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強欲な深きポケット(Tiefe Taschen)

汚れててもいいんで、私に一票を!
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政治家たちが大統領の予算配分に関与して、私腹を肥やすゲーム。ドイツのゲームデザイナーの作品で、はじめウェブ出版されていたが、後にこのゲームのために出版社が新たに立ち上がった。「手軽に遊べるフンタ」という評判である。
大統領役のプレイヤーを一人決め、このラウンドの予算配分を行う。めくられたお金カードを、自分を含む好きなプレイヤーで配分し、これでよいか信を問う。ほかのプレイヤーはその予算案に賛成か反対かをこっそり決めるが、どちらも選択せず、ほかのプレイヤーや国庫から盗むというアクションや、ほかのプレイヤーが盗みに来たときに撃退して反対に盗み返すというアクションもある。5択である。
全員がアクションを選択したら、大統領から順にアクションカードをめくる。全体で賛成が半数以上ならば予算案が可決されたことになり、そのお金が(それぞれの懐に)分配される。反対のほうが多い場合は、大統領は辞任しなければならない。残ったプレイヤーの中で新しい大統領が改め予算配分を行って信を問う。辞任した大統領は一旦ゲームから抜け、人数が少なくなるので、その分残ったプレイヤーのウマ味が増していくという仕掛けだ。
たくさんのお金を分配された人は、その予算案が通ってほしいから賛成に回るはず、というのは建前に過ぎない。どうせ大統領ともう1人くらい賛成するだろうと思って、盗みやその防御などの副業に走ることもある。
確実に賛成してほしければ、贈賄という手もある。お金を渡し、「絶対賛成して」「絶対反対しないで」などの懇願をすることができる。このお金は、受け取ったほうがその通りにしていたならば手に入り、裏切ったら返さなくてはならない。賄賂を渡して通ったのが赤字だったなどということがないようにしたい。
山札から国家破産カードが出たら投票の後でゲーム終了。最後は大統領就任歴でも何でもなく、純粋に所持金勝負となる。
5人プレイで45分ほど。予算案は割と通りやすかったが、それは大統領が自分の利益を後回しにしてバラ撒いていたからのようだ。途中からはそれに気づいた人がそこそこの配分を持ちながら裏切り、転覆を図るようになった。こうして回ってきた大統領職で小金を稼ぎ、自分の金庫を膨らませて泥棒対策にしつつ、国庫から盗んで私腹を肥やしたcarlさんが優勝。お主も悪よのう……。
「あの人は賛成するはずだから、私は盗みに入ろうかな」「こちらは反対するだろうと思われているから、泥棒対策しておこう」など、ほかのプレイヤーの選択を読み合いながらの行動はヒリヒリするものがあった。その結果、思わぬ展開が巻き起こってドラマチックである。
Tiefe Taschen
ゲームデザイン:F.ツィマーマン/イラスト・C.オッペラー&G.ゾリンスキ
4~8人用/12歳以上/20~50分
フォブスゲームズ(2016年)
ゲームストアバネスト:強欲な深きポケット
すごろくや:ティーフェタッシェン:底なしの懐

Posted in 日本語版リリース

無言で通じ合う『ザ・マインド』日本語版、11月8日発売

アークライトは11月8日、協力ゲーム『ザ・マインド(The Mind)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・W.ヴァルシュ、2~4人用、8歳以上、20分、1800円(税別)。カードのテキストはドイツ語だが、言語依存はない。
無言でタイミングをはかってカードを出すという異色のカードゲーム。切れ味の鋭いカードゲームを連発しているニュルンベルガー・シュピールカルテン社(ドイツ)から今春発売された。今年のドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされ、革新的な作品に送られる「イノシュピール」にもノミネートされ、作者ヴォルフガング・ヴァルシュの名を業界に轟かせた。
プレイヤーは1つのチームとなり、各自の手札をカードの番号が昇順になるように捨て山にプレイしていく。手番はなく、「いまが出すべきタイミングだ!」と思ったら出す。ゲームが始まったら無言を通さなければならず、誰がいつ出すかは相談できない。
出た順番が違うとヒットポイントを失い、規定のヒットポイントがなくなったら全員の敗北。ラウンド(レベル)ごとに指定された枚数プレイしきるとクリアとなり、次のレベルへと進んでいく。レベルごとに手札の枚数が増えていき、クリアするのは難しくなるだろう。全員が一番低い数字のカードを捨てられる手裏剣カードの使いどころも鍵となる。
ほかのプレイヤーとの心のシンクロと、集中力が要求される革新的なゲームだ。
内容物:数字カード100枚、レベルカード12枚、ヒットポイントカード5枚、手裏剣カード3枚、ルールシート1枚