シュピール’24:シュピールヴィーゼ出版
ゲームデザイン:R.ツァリンデ&J.メルクル、イラスト:S.ミュラー、2~6人用、8歳以上、15分。
リズムに合わせてみんなで声と動きを合わせる協力ゲーム。カードの並び順に全員で「ミーツェカッツェ」と言いながら指示されたアクションを行う。1回成功するたびにカードが追加され、ネコやネズミのコンポーネントをつかんだり、言葉を変えたり、テンポが速くなったり遅くなったり、音節や小節が増減したりするなど、コンボが増えていくが、前のカードは伏せられるため、それまでの動きを覚えて置かなければならない。誰かがずれると失敗となり、ヒットポイントが減らされる。9ヒットポイントがなくなるまでに成功した回数が成績となる。
ゲームデザイン:A.クリスチャンセン、イラスト:L.ジーグモン、3~8人用、8歳以上、30~45分。
角刈書店の『単語探知機タンタンゴ』と似た協力ワードゲーム。7×7の地図になったボードの四方向に形容詞2つと名詞2つを設定する。1人が座標を指定され、その座標を当ててもらえるような単語を考える。他のみんなで相談してここだと思う座標を指定し、1マス違いまでなら得点。10回の合計得点で成績を出す。ビーチはピンクか爽やかか、ドラゴンは氷のように冷たいかしわしわか、キウイは毛深いか柔らかいか?
ゲームデザイン:J.ニューマン、イラスト:A.フィルジック、1~5人用、8歳以上、15~20分。
各自自分の前に花床カードを重ねて得点パターンを作るカードゲーム。カードはさまざまなパターンで2×3マスの花床が描かれており、3枚の手札から1枚を出し、すでにあるカードに2マス以上覆うように重ねる。そして中央の場札で示された花について、連続するマス数がトップならばカードを獲得し得点になる。そして再び手札から、自分が得点できそうなカードを中央の場札に1枚出し、2枚補充する。山札がなくなったらゲーム終了で、合計得点を競う。
ビアパイオニア(Bier Pioniere)
ビールを配達するまでの長い道のり
1850年頃のドイツで、アルトビアしか作れないビール醸造所を発展させ、さまざまな注文に応じて出荷し、名声を競うワーカープレイスメントゲーム。2018年に設立されたドイツのボードゲーム出版社の作品で、今年ドイツ年間エキスパート大賞の推薦リストに選ばれた。
メインアクションを行う経験値付きワーカー、メインアクションに付随してボーナスアクションを行うミニワーカー、次ラウンドの手番順を決めるワーカー、自社内で工場管理を行うワーカー、配達などを担当するトラックと、ワーカーが5種類いて、それぞれ置けるアクションスペースが異なるのがこのゲームの特徴。これによって優先順位の整理がしやすくなっている。
最初はアルトビアしか作れない。それ以外の5種類(ピルス、エクスポート、ラガー、ストロング、ヴァイツェン)の製造ラインをアンロックすると醸造できるようになる。醸造アクションでダイヤルが製造ラインに置かれ、回転アクションでダイヤルを回転させ「0」になるとビールが完成する。完成したビールは地下貯蔵庫に置かれ、樽アクションで用意した樽に詰める。手札の注文カードに指示されたビールが揃ったらトラックで出荷アクション。これでようやく勝利点が入る。他にも細かく点数を稼ぐ方法があり、誰かが20勝利点になったラウンドでゲーム終了となり、最終的な勝利点で勝敗を決める。
最初の注文を満たすまでが長く、数ラウンドはほとんど得点が入らないが、中盤から工場の改良が進み、より早く醸造し、より多くの樽を用意できるようになるので、どんどん得点できるようになっていくのが気持ち良い。
ワーカーについている経験値と、アクションスペースの数字を足して「6」以上だとボーナスアクションができる。ワーカーの経験値とボーナスアクションはそれぞれアップグレードできるので、1ラウンドでできることが増えていく仕組みだ(ワーカーの経験値をアップグレードするのは、正確には有能なワーカーを雇用し、それまでのワーカーを退職させることを指す。それまでのワーカーには地下貯蔵庫の整理をさせる。世知辛い)。
次ラウンドの手番順を決めるワーカーにもアクションがあり、効果が強いものほど次ラウンドでの手番順が下がる。カード1枚をもらうだけなら必ず次のラウンドで1番手になれるが、中立のワーカーを取って追加アクションをすると最後手になってしまう。
手札から出すカードはマルチユースになっていて、ダイヤルの回転数や樽の調達数を累積的に増やす緑エリア、注文で使う紫エリア、特殊能力で使う白エリアがある。どれとして使ってもよいが、3エリアのうちいずれか1つでしか使うことができない。紫としても白としても使いたいカードが来ると悩ましい。
「同じ種類のビールを3つ醸造する」「4種類のビールを醸造する」など、早取りで勝利点が入るボーナスでは競争があるが、ワーカーの種別が設けられていることで、ワーカープレイスメント特有のブロッキングは緩めで、ほぼ計画的に醸造を進めることができる。それゆえ無駄を排した効率性が問われ、フリーク好みの作品となっている。そしてゲームが終わるとドイツビールが飲みたくなっているのは、暑さのせいだけではないだろう。
Bier Pioniere
ゲームデザイン:T.シュピッツァー/イラスト:H.リースケ
シュピールファイブル(2023年)
2~4人用/12歳以上/75~100分