ラムセスのピラミッド(Ramses Pyramid)
ミイラが降ってくる!
レゴブロックが今年、一挙に10タイトルものボードゲームを発売した。エッセン国際ゲーム祭でも巨大ブースが登場し、おもちゃ屋でも大きなスペースを作って販売中。そのうち2タイトル、『ミノタウロス(Minotaurus)』とこの作品に、作者としてR.クニツィアがクレジットされており、ゲームとしてのバラエティを持たせている。ボードゲーム界の注目度も高く、『ラムセスのピラミッド』は、今年のニュルンベルク国際玩具見本市でトイ・イノベーション賞を受賞、オーストリアゲーム大賞にも輝いた。
次々と襲い掛かるミイラをかわしてピラミッドの頂点に上り詰めるこのゲーム。オーソドックスながらクニツィアらしいジレンマも仕掛けられている。
ダイスを振って、自分の探検家コマを進める。ピラミッドの周囲を一周してからいざピラミッドへ。ピラミッドの各段には色のついた水晶コマがついており、その色の水晶を出さないと進めない。ピラミッドを一周するうちに水晶を集めるのだが、持っていれば
無条件で通れる水晶と、ふたを開けて合っていれば通れる水晶の2種類があり、後者は場所が変わるのでどこに何色があるかよく覚えておかなければならない。
ダイスでミイラの目が出たら、ピラミッドの頂上からミイラが降りてくる。これに当たればスタートからやり直し。ミイラは数対あり、当然のことながらライバルのところに落とす。ミイラのいない斜面へサイドチェンジするなどして、水晶を当てて一気に進みたい。
ダイスはほかにピラミッド回転の目がある。レゴブロックで作られたピラミッドには板がついていて、スムーズに各段を取り外すことができる。ミイラを除けたと思ったら、ピラミッドが回転してまたミイラが目の前に!
家族で組み立てて、家族でプレイ。息子が水晶をしっかり集めて、ミイラが来そうな斜面は避けて、一気に上ってゴール。子供がいるのでスピーディに終わったが、大人ならもっと足を引っ張り合うだろう。ピラミッドを開けると、中にちゃんとサソリの宝が入っている。
Ramses Pyramid
R.クニツィア/レゴ(2009年)
2〜4人用/8歳以上/20〜40分
アラカルト(新版)(a la carte)
豪華になって再登場
レアゲーとしてネットオークションで高値がついていた料理アクションゲームが今年、装いも新たに再販された。旧版の写真とゲーム内容はこちら。初版は1989年である。
鍋にレシピを入れて料理する。ダイスでコンロの火力を上げ、必要なスパイスを入れて、条件を満たせば完成。火力が上がりすぎたり、スパイスが入りすぎたりすると失敗となる。ポイントはスパイスコマで、瓶から全く出てこないこともあれば、どっと出てしまうこともあり、どちらでも笑える。スパイスの中に入っている塩は料理の役に立たないお邪魔キャラ。全員のコンロの火力を上げてしまうダイス目や、絶望的な鍋を他人と交換できるコーヒーブレイクなど、芸が細かい。
新版ではレンジの火力調整がつまみ式になり、スパイスビンやコマがリアルになるなど、コンポーネントが豪華になった。箱を開けた時点で注目が集まるほど。完成したレシピをめくると、ちゃんと料理のイラストが入っている。スパゲッティ・アラビアータは血だらけのスパゲッティに斧が添えられているなど、ここでもウケを取れる(グロいので食欲は減退しそうだが)。
ルールにも変更が加えられた。ひとつはパンケーキ。新しいレシピを取る代わりに、パンケーキをフライパンにのせることができる。次の手番から、まずダイスを振って温度を上げ、2アクションでひっくり返す。失敗したらまた次の手番。こうして焦げる前にひっくり返せれば完成である。緊張するとなかなかひっくり返せない。
それからコーヒーブレイクは火力ダイスの指示でタイルを引くようになり、鍋交換のほか、追加アクションやほかの人にスパイスを入れるなどのイベントが発生するようになった。これで料理の手を止めないで、お互いの料理を邪魔できる。
Psy+さんがどんどん料理を失敗させるのでゲームが早く進む。私は余計なスパイスを入れずに完成させるともらえる星2つまで集めた(3つ集めると無条件で勝利)が、もう1つが上手くできない。新版のレシピは難易度で色分けされており、極力全種類を作らなければならないため、簡単なレシピを作り続けるということができなくなっているのだ。結局タカハシさんが得点の高い料理を成功させて1位。
ボードゲームをあまり遊ばない人にも、出しただけで注目され、さらに遊んでウケを取れる稀有なゲームが、広く遊べるようになったのがたいへん嬉しい。
à la carte
K.-H.シュミール/ハイデルベルガー出版(2009年)
3〜4人用/10歳以上/30分