アブルクセン(Abluxxen)
かすめ取られる前に
たくさんカードを出して手札をなくすカードゲーム。数々の大賞作品を世に生み出したW.クラマーとM.キースリングの作品で、ルールを聞いただけではわからない奥深い展開が待っている。オーストリアゲーム賞で大賞、国際ゲーマーズ賞でノミネート、ドイツゲーム賞では金の羽根賞に選ばれている。タイトルは「Abluchsen(くすねとる)」をもじったもので、カードのイラストはキツネ。
『大富豪』のように、前の人と枚数が同じで数字の大きいカードを出していくが、共通の場に出すのではなく、自分の前に出す。しかも、枚数フォローの義務はなく、枚数を減らして出してもよい。あくまで枚数が同じ人同士で数字を比べるだけで、枚数が同じ人がいなければそのままである。このため、選択肢は意外にたくさんある。
より大きい数字のカードを出した人は、同枚数のカードを「くすねとる」ことができる。これで手札を増やして、得点を伸ばそうという魂胆だ。くすねとられた人は場札か山札から補充。くすねとられなかったら、自分が引き取るか、捨て札にして場札か山札から補充する。最終的には自分の前に出しているカードが得点になるので、この競り負けは得点が減るわけだが、チャンスは広がることもある。手札に戻してもっと多くの枚数で出すもよし、場にいいカードがあれば補充して次に期すもよし。再び自分の番が回ってきたとき、新しいカードを出せば前に出したカードはもう奪われない。
1枚で出しても、すぐに上回るカードを出されてしまうだろう。しかしあえて数字の弱いカード1枚出しておいて、誰かが上回ったときに場札のいいカードを補充するという手もある。みんなそれを狙って謎の競り下げが始まることも。
とはいえどんどんカードを出したほうがいいので、後半には数字を揃えて一気に出し、ほかの人が追随できないことを狙う。いつまでも出さないで貯めこんでいると、誰かに上がられて大失点になってしまうだろう。ほかの人の手札枚数もよくチェックして、終了のタイミングを見図りたい。
5人で3ゲーム遊んで40分ほど。最初は何をしたら良いか分からず、ワイルドカード「X」を集めつつ、1枚ずつちびちび出していたが得点が小さい。そこで次は貯めこむ作戦にいったが、早上がりで大失点。3ゲーム目もこれを取り返せずブービー。「次はもっとうまくやれそう」という感覚がこのゲームにはある。カードが出るたびに、同じ枚数を出していた人が一喜一憂するのが楽しかった。
Abluxxen
W.クラマー、M.キースリング/ラベンスバーガー(2014年)
2~5人用/10歳以上/20分
メビウスゲームズ:アブルクセン
ドイツゲーム賞2014に『ロシアンレールロード』
ボードゲームメッセ「シュピール」を主催するフリードヘルム・メルツ社(ドイツ)は15日、25回目となる今年のドイツゲーム賞(Deutscher Spiele Preis)を発表した。愛好者の投票により、『ロシアンレールロード(Russian Railroads)』が1位に選ばれた。
ドイツゲーム賞は、前年の秋から当年の春までに発売された新作を対象として、はがき、インターネット、用紙による投票で選ばれている。5タイトルまで記入する方式で、たいていは5タイトル以上新作をプレイしている愛好者が投票するため、毎年フリーク向けの作品が選ばれる傾向にある。昨年は『テラミスティカ』、一昨年は『世界の七不思議』が受賞した。
今年1位に輝いた『ロシアンレールロード』は、シベリア、サンクトペテルブルク、キエフという3つの路線に線路を引き、技術革新をして列車を走らせるゲーム。昨年の『テラミスティカ』同様、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞の推薦リストから選ばれた。日本ではメビウスゲームズが輸入版を取り扱っている。
エキスパートゲーム大賞を受賞した『イスタンブール』は2位、ノミネート作品は『コンコルディア』が3位で『ロココの仕立屋』は8位。ドイツ年間ゲーム大賞の『キャメルアップ』が5位、ノミネート作品は『宝石の煌き』が10位で『コンセプト』は圏外だった。ドイツ年間ゲーム大賞で推薦リストに入った日本発のカードゲーム『ラブレター』が4位。
一緒に投票にかけられるドイツキッズゲーム賞には、撒き散らされた溶岩コマを集める『ファイヤードラゴン』が選ばれた。授賞式は10月15日、ドイツ・エッセンで行われる「シュピール」前夜祭にて行われる。
【ドイツゲーム賞2014】
1位:ロシアンレールロード(Russian Railroads / H.オーレイ、L.オーグラー / ハンス・イム・グリュック)
2位:イスタンブール(Istanbul / R.ドーン / ペガサスシュピーレ)
3位:コンコルディア(Concordia / M.ゲルツ / PD出版)
4位:ラブレター(Love Letter / カナイセイジ / ペガサスシュピーレ)
5位:キャメルアップ(Camel Up / S.ボーゲン / エッガートシュピーレ)
6位:カヴェルナ:洞窟の農夫たち(Caverna – Die Hölenbauern / U.ローゼンベルク / ルックアウト)
7位:ルイス・クラーク探検隊(Lewis & Clark / C.シャボーシ / ルドノート)
8位:ロココの仕立屋(Rokoko / M.クラマー、L.&S.マルツ / エッガートシュピーレ)
9位:グラスロード(Die Glasstraße / U.ローゼンベルク / フォイヤーラントシュピーレ)
10位:宝石の煌き(Splendor / M.アンドレ / スペースカウボーイズ)
【ドイツキッズゲーム賞2014】
ファイヤードラゴン(Feuerdrachen / C.E.ランザヴェッキア / ハバ)
【エッセン金の羽根賞2014】
アブルクセン(Abluxxen / W.クラマー、M.キースリング / ラベンスバーガー)
・Deutscher Spiele Preis:Preisträger 2014