パッチワーク(Patchwork)
ミニマルなリソースマネージメント
『アグリコラ』の作者ローゼンベルクは、2人専用ゲームも結構作っている。『バベル』(2000)、『アグリコラ:牧場の動物たち』(2012)、『ル・アーブル:内陸港』(2012)、『アルルの丘』(2014)、『ボーナンザ』の拡張、そしてこの作品だ。これらの作品の中では最も軽く、時間も短い。しかしそれでいて、リソースマネージメントの妙を味わわせてくれる。シュピールのスカウトアクション8位(TGiWニュース)。
環状に並んだテトリスのようなタイル。コマのあるところから時計回りに3枚のうち、どれかを選んで自分のボードに配置する。できるだけ隙間のないように。最後まで埋められなかったマスは失点になってしまう。
タイルを取るとき、ボタンと時間という2つのリソースを消費する。ボタンは手持ちのチップを支払い、時間はマーカーを進める。この2つの管理がゲームの要だ。
ボタンはお金のようなもので、最後はこの数で勝敗を決める。使うとなくなっていくが、手番を休んで時間マーカーを進めるか、時間マーカーがポイントを通過するたびに補充される。いくつ補充されるかは、それまでボードに配置したタイルについているボタンの数による。ボタンがたくさんついているタイルはボタンを多く支払わなければいけないが、そういうタイルを早めに取っておけば安定した補充が望めるだろう。タイルを取るたびに累積していくので、序盤はカツカツなのが、終盤は潤沢になっていくのが楽しい。
時間マーカーは手番順を決める。『テーベ』のように、時間マーカーがより進んでいない方が手番を行うため、連続手番も可能だ。しかし時間マーカーがポイントを通過すると、貴重な1マスのタイルがもらえる。これは早い者勝ちなので、ときには大きいタイルを取って相手より時間マーカーを進めることも必要だ。そしてこの時間マーカーがゴールまで到達すると、それ以上手番を行うことはできず、ゲーム終了となる。
タイルの組み合わせも重要だ。連続手番できるときや、ゲーム終盤は、次の次に取るタイルまで考えていかないといけない。どれだけ埋めて失点をなくせるか、パズル思考も求められる。
Kさんと2人プレイ。1ゲーム目はとにかく大きいタイルを優先的に取って、開いたスペースの失点をなくす作戦である。あちこちに穴があいてしまい、7×7ボーナス(ボードの一部を相手より早く完全に埋めるともらえるボーナス)も取られたが、失点の少なさで勝利。2ゲーム目も同じ作戦だったが、Kさんがボタンの多いタイルを取っていく作戦に切り替え、収入を増やして勝利。1ゲーム目よりも2ゲーム目のほうが2人とも得点が上がっていたところを見ると、少し上達したみたいだった。
タイルは3択しかなく、プレイ時間も短いのに奥が深い。雑談しながら遊ぶこともできるが、ボタン貯金を優先するか空きマスをなくすことを優先するか、相手の出方や残りタイルを見て考えて戦略的に遊ぶこともできる。
Patchwork
U.ローゼンベルク/ルックアウトゲームズ
2人用/8歳以上/15分
エイジ・オブ・リバイブ(Age of Revive)
瓦礫からの再生
戦乱で廃墟と化した街を周り、資源を集めて再建するロンデル建築ゲーム。芸無工房の北条投了氏の作品で、ゲームマーケット2014秋に発売された。環状に並んだカードを周り、施設を建設して、その効果でさらに上級の建物に手を伸ばすという拡大再生産系である(ネタゲーではない)。
環状に並んだカードは、廃墟となった街を表している。途中途中に自分の拠点である「テント小屋」があり、あとは裏になったカード(「瓦礫」)である。自分のコマはテント小屋からスタート。手番には街を時計回りに1~3マス進み、移動先の瓦礫を取り除いたり、施設を使ったりする。
瓦礫を取り除くとカードが得られ、施設を使うと資源が得られる。カードに指示された資源を支払うと、街の内外に建築できる。これでさらに効率のよい資源獲得ができるようになったり、勝利点になったりする。
資源は食糧、石、鉄、労働者、馬の5種類。食糧は「穀倉」、石は「石工」、鉄は「鍛冶屋」というように、施設を使うことで手に入る。施設ができるまでは、最初からもっている資源と、「街の中心」に戻る(次手番は再び自分のテント小屋からスタート)ことで得られる資源で賄う。特にどの施設を作るにも必須の労働者は不足気味で、最初は「テント小屋」で食糧を支払うことでしか得られない。この不自由さが、施設を作ることでどんどん解放され、大量の資源を必要とする強力な施設を作ることができるようになる。拡大再生産の醍醐味だ。
ほかのプレイヤーが建築した施設でも、そこまで行けば使うことができる(自分のテント小屋から遠いエリアに建築された建物は使いづらい)。使用料などはかからないので、強力な施設ができると恩恵を受けられる。しかし、自分の建築も手を抜いてはならない。「郊外施設」という、建築したプレイヤーしか使えないものもあり、さらに上級の施設を建築するには、条件となる施設もあるため、一朝一夕には勝利点に結びつかないのだ。
上級施設の中に、羽ペンマークの建物があり、これを建築すると王様から資源を1つもらえる。王様の資源ストックがなくなったらゲーム終了。上級施設は後半どんどん建築されるので、終わりは意外に早い。
3人プレイで45分。環状の街をどこまで回るか、どこで街の中心に戻るかという選択が考えさせられる。街の中心に戻ると資源が補充できるが、1手番休みになるので、できるだけ戻りたくない。しかし少ない資源でできることは限られており、小さい施設ばかり建築していても勝利点には結びつかない。ほかのプレイヤーが建築した施設も含めてどの順序で使うか、どの施設を優先して立てれば能率がよいかを考えるのが面白かった。上級施設にはダイナミックな方法で資源や勝利点を増やすものがあり、手札に来たものを眺めているだけで心躍る。
Age of Revive
北条投了/チキンダイスゲームズ(2014年)
3~4人用/10歳以上/40~60分