ドラフトザウルス(Draftosaurus)
並行ピックアンドパス
恐竜をドラフトで集めて魅力的な動物園を作るフランスのゲーム。フランス年間ゲーム大賞ノミネート、アメリカ卓上ゲーム賞2020(初心者部門)大賞受賞、ドイツ年間ゲーム大賞推薦リスト入り。フリークには物足りないかもしれないが、カジュアルゲーマーや、ライトゲーム寄りのゲーマーに合うだろう。
現在翻訳中の『ボードゲームデザイン大百科(仮)』では、最終章「カードメカニズム」の最終項が「ドラフト」になっている。ここではロチェスター(場から選ぶドラフト)、ピックアンドパス(取って残りを隣に渡すドラフト)、スネーク(順番を逆転させるドラフト)、並行ピックアンドパス(同時進行でピックアンドパス)、ブースター(開封してピックアンドパス)などが紹介されているが、このゲームで用いられているのは並行ピックアンドパスである。作者のひとりであるA.ボウザが『世界の七不思議』で用いたもので、(長考プレイヤーがいない限り)スピーディーな進行が期待できる。
袋に入った恐竜コマを各自6個ずつ取ってスタート。恐竜はミープル形でいろいろあるが、ガン牌はまず無理である。
手番プレイヤーはダイスを振り、今回配置できるエリアや縛りが指定される。手番プレイヤーは従わなくてよい。手持ちの恐竜から1個を選んで、指定されたエリアに配置し、残りを隣のプレイヤーへ。これを繰り返して全部配置したら、再び袋から6個ずつ取ってドラフトを行う。12個の恐竜が配置されたら得点計算。
ボードには恐竜のケージが6ヶ所あり、1種類しか置けない、同一種のカップルができれば得点、動物園全体で1体しかいないなどの制限があり、さらにTレックスのいるケージは1点のボーナスがある。これらの制限に沿って、得点が最大化するように恐竜を選んでいく。
しかしダイスは気まぐれで、置きたいケージに置けるとは限らない。しかもゲームが進むにつれてどのケージも「待ち」が狭くなり、どこかで次善の策を練らなければいけない時が来る。
『ボードゲームデザイン大百科』では、ドラフトのテクニックとしてホイーリング(誰も取らないのを見越して1周回す)とヘイトドラフト(次の人に取らせないために自分で取る)が紹介されているが、このゲームでも周囲の動物園をよく見ておけば、それに近いことはできる。もっとも、「待ち」はそれほど狭く設定されていないので、そこまで考え抜くほどではない。最後の1,2匹で考えるぐらいである。
ケージごとの得点計算方式を説明しなければならず、他人が握ったミープルを受け取るのはウィズコロナ時代において逆風ではあるが、ライトなプレイ感でドラフトの醍醐味を自分で発見していける。ドラフトのたびに「ほしい恐竜が取られたー!」「いらない恐竜ばかりにしてあげました」などといって盛り上がれる。ボードを裏返せば別パターンの動物園で遊べるので、ゲーマーは両方の総合得点を競うことにしてもよいだろう。
Draftosaurus
ゲームデザイン:A.ボザ&C.ルブラ&L.モーブロン&T.リヴィエール
アンカマ(2019年)+ジェリージェリーゲームズ(未定)
イラスト:J.E.ガオ&V.A.ジェイコブ
2~5人用/8歳以上/15分
拡張全入り!『イスタンブールBIG BOX』日本語版、7月中旬発売
2014年にドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞した作品に2つの拡張セットを同梱した特別版。『コーヒーとお恵みを(Mocha & Baksheesh、2015年)』と『書簡と証印(Letters & Seals、2016年)』の2つの拡張セットを加えてプレイできるほか、タイルを5×5枚に並べてプレイするバリアントルール「グランドバザール」も追加されている。
『イスタンブール』は、タイルを4×4枚に並べたバザーを舞台に、商品を仕入れて販売し、ルビーを集めるゲーム。各タイルでアクションを行うたびに、お供の助手を置いていかなければならず、助手がいなくなったら回収しないとアクションができなくなる。タイルの並びは毎回変わり、そのたびに戦略も大きく変わる。
『コーヒーとお恵みを』では新たな商品としてコーヒーが登場し、入手方法も使用方法もさまざまで戦略の多様性を増やす。『書簡と証印』では指定の場所に届けてルビーや追加手番に使える書簡が登場する。
『イスタンブール』をとことんまで遊びこみたいファンのための一品だ。
内容物:場所タイル 25枚、手押し車 6枚、手押し車拡張タイル 18枚、モスクタイル 16枚、需要タイル 12枚、酒場タイル 8枚、バクシーシタイル 1枚、柵管理タイル 1枚、売店タイル 24枚、手紙タイル 36枚、サマリー 5枚、スタートプレイヤーマーカー 1枚、隊商タイル 1枚、金貨 12枚、銀貨 24枚、銅貨 36枚、ボーナスカード 72枚、ギルドカード 20枚、商人ディスク 5枚、助手ディスク 25枚、親族駒 5個、相棒駒 5個、商品マーカー 20個、郵便マーカー 4個、コーヒー袋駒 30個、柵駒 1本、総督駒 1個、密輸商人駒 1個、コーヒー商人駒 1個、配達人駒 1個、6面ダイス 2個、ルビー 42個、シール 28枚、ルールブック 1冊