自宅ゲーム会03/04/12

自宅ゲーム会03/04/12

共同で個人輸入を行い、その受け渡しを兼ねたゲーム会。ボードゲームのおもちゃ箱から鷹村ナクトさん、さとーさん、白紙さん。鷹村さんたちは神奈川から、白紙さんは京都からのお越しである(ほんとうにお疲れ様、そしてありがとうございました)。茨城県内からはおなじみの康さん、Moさん(いつもありがとうございます)。Seさんは仕事が入って来られず(今度遊びましょう)、妻と私とで総勢7名となった。最初から2卓になる予定だったが、6人で遊べるゲームを3つ遊び、遅めの昼食をはさんで白紙さんがいらっしゃったところで3:4に分かれた。時間は11時~19時。

たいていのゲームは4~5人プレイが面白いようにできているため、6,7人になると遊べるゲームが限られてしまう。以前はこれが悩みだったが、この頃は3人や6人以上で楽しいものも揃ってきて、人数に応じてゲームを選ぶことができるようになった。あえて欲を言うならば、来てくれた方ひとりひとりの人となりを知り合えればよいと思ったが、それにはもっともっと時間がかかることなのだろう。終わってからの夕食時にゲーム談義に花を咲かせながら、いらっしゃった方のゲーム以外の側面についても知りたいと思った。プライベートなゲーム会では、ゲームは目的であるだけでなく親睦の手段でもある。1回、また1回と重ねるごとに相手の性格が徐々にわかってくる。そして赤の他人が知り合いとなり、知り合いが知己となる。そういう積み重ねを大切にしたいと思った。

カサブランカさるとかきのきライフスタイル冷たい料理の熱き戦いロード・オブ・ザ・リング~2つの塔建てろ!タイム・イズ・マネーそっとおやすみ
(ゴブレット、プエブロ、ワードリンク、ラッキー5、クレイジークッキングも遊ばれたが不参加のためレポートなし)

カサブランカ(Casablanca/E.Solomon/Amigo, 1991)

カサブランカカサブランカの街で機密書類の入ったスーツケースをスパイに持ち帰らせるゲーム。「ヒュレ7」「ブラックボックス」などアブストラクト系が今残っているエリック・ソロモンの作品で、1991年の年間大賞にノミネートされています。日本では「シグマ・ファイル(セブンタウンズ、1970)」というタイトルで紹介されることが多いようですが、「エージェント(ペリカン、1975)」「コンスピラシー(MB、1980)」と来て、アミーゴから1991年にこのタイトルが出されるまで、3回のリメイクで20年以上遊ばれてきたゲームです。
 ボード上には8人のスパイがいます。どのスパイが誰のものというわけではありません。あるスパイが、ボード中央からスーツケースをアジトに持ち帰った時点で、そのスパイに一番多く懸賞をかけていたプレイヤーが勝ちます。
 各プレイヤーは懸賞記入用紙とそれを隠すシート、ペンを持ちます。はじめ3人のスパイに持ち金の10000ドルから自由に懸賞をかけて、ゲームスタートです。
 手番にはコマを1つ移動する、同じマスにいるスパイを暗殺、懸賞を増額するのいずれかができます。スーツケースのあるマスにいれば、移動のときにスーツケースを運べます。ただし、運ぶためにはもう1人のスパイがそのマスにいなければなりません。こうしてスパイたちはボード上を行ったり来たりしながら、激しいスーツケース争奪戦を繰り広げます。
 移動と暗殺には、他のプレイヤーが反対できます。反対が出たら、どれだけ懸賞をかけているか明らかにして比べあい、より多く懸賞をかけている方の意見に従います。高い懸賞をかけていることがわかってしまうと、そのスパイのマークが厳しくなってしまうので、いかにほかのプレイヤーの注意をそらすかがひとつのポイントです。目立つスパイを消した暗殺者が、今度は別のスパイに消される…なんてハードボイルドなことが起こります。多額の懸賞をかけていたスパイが消されたときの悔しさったらありません。
 終盤は、あと数歩でアジトに帰れるスパイを取り巻いて、敵か味方かわからないスパイがうろうろします。目星をつけて懸賞を増額するか、それとも暗殺を仕掛けるか、はたまたノーマークのスパイでスーツケースを奪い取るか、みんなの思惑が複雑に絡み合い、予断を許さない緊迫した状況になります。
 1回目は反対のタイミングをつかめずにあっさり終了。2回目は序盤から暗殺が続き、少ないスパイのせめぎ合いとなりました。レッドがアジトに帰るちょっと前の混戦状況に、思いっきり懸賞を増額したMoさんの勝利。決断力が要求される心理戦のゲームですが、ほかのプレイヤーの持ち金が推測できるようになっており、戦略性の要素もありました。それでいて、手番にできることが少ないため、多人数プレイ(8人までプレイ可能)でも待ち時間がありません。最後に向かって盛り上がっていくところもよくできており、長年愛されてきたゲームだということもよくわかりました。参加者も全員面白いと言ってくれました。
さとーさんのレポートボードゲームのおもちゃ箱

さるとかきのき(Monkeys Rushing at Persimmon/Nise/Original, 2003)

さるとかきのきカニに捕まらないようにして柿のみを取るカードゲーム。未発表のオリジナルゲームのプロトタイプです。(英題は私が勝手につけました)
 柿の実のうまさを知ったサルが、兄弟で4本の柿の木に群がります。カニに捕まってしまうと柿は食べられません。カニの目を盗んで一番おいしいところを食べられるサルは誰でしょうか?といったストーリーです。
 プレイヤーのうち1人がカニの役になります。手札から1枚を一斉に出して、カニのプレイヤーと同じ方角のカードを出してしまったら、カニのポイントになります。捕まらなかったプレイヤーは、数字の順にカードを並べてポイントをもらいます。3枚目に置ければ最もおいしい柿の実が食べられたということでポイントが高くなります。
 6ニムトのような手軽さと、ジャパニーズテイストがマッチしていい感じのゲームになっていました。このゲームはウェブサイトボードゲームのおもちゃ箱ボードゲーム工房で無料配布されていますので、興味のある方はダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
さとーさんのレポートボードゲームのおもちゃ箱

ライフスタイル(Life Style/Unknown/Ravensburger, 1989)

ライフスタイルお題に合うと思う写真を選んで、ほかのプレイヤーと意見を合わせるコミュニケーションゲーム。ドキドキワクワク相性チェックゲーム(レポート)と似ていますが、比べ物にならない大量の写真で1990年の年間大賞の美術賞を受賞しています。
 環境、生活、余暇、旅行、状況、料理、職業の7ジャンルから、お題がひとつ出されます。「○○さん(手番プレイヤー)がのんびりしたいと思う場所はどこでしょう」「○○さんが緊急に保護しなければいけないと思っているものは何でしょう」などなど。なおこのお題はドイツ語ですが、たかのさんから訳をいただきました。
 さてそれぞれのジャンルに対応する山札から、写真を5枚とります。このうち4枚を選んで、A~Dのマスに並べます。ここからが勝負です。
 まず手番プレイヤーがお題に合うと思う順に、マーカーを裏向きに並べます。続いて各プレイヤーは、手番プレイヤーがどういう順序で選んだか予想しながらマーカーを裏向きに並べます。
 全員並べたら答えあわせです。各プレイヤーは、なぜその順番で並べたかを説明しながら、マーカーをめくっていきます。「おのさんは、日本の文化を大切にするのでクジラを保護しなければならないと思っています。犬は保護しなくても絶滅しないので最後に来るでしょう」「おのさんは、緑のある生活が好きなので森林を保護しなければならないと思っています。」…その後に手番プレイヤーがマーカーをめくります。「私は、空がなかったら全ての生き物が死滅するので大気の保護が必要だと思います。その次は多くの生き物が棲む森林、クジラは日本食文化として保護しすぎては食べられません。犬は、確かにどうでもいいです」
 手番プレイヤーと順位付けが合っているマーカーについて、1マスずつコマを進めます。こうして全員が手番を1回ずつ行って、プレイヤーの心理をよく読んだ人=もっともコマが進んでいる人の勝ちです。
 今回はさらに発展ルールとして、手番プレイヤーでなくても同じ意見の人がいれば進める小マーカー、合っていれば2マス進み外れれば1マス戻る「スーパーひとしくん」こと透明マーカーも投入。より面白い展開となりました。
 癖のある読みをした康さん・鷹村さんに対して、残りの4人のフィーリングが近いということがわかりました。私がスーパーひとしくんを活用できて1位。常識と思っていたことも実に人によってずれているのが楽しいです。
さとーさんのレポートボードゲームのおもちゃ箱

冷たい料理の熱き戦い(Die heisse Schlacht am kalten Buffet/A.Randolph/Ravensburger,1990)

ダイスを振ってコマを進め、料理を取り合う巨匠ランドルフのダイスゲーム。1990年の年間ゲーム大賞にノミネートされています。ルールはこちら。1回目のプレイ内容はこちら。鷹村さん曰く「これを超えるダイスゲームを作りたいんですよねー」。ゲームデザイナー希望者にとって、見習うところの多い目標だと思います。
ルールは簡単ですが、たくさん遊ばれているだけあってローカルルールがいくつかありました。原文で確認した主な点は、

  • ダイスは1つずつ振る。1つ目を振ってから、その目を見て2つ目を振るか決めることができ、2つ目を振ってから、その目を見て3つ目に挑戦することができる。「個数は手番の最初に決めて一気に振る」というルールが広がっているようですが、それと比べてバースト率が減り、より戦略的になります。「1つ目は4だったかー。2つ目がバーストする確率は2分の1、だけど2が出ればあのコマに相乗りできるな…」というような感じです。これまで一気に振っていたプレイヤーにも「大味でなくなった」と好評でした。
  • 誰かが料理を取っても、全員スタートに戻ることはない。スタートに戻るのは料理を取ったコマと、その下にいる相乗りされていたコマだけです。全員スタートに戻るというルールは書かれていません。
  • ちょうどで止まったら、2つもらう。十分確認したつもりでも今回忘れていたのはこのルールです。相乗りで入っても、もらえるのは一番上のコマだけです。

今回はプレイ可能最大人数の6人で遊びました。ダイス1個で慎重に進んでいるとたちまち相乗りされることになりましたが、かといって一投目で「6」が出たときに6分の1の確率で二投目を振るのもためらわれます。一投目で相乗り、下のプレイヤーが進んでくれた後にダイス1個で上がりという黄金パターンををうまく利用できたMoさんの勝利。運の要素がまだまだ強いため、ツキに見放されると料理があまり取れず妻などはイジけていましたが、それはお腹が減っていたためでしょう。この後、遅めの昼食となりました。
さとーさんのレポートボードゲームのおもちゃ箱

ロード・オブ・ザ・リング―2つの塔(Der Herr der Ringe – Die zwei Tuerme/R.Knizia/Ravensburger,2002)

2つの塔映画をモチーフにしたクニツィアのカードゲーム。概要はこちら
5人までプレイできますが、今回は4人。毎回全力で出していた3人プレイ時とは異なり、勝利ポイントチップの数字も視野に入れながら、先の場所まで見据えた配カードが有効になりました。「でも本編では全然先のことなんて考えていないけどね」などと話しました。
 勝つ見込みが薄ければ、先の場所で勝てるカード集めに走ります。そうなると、他のプレイヤーがどのカードを取っていたかだいたい見ておくことも必要になり、カードの引き運だけで勝負が決まりません。あくまで他のプレイヤーとの力の比較ですので、1枚しか出さなくても勝てたり、手札を全部出しても勝てなかったりします。
 今全部出して勝負に出れば後々苦しくなる、先の場所のために取っておけば今負けてしまうというジレンマが効いており、第1作に続いてクニツィアらしいカードゲームになっています。
 鷹村さんが先の先を読んだプレイで有利に立ちましたが失速。トータルでポイントを稼いできた康さんが1位となりました。
 ドイツでは第1作が映画関連グッズで12万セット、2位という売上を記録しています(そのニュース)。箱も小さく安価なので、日本でもブロマイド代わりに売れば、ボードゲームやミニチュアゲームよりもよく売れると思うのですが、独題「Der Herr der Ringe」ではダメなのでしょうか。またファンタジーフライトがテーマを変えて販売するかもしれません。
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建てろ!(Bau auf!/R.Kurek/Buschfunk, 1999)

建てろ!設備を部屋に取り付けて部屋を作り、2階建ての家を作るゲーム。ルールはこちら
 各プレイヤーは左官屋、建具屋、電気屋、配管屋の4つの職業につきます。ダイスを振るたびに、自分の職業に応じた設備が手に入ります。部屋をつくるには、いろいろな設備が必要ですので、ほかのプレイヤーと交換して手に入れます。
 部屋カードを取り、その部屋に必要な設備を全部取り付けたら完成です。部屋カードは6種類あり、それぞれ必要な設備が違うので、自分の職業などを考えながら作る部屋を選びます。
 6が出るたびに柱が取り付けられ、4本の柱が建つと今度は2階に取り掛かります。そのとき1階で未完成の部屋はそのままになってしまい、点数になりません。ルールブックには、これが社会主義だと皮肉られていますが、そんなものなんでしょうか。
 誰かが2階にも柱4本を建て、次に屋根を設置したらゲーム終了です。部屋ポイント、全種類ボーナス、それぞれの種類で最多部屋ボーナスなどがあり、ポイントの一番高いプレイヤーが勝ちます。
 ダイス運がやや強いゲームですが、ダイス目が悪くて設備が少ししか手に入らなくても、その設備をほしいプレイヤーが2:1交換に応じてくれたりするので何とかなります。柱の上に2階を実際に設置する立体感覚が面白いです。

タイム・イズ・マネー(Time is money/Unknown/Ravensburger, 2003)

10秒、20秒、30秒…体内時計で秒数を勘定しながら、ダイスを振ってお札を集めるゲーム。ラベンスバーガーの新作で、鷹村さんのレポートを見てメビウスから購入しました。
 第1ラウンドは10秒。ひとりが付属のストップウォッチで時間をはかっています。6個のダイスを振って、単独の(他に同じ目が出ていない)目のお札(10~60ドル)を取ります。すばやい判断力と集中力が大事です。お札を取ったらまたダイスを振って、お札をとる…ダイスは何度でも振ることができます。そして、好きなところでストップをかけます。
 その時点でストップウォッチの時間と比べて、10秒より少ないところで止めればその差×10、多ければその差×20のペナルティーを払います。
 第2ラウンドは20秒、第3ラウンドは30秒。さらにダイスの中には+5秒にする目があり、体内時計を狂わせます。ダイスを振って、お札を取りながらの時間感覚ですので、焦りも加わってとんでもなく早く終わらせてしまったり、没頭するあまり大幅に過ぎていたりして、そのたびに笑いが起こります。ジャスト・イン・タイムで終わらせればボーナスですが、プラスマイナス1秒ぐらいまでできれば関の山です。
 経験も大事なようで、鷹村さんが第3ラウンドで荒稼ぎして1位。康さんもなかなか成績がよかったということで、「調理経験者有利説」を語っていました。「ここで養われた能力は、何に使えるかな」という話になり、やはり料理ということになりました。短時間で終わり、人数を選ばず、100%全開で臨むゲームということで、ゆっくり考える戦略ゲームの後などにリフレッシュできそうです。

そっとおやすみ(Schlafmuetze/M.Nikisch/Haba, 2002)

そっとおやすみ手札が揃ったらいち早く伏せるカードゲーム。関西ではよく名前を聞きますが、関東の子どもゲームに疎いゲーム愛好者ではあまり知られていません。白紙さんが京都から持ってきてくださいました。
 カードを配ったら、順々に1枚ずつ右隣りにわたしていきます。同じ絵柄が揃ったら、いつでも手札をテーブルの上に伏せて置くことができます。誰かがカードを伏せたら、自分が揃っているかいないかにかかわらず、全員手札をテーブルの上に伏せておかなければなりません。そのときに一番遅かったプレイヤーが、「おねむちゃん」カードをもらいます。カードを配りなおして次のラウンドになります。
 おねむちゃんカードが全部なくなったときに、おねむちゃんカードが最も少ないプレイヤーが勝ちます。
 ジョーカーがたくさんあるので絵柄は揃いやすいのですが、伏せるのは揃った瞬間でなくてもかまいません。ほかのプレイヤーの視線や気配を見ながら、スキをつくように伏せておくのが効果的です。
 大人がやると、一番遅い人と二番目に遅い人の差が0.1秒くらいで、どちらが遅かったか判定が難しいことが何度もありました。白紙さん曰く、長時間ゲームでヘロヘロになっているときなどにやるとよいそうです。それからどうしても黙々とやってしまうので、必ずおしゃべりしながらやること。とはいえ、笑ってしまうほどみんな上の空でした。「今年のゲーム大賞は何になるかな?」「さあ、なんだろうねえ(←超上の空)」
さとーさんのレポートボードゲームのおもちゃ箱

〈プレイヤーについて〉
鷹村さんは挑戦的なプレイヤー。オリジナルゲームにも熱心なだけあってシステムのツボを探しながら、勝ち筋を探してくる。ときに一か八か極端な一手に走ることもあり、ギャンブラーなのかもしれない。一方さとーさんはシステムのツボを探しながながらも、バランスを重視したプレイを心がけているように見えた。手堅い。一緒に遊び始めて2年になる康さんはプレイを盛り上げるセリフがうまい。「狂言回し(筋の運びや主題の解説を行う進行役、たかのさんがよく使う言葉)」的な役割で、心理戦をより複雑にする、運ゲームを飽きさせないなど、ゲームを楽しむお手本となっている。口三味線が嫌らしくないのは人格のなせる業か。Moさんもゲームを盛り上げる方向性を大事にしているように見える。ときには自分の損になってでもウケの取れる一手を打ってくるように見えて、実は損して得とる式で勝率が高かったりする。「三谷幸喜に似ている」と妻。白紙さんは卓が分かれてしまったのでまだ打ち筋をよく見ていないが、近場に引越しされ、これからプレイ頻度が高くなるのがとても楽しみ。夕食にお話してゲームの知識が非常に深いことがわかった。「沢田研二に似ている」と妻。

康さんのレポートIGA
鷹村さんのレポートたのしくあそぼ~て~ぶるげ~む

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