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4日目 中休み

朝はヤポンブランドのサンプルをもってシュピールボックスのKMW(K-M.ヴォルフ)氏と会談。この頃ゲームの寿命が短いのはインターネットで情報がすばやく流れるせいだろうと分析していた。ゲームの評価というものは主観的、相対的なもので誰かが面白くないといっても実際遊んでみると気に入ったり、その反対だったりすることはよくあるものだ。しかし誰かつまらないと書けば買い控え、面白いといえば一斉に買うという傾向は今のウェブ社会では避けられないのかもしれない。ロングセラーや末永く遊ばれるゲームが少ないのは残念なことだ。

 お昼前から『魔法使いの夜』の作者K.ベッカー氏にインタビュー。この結果は『シュピール』に掲載される予定。禅に興味をもっていて弓道と禅は関係あるのか聞かれたが、あまり関係ないんじゃないかなぁ。

 それから『スペースディーラー』をまる1ゲーム遊ぶ。砂時計を使って設備をグレードアップしたりものを生産して売買したりする異色のゲーム。慣れていないと自分の行動に精一杯でインタラクションが極端に少なく感じるが、これまでにないプレイ感覚はピカイチである。

 午後はヤポンブランドで過ごす。『キャメロットの影』のB.カタラ氏とS.ラジェ氏が立ち寄ったり、『アド・アクタ』のA.マイヤー氏が『R-ECO』を買いにきたりするなど、何度も鼻血が出そうになった。ドイツでのディストリビューター探しは、CEマーク(ヨーロッパのSTマーク)がないのでお預けになったが、いくつかのショップとコンタクトが取れたようだ。売り上げは今日も約30万円ほど。

 夕方にはノルウェーゲーム大賞のR.レーダー氏と情報交換。国内メーカー13社を一堂に集めてゲーム賞の立ち上げを説明し、各社は賛同してエントリー料金を1タイトル何万円か払った。国産(オリジナル外国産を含む)限定でエントリーは50?75タイトル。子ども向け、家族向け、パーティという3つの部門でそれぞれ第一次選考委員が投票し、上位5タイトルをノミネート。そして一般公募+委嘱の最終選考委員が大賞を決定する。ノミネート料、大賞受賞料とそのたびにメーカーが負担するが、宣伝効果が大きいので不参加はいなかったという。音楽業界にいたレーダー氏がレコードやデジタルゲームの賞からヒントを得て作ったシステムだ。う?む、これもまたすごい。

 帰りにフェアプレイのブースで人気調査を見たところ、木金の2日間の中間集計、25票以上の獲得で上位からコスモスの『大聖堂(Die Säulen der Erde、1.7)』、ダヴィンチの『レオナルドダヴィンチ(Maestro Leonardo、1.8)』、フリカンの『ミスタージャック(Mr.Jack、1.8)』、エガートシュピーレの『スペースディーラー(Space Dealer、1.9)』、イスタリの『イスファハン(Ysphahan、2.0)』、マインド・ザ・ムーブの『ヘマゴール(Hemagor、2.2)』、ラベンスバーガーの『アルカディア(Arkadia、2.2)』、ハンス・イム・グリュックの『タルヴァ(Taluva、2.4)』。

 夜はヤポンブランドでお手伝いをしているドイツ人のヘニングさんの招待でデュイスブルク観光。シュヴァインハクセ(豚のすね焼)を食べビールを飲んで、鉄工所跡を散策した。ドイツに来てもずっとメッセ会場にこもっているので、外のドイツを満喫できたのは望外の喜び。一部壊れてしまっている方もいた。

車で送ってきてくれたヘニングさんのお父さんがおもむろにビールを飲んでいるので、「いいのか?」と聞いたら「ドイツでは1、2杯はいいんだよ」と。そして帰りは酒気帯びの高速道路となった。

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3日目 開幕!

 インタビューは『ケイラス』の作者W.アティア氏。デザイナーである前に、プレイヤーでありたいというゲームへの情熱が物静な人柄からにじみ出ていた。『ケイラス』は『アメン・ラー』を遊んでいるときにアイデアをふと思いついて、建物のアクティヴェイトというコンセプトから始まった。イスタリ社とは『プエルトリコ』のトーナメントで知り合い出版につながった。はじめは建物固定だったが、テストプレイヤーの意見を取り入れた結果、フレキシブルな現在のかたちに。とにかくテストプレイをしまくってバランスがよく奥の深いゲームを作るのが、イスタリ社のゲームの秘密だ。

 夕方からはオーストリアゲーム大賞のダグマ・デ・カサン氏とゲーム賞について会談。ゲーム賞は5年前に始まったものだが、ゲームマーケットのような活動を30年続けている。ゲーム賞の選考は11ヶ月間、毎週水曜日に集まってテストプレイやディスカッションをしているということで、ちょっとやそっとでは真似できない。しかも最終選考に残ったゲームから選ぶ最後のひとつは、ゲームのことをあまり知らない芸人とか大学教授なんかに任せるという。「フリークゲームなんて、ドイツゲーム賞に任せればいいのよ。もうゲーム持ってるフリークにアピールしたってしょうがないでしょ? ゲーム持ってない、ちょっと興味がある人に手にとってもらうようなゲームを選ぶの。」

 ヤポンブランドは荷物が夕方になってやっと到着。事前の宣伝効果があってかバカ売れしている様子だ。初日で30万円ほどいったらしい。奥のほうにあるにもかかわらず、いつ行ってもブースは混んでいる。特にカワサキさんの作品は、同じデザイナーということでまとめ買いする人もいる。『R-ECO』を指差し「これはマストバイなんだ」と言うのを聞いて、ウェブの影響が大きいのだと思った。私は『キュージェット』をドイツ語でインストするという楽しい経験をさせてもらった。ドイツ人だから『アベ・カエサル』をみんな知っているのかと思ったら、名前すら知らなかった。いろんな層があるものだと妙に感心。

 夜は恒例のメビウスの能勢さんらと日本人飲み会。「死んだらどうなるのか」「幽霊は存在するか」など妙な話になっていた。