新潟ボードゲームまつり2022レポート
開場の10:30には、すでに50人ほどが待機列ができていた。フリーマーケットは11時からで、しかも20人ずつの分散入場だから、フリマ目当てではない。それだけ3年ぶりに開かれたこのイベントの期待が大きかったということだろう。
全館貸切で1階はフリーマーケット会場、2階は謎解き、3階はショップ・カフェ・同人サークルの試遊販売やマーダーミステリー、ポーカーの体験ルームが設けられていた。待機列に並んだ人々はどこかに集中するというわけではなく、思い思いのところに散ってゆく。
一応のお目当てはフリーマーケットだったが抽選で最終回入場になったため、ゆっくり会場を見て回ることにする。まず目を引いたのがアーチゲームズのブース。ゲームマーケット2022春で発表した『ストラベルト』『アニマナイズ』のほか、注目の新作やレアな中古ゲームを並べていた。
盛況だったのは定番や新作を並べた試遊スペース。中央に並んでいるボードゲームから好きなものを取って遊べるというもので、常時満席である。そもそもこの会場は毎月2回、ボードゲームサークル「ポラリス」がオープン例会を開いており、そこに集う愛好者たちがスタッフとなってこのイベントを運営している。ツイッターだけでなく、地元のお出かけ情報サイトや新聞などに告知したそうで(談・うすい代表)、いろんなボードゲームをまる1日遊べるイベントとして人々が訪れたようだ。
試遊卓のそばで行われていたステージイベント「キャプテンリノ早積み選手権」では熱い戦いが繰り広げられていた。この他に「ボードゲームクイズ大会」が4・5日両日、「ウボンゴ3Dマスター決定戦」「クラスク大会」が5日に開催される。
変わり種ではオリジナルトートバッグ制作室。型紙を特殊なのりで貼り付け、コーティングするもので、男女問わずミープルやボードゲームをあしらったデザインを楽しんでいた。
ホールの試遊卓だけでなく、ボードゲームカフェや同人創作サークルの試遊テーブルもあり、いろいろなゲームを遊ぶことができた。特に同人創作サークルは地元の方で数は多くなく、ゲームマーケットと違って余裕がありじっくり説明や裏話を聞けるのがよい。遊んだゲームは左から『モンスターコロシアム』(ラフゲームズ)、『ペンは剣よりも強し』(コロコロ堂)、『キューバーズ』(Engames)、『タイガー&ドラゴン』(アークライト)。
フリーマーケットは抽選で最終組だったが、良いものがたくさん残っていた。小箱は500~1000円、大箱でも2000~3000円という破格で売られている。出品者にとっては物足りなかったかもしれないが、それだけ愛好者やコレクターでない人が多く参加したことを表している。
新潟のボードゲームシーンの盛り上がりを実感した後は、近くのスーパーで新潟のソウルフード「イタリアン」。焼きそばにトマトソースをかけ、白生姜を添えたB級グルメで380円。
プラネピタ(Planepita)
謎の重力の正体は…磁力
おはじきゲームはたくさんあるが、『キャロム』ぐらい広い盤面ならまだしも、盤面が狭くなるほど微妙な力加減が求められ、弱すぎて空振りしたり、強すぎて盤面から飛び出したりしてしまうのは爽快感がない。
その点で、クラウドファンディングで100万円以上を集め、製品化されたこの作品のコマの動きは衝撃的だった。コマの片面に磁石、ボードの内部に鉄が埋め込まれており、狭い盤面でぶつけられても持ちこたえるのである。それは超重力で宇宙人たちが動けなくなったかのよう。これで爽快感だけでなく、強弱を気にせず方向や角度の微調整もできるようになった。
円形のボードは4分割されており、それぞれ自分のサイドにアクリル板の宇宙船を置いて、コマを盤上に弾く。弾く時は磁石のない面で。弾き終わった後、そのままにするか裏返して磁石の面を下にするか選ぶ。裏返しにすると飛ばされにくくなるが、陣取りの時は1ポイント分にしかならない。そのままだと飛ばされやすいが2ポイント分になる。外のエリアなら狙われないだろうと裏返さないでいると、流れ弾が当たるかもしれない。
エリアは同心円状に3つあり、それぞれポイントの一番多い人が得点できる。中央の得点が一番高いため、カーリングのようにみんなが中央を狙う。裏返したコマでも、当たりどころがよければ外側にはじき出すことができるだろう。黒いお邪魔キャラがいるエリアはコマが取り除かれるだけでなく、そのエリアでコマは裏返せなくなる。お邪魔キャラにぶつけて逆転を狙うのもあり。
ポイントが同じだったらそのエリアの得点は次のラウンドに持ち越され、一層激しい戦いが繰り広げられる。最後の一投までどうなるかわからずハイテンションで楽しめた。
プラネピタ
ゲームデザイン:藤縄英佑・堀和紀/イラスト:遠山美月
SzpiLAB(2022年)
2~4人用/6歳以上/20~30分