山形ゲーム会 05/05/07

山形ゲーム会 05/05/07

法事が続いた山形滞在で息抜きのゲーム会。この半日さえあれば、どんなハードワークでもリフレッシュできるような気がする。お客様はYBgC(山形ボードゲームクラブ)からmuraさん・上野さん、STGS(庄内テーブルゲーム研究会)からnagaさん、仙台・遊友会から神尾さん、夢さん、吉村さん、QTAさん、光の翼さんの5名で計9名。目的は何と言ってもルイ14世で、はじめに全員の前でインストしてから卓分けをし、4人ずつ2回に分けて遊んで頂いた。インストする人がゲームに入らないとたいていルールを把握しきれない上に、ルイ14世のルール量はそこそこあったが、さすがゲーム慣れしたこのメンバー、2,3の質問点をクリアするとすんなりとプレイに入っていた。
メインはルイ14世だったが、私はインストのみでプレイには入らず、その裏で新作をたくさん遊んだ。

仮面舞踏会マニラバベルの塔Potatoでチョ!黄色の勝ちピックアディリーダイヤモンド

仮面舞踏会(Masquerade / S.Nakamura / Yuhodo, 2004)

仮面舞踏会愛着がわくマイ・ダンサー

 それぞれ能力の異なるダンサーを駆使して宝や紋章を集め、VP(勝利点)を稼ぐカードゲーム。手持ちのダンサーだけでなく、プレイ順や呪文、獲得した宝や紋章からも特殊能力が得られます。これらの特殊能力のコンボで、ガーディアンと呼ばれる宝の番人を倒したり、他のプレイヤーを攻撃したりして、得点を稼ぎましょう。
 自分のダンサーは最初に選ぶもので、プレイヤーによって異なります。攻撃力が高くて呪文が得意でないものからその反対まで6種類。初期能力の配分が異なるのは、コズミックエンカウンターなどにありますが、弱点を補いながら長所をタイミングよく発揮させていくことが勝敗を分けるでしょう。
 このゲームは遊宝洞がこれまでに発表している3作のうち最もフリーク向けのゲームとされています。特殊能力の入り組んだ重層性がゲームの妙となっており、遊ぶほどに味わいが出てくる作品だと言えそうです。1度遊んだだけでそのアヤを把握するのは至難ですが、ルール自体は分かりやすく、初回でも2,3ラウンドするうちにだいたいコツをつかめました。今回は呪文が得意なダンサー「言霊つかい」をもちながら、呪文をうまくつかいこなせなくて戦いで犬死する場面が目立ち、敗北。しかし相手の出方をうかがいながら先手をとっていくのは、スリルがあって楽しめました。

マニラ(Manila / F-B.Delonge / Zoch, 2005)

マニラ運のマネージメント

フィリピンを舞台にしたギャンブルゲーム。3艘の船に荷物を積んで、ダイスで港を目指します。荷物が着くも着かぬもダイス運次第。そこでプレイヤーたちは確率計算と勘をたよりにして、一番儲かりそうなところに、さあ張った張った!
 競りで決められたスタートプレイヤーから順々に、お金を払って自分のコマを張っていきます。船が着けば儲かるところ、逆に着かなければ儲かるところ、海賊となって一か八か略奪を試みるところなど、張るポイントは20箇所ほど。
 全員が1つずつ張ったら、ダイスを振って船を進めます。おっととと、後ろの方にいた船がいきなり突進し出したかと思えば、トップを走る船が1つしか進まなかったり、ダイスは人の思い通りにはなってくれません。ちぇっ。
 船を進めたら自分のコマをまた1つずつ張っていきます。船の状況に合わせてね。張ったらまたダイスで船を進め、最後にもう1度張ります。つまり3回ダイスを振り、船をその分進めながらその都度張っていくわけです。後になるほど結果が読めますが、いいポイントは先に押さえられているかもしれません。
 船が着くかどうかはダイス次第。「○台着く」「○台着かない」などに賭けている人は、当たれば収入が入ります。到着すれば、載っていたコマの持ち主に収入が入り、またその荷物の株価が上がります。誰が何の株を持っているかは最後まで内緒ですが、株を集めて勝負するのもよいでしょう。
 どんな行動も全て一か八かになるルーレットのようなゲームですが、他のプレイヤーの持ち金を見ながら、1位を取れるようできるだけ高い確率で高い収入になるところを考えるのは、なかなか戦略的です。お金がなくなってきても慌てて変なところに張らない冷静さも勝つために必要です。でも最終ラウンドは、1位逃げ切りを目指して安全策をとる人、一発逆転を狙って穴馬に走る人など、人生の縮図を見る思いがしました。

バベルの塔(Der Turmbau zu Babel / R.Knizia / Hans im Glück, 2005)

バベルの塔伸るか反るか

今年のフリーク向け新作としてルイ14世とともに注目された作品。クニツィアとハンス社とあれば期待が高まりますが、ボコスカダイスウォーズのグラディエーターはさほどでもなかったので相性というものがあるのかもしれません。オーバーホフ・ゲーム会で12位ほか、ムーン氏のザ・ギャザリング・オブ・フレンズに参加したトロンキスト氏もドライで面白くないと評しています。
 古代ギリシャ周辺にあったといわれる世界の七不思議+バベルの塔を、力をあわせて建築していきます。でも高い名声を得るためには、他の人よりちょっとだけ抜きん出ることが必要。誰とどれくらい協力し、どの建物を建築すればいいのか、力関係は微妙に揺れ動きます。
 手番プレイヤーが建物を選んだら、何枚協力するか全員カードを提示します。手番プレイヤーはその中から1人を選んで建築。自分で全部出して誰の協力も仰がずに建築することもできますが、カードの無駄遣いをしないためには適度な協力を仰ぐのが正解でしょう。でも協力も過ぎれば手柄を乗っ取られてしまいますのでほどほどに。そんな手番プレイヤーの心境を読んで他の人は何枚カードを提示するか考えます。盤面の状況とにらめっこしながら行う心理的な駆け引きがたまりません。
 建築すると、カードを出した分だけ建物コマを置きます。1つの建物について3回、建築が行われると建物は完成したことになり、その時点で置いてある建物コマが一番多い人から名声ポイントが入ります。1コマも無駄にすることなく、どの建物なら勝てそうかじっくり考えましょう。
 しかしゲームの終わりは突然やってきます。建設した人がもらう建物チップが一色でも切れたら即終了。チップは集めたい、でもぐずぐずしていると他の人も得点してしまう、そこでいつ終わらせるかというタイミングを計ることも大切です。
 ボードが地味なこともあり華がないという評もありますが、少しのミスも許されないクニツィアらしさが発揮された悩ましいゲームです。特に終盤、いつゲームが終わってもおかしくない状況での攻防はエキサイティングで身震いのする思いがします。戦い方も積極的に建設に関わる方法、パスして手札をためこむ方法、その折衷策と、戦略に広がりがあり、さらには60分以内でさっくりと終わってしまうこともあって、ルイ14世以上に何度も遊びたいと思わされました。

Potatoでチョ!(Potato de cho! / Fugo Hal / Hobby Space, 2005)

ポテトでチョ!指と指がガチーン

中央に並んだポテト。周囲の皿の上に両手の人差し指を置いて、「ポテトでチョ!」 バッティングしたらダメ、一番多く指を置いた人がポテトを獲得できます。ギザギザうすしお、コンソメ、ゴールド、それとも誰も狙わなさそうなゲキカラ? 「?」チップでイベントを起こすのもありかな?
 今年のゲームマーケットを皮切りに発売された国産アクションパーティゲーム。大きいポテトを狙いたいけど、ほかの人も同じことを考えているかもしれない、と思ったら大きいポテトは意外と手付かずで小さいポテトの熾烈な争奪戦があったり、やっていること自体の馬鹿馬鹿しさも手伝ってかなり笑えます。そして、いつの間にか本気になって燃えます。
 バカゲーかと思いきや、裏返しになっているチップはそのまま取らなければならなかったり、ゲキカラチップは一番多く集めるとマイナス点だったり、頭もちょっとは使わなければなりません。「?」チップを取ってサイコロで4を出すと、ユンケル効果が発動、指が4本になります。これで思いのままに特大チップをイタダキ! ずるいよ、それ(笑)。

黄色の勝ち(Gelb gewinnt! / Traditional / Kosmos, 2005)

黄色の勝ちスピーディーで盛り上がる

イタリアのスコバというカードゲームを製品化したもの。チップをたくさん集めるのが目的です。
 はじめは手札が3枚、場札が4枚。順番に手札を1枚ずつ出していく。場札と同じ数か、場札を合計して同じ数になる手札だったら場札をゲット。場札をクリーンアップできればチップをもらえる。3枚出し終わったらまた3枚配って再スタート。山札がなくなったら、黄色の7を取った人、黄色を一番多く取った人、青も含めて一番多く取った人がそれぞれチップを獲得。数ラウンドやってチップの多い人が勝ち。
 これだけのゲームですが、これが伝統の強みというものか、不思議と燃えます。自分の番が来たとき、場札が自分の都合のいいようになっていればいいのですが、狙っていたカードを直前のプレイヤーに取られてガッカリなんてことも。場札がなくなったとき、1枚出して、さらに次の人が同じカードを出すと連続クリーンアップになるのが楽しいです。青3枚に対して黄色が1枚の割合でしか入っていないので、黄色を取ったときは嬉しく、特に1枚でチップになる黄色の7は貴重なため、取るチャンスが来ると飛び上がりたいほどです。

ピックアディリー(Pick A Dilly / Hartmut Kommerell / Abacusspiele, 2005)

ピックアディリー周りは自分のことをどう見ている?

バッティングすると負けというゲームは数あれど、バッティングすると大儲けというゲームはあまりお目にかかりません。各自円盤をもち、自分も含めてニワトリを一羽指定します。全員一斉にオープンして、どのニワトリが指定されたかを調べ、誰からも指定されていなければタマゴ1個、指定がバッティングしていればタマゴ2個以上を獲得できます。タマゴを規定数集めた人の勝ち。
 最悪なのは1人から指定された場合で、何ももらえません。誰かから指定されそうだなと感じたときは、自分自身を指定し、バッティングを誘いましょう。でもその思惑が外れると自爆も。
 このほかに雄鶏を指定し、自分のニワトリのところにくればタマゴをもらえるという方法もありますが、雄鶏も他の人の思惑で通り過ぎてしまったり。狙っても必ずしも邪魔できるとは限らないので、口三味線を多用しながら、わいわい遊ぶのがよさそうです。

ダイヤモンド(Diamant / B.Faidutti, A.R.Moon / Schmidt, 2005)

ダイヤモンドあと1枚、あと1枚、あ・と・1枚!

カードをめくってダイヤモンド鉱山を掘り進んでいきます。1枚めくるたびに全員さらに進むか引き返すかを意思表示。早めに引き返せば安全にダイヤモンドを獲得できますが、上がりが少ないかもしれません。でも深追いしすぎると鉱山が崩れて全てがパーになるかもしれません。1枚めくるたびに、度胸が試されます。
 単純なバーストゲームながら、人が減っていくにつれて分配される宝石が増えたり、1人で引き返すと坑道に残された宝石を独り占めできたり、本当にダイヤモンド鉱を掘り進んでいるようなリアルな味わいがあります。引き返した直後に次々と災害が起きて鉱山が閉鎖されると、結果論であることは分かっていても「俺の判断が正しかった」という気持ちになります。
 これがムーンとフェドゥッティの共同作品なのかと思うと物足りない感じもしますが、ルールもシェイプアップされていて、万人にお薦めできるものに仕上がっています。かなり盛り上がりました。

nagaさんのレポート(庄内テーブルゲーム研究会)

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