始めに競りから降りた人が引き取る。残りの人はそれまでのビッドを捨てなければならない。ちなみに競りに使う豆は10個で、全部使い果たしたら無条件で引き取ることになるから節約しないと後が苦しい。
 引き取ることになりそうな人のオブジェを見て、もう絶対に置けないだろ!というようなコマを流すのが基本。しびれるようなイジメの連続が変に爽やかである。同士が次々と倒れていく中、私は土台をけちっていたおかげで豆を温存でき、また引き取った積み木の組み合わせにも助けられた。リングの上にボール、ボールの穴のところに卵、卵の穴のところに三角錐、三角錐の底面でやっと平面ができ、その上に2つ置くことができた。対するかゆかゆさんは拡張可能性を考えた建設をしながらも、どんどんでかいコマを押し付けられて置くところがなくなって終了。手先の器用さに加えて、ほかのオブジェの観察力も要求されるゲームだ。

ムード(Moods/ 作者不明 / ハズブロー, 2001)

ムードもっとロマンチックに!

 「怒って」「いやらしく」「涙をこらえて」…指示された雰囲気でセリフを読み上げる演技ゲーム。パーティゲームでは出色の作品と言われながら、発売後間もなく姿を消した(絶版になった)作品。しかし日本の一部のファンの間で、日本語版が作られていた。今回はRaelさん編でプレイ(写真はオリジナル)。
 場にはいくつかのムードカードが並べられ、番号がふられる。ランダムに1枚番号を引き、その番号で指定されたムードを確認、続いてセリフカードを受け取る。そして指定されたムードでセリフカードを読み上げ。魂のこもった演技力が大事だとRaelさん。
 他の人はその演技を見て、何番のムードなのかを推測し、カードを出す。当たっていれば当てたほうも当てられたほうもポイントになるから、観察力も大事だ。
 私の1回目は猿のセリフ「キー!キキキキ?キキー!」なんていうのが来た。そしてムードは「子どもらしく」。言っているうちにあまりの恥ずかしさから涙目になってしまって、「ロマンチックに」と間違われた。2回目は「笑いをかみ殺して」『北の国から』のセリフを読み上げ、全員に正解してもらったものの全く及ばず。カニオさんが驚異の正解率で1位となった。
 苦手を自称するかゆかゆさんとつばきさんの演技も忘れられない。かゆかゆさんは西村雅彦風だったような気が。セリフに全く合わないムードが来ると、演技自体かなり面白い。得手不得手の差は大きいが、こんな素敵なゲーム、絶版になってしまっていることがもったいない。日本版の販売を強く希望する。

ブームタウン(Boomtown / B.フェドゥッティ、B.カタラ / フェイス2フェイス, 2004)

ブームタウンアメリカの貧富の差はここから始まった

 ゴールドラッシュにわくアメリカ。鉱山を競りで落とし、ダイスで金を産出して、市長になったら税金で儲ける。最後に大富豪になるのは誰か? 日本語訳を付けているフェイス2フェイスが昨年発表した新作で、今年の年間ゲーム大賞推薦作品にも選ばれた。せっかく和訳したのに、現物をもらいそびれてしまって初プレイ。
 カードを人数分めくり、競りを始める。カードは競り値を一番多く付けた人から時計回りに1枚ずつ取る。競りで払ったお金は反時計回りに分配されていく。これがこのゲームの競りの特色だ。結局1枚はカードをもらえるので、他の人の出方をうかがって無理のない競りをすることが肝要だが、誰が何をほしがっているのか、誰に何を渡したらいけないのかなど、十分に考えておかなくてはならないこともたくさんある。
 カードは大部分が鉱山で、2~12の数字が書かれている。ラウンドの最後に2コダイスを振り、カタンの要領で数が一致した鉱山から金が得られる。当然6,7,8あたりを揃えておきたい。さらに同じ鉱山を揃えると市長になって、税金を集められるようになる。市長から知事に格上げすれば税収も2倍!
 そのほか相手の鉱山を爆破するダイナマイトとか、金が産出されたときにピンハネできる酒場とか、若干の特殊カードがいい感じのスパイスになっていて、ハプニングでトップを追い落とす楽しさも。しかし今回の私はさんざんで、鉱山もろくに手に入れられず、2か12が出たら崩壊するリスキーな鉱山を2回ともあっさり崩壊させてしまい、いいとこなし。Raelさんが知事でがっぽり貯めこんでダントツの1位となった。
 キャラクターカード炸裂でカオスを起こすのが得意なフェドゥッティにしては競りを柱にすっきり整っていて、正直見直した一作である(写真はplay:game)。

FBI(FBI / W.クラマー、H.レーズナー / ファランクスゲームズ, 2004)

FBI犯罪捜査の基本は、小物で大物を釣る

 民間人の誤逮捕に気をつけながら、大物のマフィアをしょっぴくカードゲーム。はじめに、手番の順序を決めるフェイズがある。自分が今まで捕まえた人間を釈放して、一番のワル(プラスポイントのカード)を出した人から手番が始められる。ここで誤逮捕した民間人(マイナスポイントのカード)を釈放することもできるるが、そうすると手番は後になってしまうだろう。
 手番が決まったら、どの色のエリアに張り込むかをそれぞれ2色ずつ選ぶ。そして1番手から1色ずつ公開して、場にあるその色のエリアから1人逮捕。大ワルがいればしめたものだが、みんなが逮捕しまくった後は民間人しかいなくて、泣く泣く誤逮捕なんてことも。2周目は逆順で1番手が最後に逮捕することになる。1番手、2番手、3番手、4番手……4番手、3番手、2番手、1番手の順。だから1番手は一番の大物を捕まえられる反面、最後の残りカスを逮捕しなくてはならないというリスクがある。しかし後の順番になるほど、可もなく不可もない人物しか残らない。
 だから手番の順序に応じて、誰が何を取りそうか考えながら、ときには裏をかいて検挙率の向上に努めなければならない。特に民間人が多く含まれるエリアは誤逮捕を恐れるあまり、誰も手を出さなかったりもするので、そこに思い切って行くかどうか迷いどころだ。
 取り終わったら場に人物を補充して続行。こうして最後に逮捕した犯人のポイントを合計して、エリアごとに大物を独占していればボーナスをもらって、また誤逮捕の民間人のポイントを引いて、多い人の勝ちとなる。
 テーマもイカしているが、システムだけでも十分完成されている。6ニムトにブラフの要素を入れたようなゲームだとRaelさんは言うが、本当に読み合いが熱い。2色出したうちでも、どちらから公開していくかで結果が変わるため、考える要素もある。今回は最後にeKAZUさんが最後の勝負に出たのをかわし、私が赤ボーナスを取ったものの、コツコツと溜め込んでいたRaelさんに1点及ばず。短時間ながらさまざまなドラマがあり、繰り返し遊びたい何かをもっている作品だと思った。ファランクスというメーカーのマイナーさがなければ、もっとドイツでも評価されたかもしれない(同じことは、マハラジャにも言える)。

上へ前回のゲーム会レポート一覧トップページ