Posted in  あ行 国産

アマタノ儀式(A Lot of Rituals)

伝えたい単語がないときは?

さまざまな人工言語で指示をして、4つのアイテムで儀式を行うコミュニケーションゲーム。よぐゲームズがゲームマーケット2021大阪で発表した。10分間で10問をクリアする協力ゲームモードと、正解によるポイントを競う対戦ゲームモードがある。

カードの組み合わせで「何を」「どうする」が決められるので、師匠(親)は辞書を見ながら今回の言語で指示する。通訳者はその指示を聞いて、ほかのプレイヤーに日本語で指示する。ほかのプレイヤーはその指示を聞いてアイテムをもったりもたなかったりし、今回の「呪文」を唱える。正解ならば師匠が正解であることを宣言して次のお題へ。こうして10分以内に10問クリアするのが協力ゲームモードだ。

チュートリアルで使う「レンシュー語」では例えば、師匠が「マルマナッチュ、レフタルデデツーカ(自然の丸いものを左手で持つ)」と言い、通訳が辞書を見ながら「石を左手で持ち、ジュモモーンと言ってください」というように指示する。他の人がその通りにできれば師匠が「イエース」といって次のお題へ。

いちいち辞書を見ていると時間がなくなるので、よく使う言い回しはできるだけ早く覚えてシェアしないと、時間内では終わらないだろう。

1ゲームでは1言語しか使わないが、全部で26の言語が本になって収録されている。使うアイテムと行動は変わらないが、肝心の単語がなかったり、どの単語も非常に似通っていたり、辞書の解読が必要になったりして一筋縄では行かない。師匠には創造力が、通訳には解釈力が、他のプレイヤーには理解力が求められる。

それでも最初はたどたどしかったのが、時間が迫るにつれてネイティブ?と思うくらいになってきて心地よい。次第に他プレイヤーが師匠の言葉で直接儀式ができるようになれば、通訳はちょっと補うだけでよい。聞いたこともない言葉で通じ合うことで生まれる一体感が、協力ゲームの醍醐味を引き立たせている。

アマタの儀式
ゲームデザイン&アートワーク・赤瀬よぐ
よぐゲームズ(2021年)
3~6人用/10歳以上/20~30分

Posted in は行  国産

ホッタイモイジンナ(What Time Is It Now?)

空耳スキルを磨く

カードで組み合わせられた外国語の単語をスマホで聞いて、日本語で何と聞こえたかを合わせるコミュニケーションゲーム。梟老堂がワールドワードゲームフェスティバル2019で発表したものが話題となり、今春クレーブラットから一般発売された。旧版ではグーグル翻訳を使って音声を流していたが、新版では一言語増えたほか、ネイティブが録音した音声が聴けるようになり、さらにホワイトボードとペンが付いた。

ウクライナ語、ウルドゥー語、タイ語、テルグ語から1つ選び、その言語からカードをランダムに2枚選ぶ。文字は読めないので付いている番号をスマホで開いた専用サイトに入力し、音声を流す。何回か聴き直しても良い。

各自、それが何と聞こえたか、自分のホワイトボードに日本語で書く。全員が書いたら発表して、部分一致・完全一致で得点が入る。これを何ラウンドか繰り返して、得点の多かった人が勝者となる。

タイ語にはほとんど確定的なものがあるが、その他の言語は聞こえ方が人によって分かれる。はじめは聞こえたままを書くだけが、ゲームが進むにつれて、脳内で補ったり改変したりして面白いことを書きたくなり、メンバーによってはいつの間にか大喜利ゲームのようになることもある(ほかの人とかぶらなくて無得点でも、ウケれば満足できる)。

どう聴いても日本語にしか聞こえないときは書く前から笑いがこらえきれず、日本語に聞こえないときは脳内変換の上手さに唸る。笑いあり、感心ありで広く楽しめるゲームだ。

ホッタイモイジンナ
ゲームデザイン・福夕郎/イラスト・やまぐちかおり
梟老堂(2019年)+クレーブラット(2021年)
2~6人用/14歳以上/15分
イエローサブマリン:ホッタイモイジンナ