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北条投了の解散万歳!(Long Live The Dissolution!)

バンザーイ! バンザーイ!
解散万歳
このゲームが発売されたゲームマーケット2014秋の5日後、衆議院が解散した。その解散をまるで見越したようにして作られた同人ゲームである。解散を繰り返す議会で大臣を歴任してお金を儲ける。
全員に閣僚カードを配る「総選挙」からゲームは始まる。ここで内閣総理大臣カードが配られた人が自動的に総理。総理は、1人議長を指名する。議長に選ばれたプレイヤーは大臣になることができない。そのほかのプレイヤーは、配られたカードの中から、自分がなりたい大臣を決めて一斉公開。ほかの人とかぶっていなければその大臣になれる。こうして閣僚が決定する。何とも簡単な手続きだ。議長と閣僚になった人は、歳費を受領できる。
組閣が終わると早速、ダイスで政府内の問題が発生する。問題の多くは、総理が自腹を切ることで解決するが、そのたびに物価が上がってしまう。物価が上がると、解決するために支払う額も上がり、総理を続けるうまみがなくなっていく。そこで問題を先送りして解散してしまう。
解散になったら、全員起立。議長が解散宣言をして、総選挙に戻る。ルールには指定されていないが、せっかく起立しているのだからと、我々は解散のたびに万歳三唱していた。
政府内の問題は、財務大臣がいれば必ず財政問題である。財務大臣と総務大臣が、みんなからお金をもらうことで解決したことになる。財務大臣がいない場合はダイスを振り、決定表に従って問題が起こるが、中にはぶっ飛んでいるものもある。特にゾロ目は1分以内に次のようなアクションをしなければならない。
・科学研究投資問題:割烹着を着込んで卒論を書き直し、大学に再提出する
・危険ドラッグ問題:アンナカを5000ml以上服用し、「SAY YES」を一曲ソラで歌い切る。
・政治資金流用問題:耳に手のひらを当てるポーズを取り、そのポーズのまま西宮・城崎温泉間を100往復する。
etc.
・・・ムリ。そして国会は解散することになる。7人プレイで30分。後半は1年ももたずに解散を繰り返し、その中で財務大臣を強気で取り続けて歳費を確保し続けた神尾さんが1位。毎ラウンドみんな立ち上がって万歳三唱するのがおかしくて、変なテンションになってしまった。
北条投了の解散万歳!
北条投了/芸無工房(2014年)
5~12人用/約45分
再販予定なし

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メイヤー(Mayor)

選対本部長に頼めいやー

このゲームが発売されたゲームマーケット2014秋と同日、私の地元で市長選挙があった。投票だけは欠かさないようにしているものの、候補者の内情は全然分からない。こんな大変なことをわざわざ買って出るのは本当にご苦労様なことであると思う。顔写真の入ったポスターを街頭に貼り、車で名前を連呼して回るなどといった芸当を、自分がやりたいなどとは毛頭思わない。
普通は決して体験できない候補者の気持ちを、このボードゲームでは味わうことができる。候補者、その家族、選対本部長、演説会担当、街宣担当、広報担当、電話作戦担当に分かれ、市長への当選を目指す協力ゲームだ。京都のアイドルグループ「やおよろズ」が制作したもので、メンバーの親族が関西で政治家をしており、生の選挙体験から生まれている。
各自、自分の役割を決めたらゲームスタート。役割は7つあるが、7人未満でも兼務することで全ての役割が登場する。ゲームは7ラウンド(7日間)。その後に開票が行われ、当落が判明する。それまで支持率を精一杯上げることが目標だ。
毎ラウンド、選対会議から始まる。5つある地域のどこに動員するか、さまざまな選挙活動のうちどれを行うかをみんなで相談する。動員する地域の支持率によって後援会コマの数が決まり、後援会コマを各役職に振り分けて選挙活動を行う。
候補者ができるのは「駅立ち」「自転車」「演説」。家族は「個別訪問」「同行」「泣き」。街宣担当は「選挙カー」「街頭演説」「桃太郎」というように、3つずつアクションがあるが、必要な後援会コマの数が異なり、地域・回数が限られているものもある。多様な選択肢から、どの組み合わせがいいか、みんなで知恵を出し合い、後援会コマを配置していく。
配置が終わったら出勤。アクシデントカードを引いて、その内容に応じて1分以内に計画を変更する。アクシデントカードは「雨」「中傷ビラ」「ガサ入れ」などで、行動が制限されたり、支持率が下がったりする。これでゲーム中1回しかできないアクションをキャンセルされたりすると非常に痛い。
1分たったら、アクシデントカードと選挙活動に従い、支持率を増減する。そして次のラウンドの選対会議へ。これを7日行う。7日間に選挙カーと選挙ハガキを出していなかった地域は支持率が下がるので担当者は忘れていけない。
5つの地域は人口が異なり、人口が多い地域ほど支持率が上がりにくい分、票数も多くなっている。場合によってはどこかの地域を完全に諦めるといった取捨選択も必要だ。7日が終わると、各地区での投票数がランダムに決まり、これに支持率をかけて得票数が決まる。例えば40000人の町で投票率が40%、支持率が37.5%だと、投票数が16000、得票数が6000となる(計算早見表が付いている)。総得票数の過半数をとれればプレイヤーの勝利となる。支持率の高い地域で投票率が高いと嬉しいが、それは当日フタを開けてみて分かることだ。人事を尽くして天命を待つ。
7人プレイで1時間ほど。私は候補者となり、序盤は朝立ちで地道に運動する。しかし度重なるアクシデントで、最も人口の多い「ニ悠町」の支持率が伸び悩んだため、桃太郎(町中を練り歩き、味方を増やす)を決行することに。この活動は候補者とその家族の同行が必須で、支持率が一気に2倍になる。ところが当日、アクシデントカードで「ダウン」が出て候補者がまる1日休みなってしまう。「肝心なときに~!」そこで最後に「演説」に挑戦。これは時計を見ないで公約を演説し、50~60秒以内に収まれば支持率が2倍になるというもの。しかし結果は5秒ほど超過してしまい失敗した。結局この2つの失敗が響き、支持率100%だった地域で投票率が最低だったことも影響して落選。最後は祈るような気持ちで投票率が出るのを見つめていた。
残念な結果に終わったが、こうしたほうがよい、ああしたほうがよいとみんなでアイデアを出し合ってゲームを進め、アクシデントを乗り切っていくのは結束感が高い。リアルな選挙活動がつめ込まれているので否応なくその世界に浸ることができる。軽いロールプレイもできて、選挙期間中の高揚感を味わうことができた。
Mayor
やおよろズ(2014年)
3~7人/16歳以上/60~90分
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