『トランプゲームの源流 第1巻 トリックテイキングゲーム発達史』2月下旬発売
15~17世紀前半にかけてのトランプゲームを取り上げ、ルールを推定するとともに、その変遷の歴史について主にメカニクスの視点から概観するシリーズ。第1巻は「トリックテイキングゲーム」、とりわけ「切り札」と「ビッド」の歴史に焦点を当てる。著者は『クク大全』の黒宮公彦氏。
ゲームマーケットでは毎回数多くの新作が発表され、そのリリース数はドイツを凌ぐトリックテイキングゲーム。その源流を探る旅を楽しんでみよう。目次は公式サイトに掲載されている。
スティックコレクション(Stick Collection)
5mmの違いを見極める
おみくじのように箱の穴から出したスティックをリングに立てて手番順オークションを開始する。30cmよりも近づいてはならないが、スティックは5mm差で9種類×4本あり、何となく長いか短いかはわかるので、それを手がかりにしてどれくらいほしいかを考えてビッドする。最初の所持金は50で、ビッド額は1~10。10といえば必ず落札できる。
落札したらまた次のスティックを出してオークション。こうして誰かが8本競り落とすか、誰かの所持金が0になるか、誰かが同じ長さのスティックを4本競り落としたらゲーム終了。得点は、5mm差で一番長く連続している本数×10点。これの残り所持金を足して合計の多い人が勝つ。
オークション特有の駆け引き(あまり欲しくないものでも釣り上げるなど)も楽しめるが、一番楽しいのは競り落としたスティックを取ってきて自分のスティックを並べてみたときだ。見事5mm違いだと嬉しいし、1cm違いならその間に入るスティックを競り落とそうと意気込み、同じ長さだと見込み違いに盛り上がる。果たしてこれは目の錯覚なのだろうか?
同じ長さでも4本揃えれば即勝利だが、他にも欲しい人がいるため難易度が高い。それでも3本くらい揃うと、夢を見てしまうものだ。そんなドラマがあちこちにちりばめられている。
スティックコレクション
ゲームデザイン:居椿善久/アートワーク:トミオカヨシアキ
itten(2021年)
2~5人用/8歳以上/20~40分
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