ゲームマーケット2020秋レポート(1)
最高気温20度、10月のような秋の陽気の中、東京ビッグサイト青海展示棟にてゲームマーケット2020秋の1日目が開催された。1年ぶりの開催は、コロナ禍の中で厳重な感染防止対策をとって行われた。
各企業がエリア出展をしたAホール。来場制限により閑散としている
今年は新型コロナウィルスの感染が拡大し、3月と4月に予定されていたゲームマーケット2020大阪、ゲームマーケット2020春が相次いで中止となったため、昨年秋のゲームマーケット2019秋から1年ぶりの開催。前回は29300人が参加したが、今回は感染防止対策のため時間差入場・事前チケット購入制で人数を絞り込んだ。
1日あたりの全国感染者数が過去最多を更新している中、前日にNHKニュースで「”第3波”のなかの週末」として取り上げられたゲームマーケット。感染防止対策としてブース間の間隔を広げ、待機列を5ヶ所に分散し、会場内換気を行い、全参加者に検温、手指消毒、マスク着用を求めたが、さらに各ブースでは手指の消毒液などが備え付けられた。
入場は5ケ所300人ずつに分かれて
会場内に水道を引いて手洗い所を設置
オインクゲームズでは自動販売機を設置
ゲームストア・バネストの中野店長はフェイスガードと携帯拡声器を装備
このような中での開催ではあったが、会場が密にならなかったことで参加者同士が久しぶりの再会を喜ぶ余裕が生まれ、和やかなイベントになったと思う。1日目は主に企業が出展するAホールを中心に回ったが、あちこちで知り合いと会い、「お久しぶりです」と挨拶しあっているうちにあっという間に午前中が終わってしまった。
来場者数が絞られたと言っても、人気のあるブースには行列ができる。Aホールでは出展しなかったDomina Gamesの新作『ジェミノア(Geminoa)』がイエローサブマリンブースで販売され長蛇の列。ほかにも輸入版の先行販売があったホビージャパンやアークライト、『桜降る代に決闘を』のBakafire Partyとディライトワークスが出展した新作『この天才科学者が首席になれないとでもいうんですか?』にも長い列ができていた。
『ジェミノア』は『シェフィ』のポーン氏によるデッキ圧縮ゲーム
『この天才科学者が首席になれないとでもいうんですか?』はワーカープレイスメント&能力解放ゲーム
ホビージャパンはシュピール・デジタルの新作を空輸して先行発売
すごろくやは新作『赤い糸大作戦』を展示。ほかに『ザ・キー』の会場内謎解きも行っていた
会場に来られなかった人のために、ゲームマーケットライブが会場内の特設スタジオから配信
以下、Aホール内で注目された作品を何点か紹介しよう。
『タングルウィード』(EJPゲームズ)は風で転がる植物を植えて増やし、お金にするゲーム。タイルか種を買って配置し、ダイスで出た目の方向に風が吹くと転がって種を落とす。複数の色をかけ合わせると高価なものができるので、何色を植えるかも重要。
『クラッシュオクトパス』(itten)は机にバラバラに落ちている荷物を集めるおはじきゲーム。集めた荷物は船の上に置かれてアンバランスになる上に、あちこちから巨大タコが足を出していて邪魔をする。
『ウィキッド・フォレスト』(タクティカルゲームズ)は『インカの黄金』のその先。カードをめくるたびに進むか引き返すかを選び、確保できた宝石を集めて特殊能力や勝利点にしていく。
『パフューマリー』(タクティカルゲームズ)はワーカープレイスメントで材料を集めて香水を作るエンジンビルドゲーム。カードを重ねてたくさんのエッセンスを抽出できればできるほど、高級な香水が作れるようになっていく。
『ビアヘックス』(Brain Brain Games)は王冠コマを配置して自分の陣地をつなぐコネクションゲーム。相手は3つコマを指定して裏返すことができ、全部敵の駒だったら除去できるというルールが心理戦を生む。
『どっちぼーい』(ClaGla)はYes/Noで分岐していく質問で、親が答えていく行き先に賭けるゲーム。先に進めば進むほど当たりにくくなる分、倍率も上がる仕組みだ。
『UZITO』(Xaquinel)は変な形のコマを使った『ヴィラパレッティ』式のバランスゲーム。重さが異なることからくる妙な安定感が特徴で、最も重い柱は真鍮製である。崩れたときの音が激しい。
『サバンナテリトリー』(バンソウ)では同じ動物が隣接しないように配置し、手持ちからできるだけ多くの動物を置くことを目指す。
トリックテイキングゲーム『Schadenfreude』(studio Turbin)と『マチナミトリテ』(久遠堂)。前者は一定以上の得点になったらバーストしてしまうので押し付け合いが発生し、後者は裏面でセットコレクションを行う。
1日目では全部見て回ることができなかったため、Bホールで注目された作品はその2で紹介する予定。Aホール以上に面白い作品をたくさん見つけることができたのでお楽しみに。
最後に『ゲームメカニクス大全』(会場内の販売なし)を持つけがわ氏。「『僕もおすすめです』って書いておきますね」
名作を復刻『サンファン2』日本語版、11月中旬発売
名作ボードゲーム『プエルトリコ』のカードゲーム版として2004年に発売され、日本語版にもなっている『サンファン』のリメイク版。オリジナルはアレア(ドイツ)から2014年に発売された。ドイツ語版は『プエルトリコ・カードゲーム』というタイトルで発売されている。ルールは同じだが、『アレアの宝箱』(2009年)に入っていた新しい建物に加え、さらに新しい建物を追加したほか、一部カードバランスが調整されている。
手番プレイヤーが建築士、監督、商人、参事会議員、金鉱堀という5つの職業を選び、選ばれた職業は全員がプレイできるという「バリアブルフェイズオーダー」メカニクス。
建築士ではコスト分の枚数を捨て札にして建物カードを出し、監督では建物で何らかのものを生産し、商人では、生産したものを売って手札を補充する。参事会議員は、手札を1枚補充できる。それぞれ選んだプレイヤーにはアドバンテージがある。
こうして誰かが12枚の建物を出したラウンドでゲーム終了。建物には、建設コストが安くなるもの、たくさん生産できるもの、手札の補充をしやすくするものなどさまざまな特権があり、コンボも可能。アラカルトカードゲーム賞、日本ボードゲーム大賞を受賞した人気カードゲームの再登場だ。