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ビッダーズ!(Bidders!)

儲けも国民の支持もなく
ビッダーズ!
とあるどこかの国で、無駄なものばかり作る国王と、国民から支持される皇太子の事業に巧みに入札して利益を上げるカードゲーム。ワンモアゲームズ!がゲームマーケット2015秋で発表した。利益が2つの事業間で移動する中で、どこで見極めを付けるかが試される。
毎ラウンド、国王の事業と皇太子の事業が提示される。国王の事業は利益が高いが落札すると好感度が下がる。皇太子の事業は好感度が上がるが、はじめは利益が全くない。最終的には利益勝負だが、その前に好感度が一番低いプレイヤーは脱落してしまうので、両天秤で考えていかなければならない。
順番に、どちらかの事業に入札(手持ちのコマを出す)するかパスをする。ここで面白いのは、国王の事業に入札するたび、その利益を皇太子の事業に流すところだ。例えば落札すれば9ドルもらえる事業を、7ドルでもいいといって、差し引きの2ドルを皇太子の事業に移す。「いや私は6ドルでやりますよ」「それなら私は5ドルで」こうして皇太子の事業ははじめ全く利益が出ないものだったはずなのに、次第に利益が移されて増えていく。
こうなると皇太子の事業のほうが利益も好感度もいいから、こちらにしか入札しなくなると思うかもしれない。ところが、皇太子の事業はコマの数勝負で落札できるのに対し、国王の事業は1~2個で入札でき、最後に入札した人(もうそれ以上の安値では誰も引き受けないとき)が落札する。コマは基本的に毎ラウンド1個ずつしか返ってこないので、手持ちのコマが少なければ国王の事業に入札せざるを得なくなるのだ。
入札していない人が全員パスをしたら、落札した人がその時点での利益と事業カードを受け取る。国王の事業は各プレイヤーが受け取るが、皇太子の事業は落札者の両隣がコマを握って、多く出したほうとの間に置かれる。このプラス好感度は、落札者と多く握ったほうの両方に加算される。
自分の前にある事業、左隣のプレイヤーとの間にある事業、右隣のプレイヤーとの間にある事業からコマを1個ずつ回収して次のラウンドへ。同じところに複数の事業が置かれると回収率が悪くなり、ゲーム終了までほとんど入札できなくなるので注意したい。
10ラウンドでゲーム終了。残ったコマは好感度や利益になり、好感度を合計して最下位は脱落。残ったプレイヤーで落札した事業の利益勝負をする。
4人プレイで40分ほど。国王の事業で高額な利益が出ないように牽制し合った結果、ことごとく低額で落札されることになり、その分、皇太子の事業に人気が集まった。手持ちのコマをほとんど全部投入して落札し、残りのゲームは国王の事業に入札し続けたのも、低額化を加速した。国王の事業はほとんどが半額近くで落札。「私がもっと安くできます」「いえ私が」後半の入札は、コマが少なくなったプレイヤーの足元を見まくり、少ないコマで落札されることも。
2つの事業をめぐって行われる駆け引きは独特。システムの美しさが光る、考えどころの多いゲームである。
Bidders!
梶野桂/ワンモアゲーム!(2015年)
3~5人用/15歳以上/30~40分
ワンモアゲーム!:Bidders!

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『トワイライト・ストラグル』日本語版、4月30日発売

クロノノーツゲームズは4月30日、冷戦時代の米ソの戦いを描くボードゲーム『トワイライト・ストラグル(Twilight Struggle)』日本語版を発売するA.グプタ、J.マチューズ作、2人用、13歳以上、180分、7800円(税別)。
2005年にGMT社(アメリカ)から発売された作品。ボードゲームデータベースサイト”BoardGameGeek”で長い間、ボードゲーム部門、ストラテジーゲーム部門で1位に君臨し続けてきた作品がようやく日本語版となる。カードなどに記載されている政治・軍事関連の専門用語も全て日本語化され、ゲームをより理解して遊べるようになった(テキストは最新版に準拠)。
ゲームは第二次世界大戦後からソ連崩壊までを、歴史に沿って進められる。手番にはカードを1枚プレイし、イベントを起こしたり、ボード上に影響力マーカーを置いたりしていく。クーデターで政権をひっくり返したり、宇宙開発でアドバンテージを得たり、核開発で相手を追い込むこともできる。
アメリカ・ウォーゲームのテイストと、ドイツゲームのシステムを融合した作品だ。
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