Posted in 日本語版リリース

この星に光を取り戻せ!『黄昏の篝火』日本語版、11月下旬発売

ホビージャパンは11月下旬、『黄昏(たそがれ)の篝火(かがりび)(Bonfire)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・S.フェルト、イラスト・D.ローハウゼン、1~4人用、12歳以上、70~100分、6000円(税別)。
遠い宇宙の別の星を舞台にしたファンタジーゲーム。S.フェルトのデザインで、10月のシュピール・デジタルにおいてホールゲームズ(ドイツ)から発表され、スカウトアクションで2位となった作品だ。ホールゲームズの新作は『デルフォイの神託』以来4年ぶりとなる。

魔法のかがり火が消え、古くからの町は放棄され、世界は黄昏の中に沈んでいる。かつて篝火を見守っていた光の守護者たちは遠くの島々へと引き揚げている。そこで彼らは、この暗闇を払拭するにふさわしい者を待っているのだ。
この運命に立ち向かえるかどうかは、ノームである君たちの双肩にかかっている。空になった町に入植し、守護者たちが元の住み家へと戻るための道を整えよ。
必要な任務を達成して篝火を灯せば、君たちの新たな故郷はまばゆいばかりの光に照らされるだろう!

プレイヤーはある星のノームとなり、かがり火を灯してこの星に再び繁栄をもたらすことを目指す。運命タイルを配置してアクションマーカーやお金を集め、アクションマーカーを使って道路の建設、船の移動、任務の獲得、守護者の召喚、かがり火の使用、ノームの募集という6つのアクションから1つを行う。任務の条件を達成することでかがり火を灯することができ、さまざまな要素の得点の合計を競う。
任務は多様で、難易度もさまざま。また特殊能力も数多く用意されており、先を見越した計画性と柔軟性の両方が試される。少ないアクションの選択肢だけで多様な展開を生み出し、エキサイティングで挑戦しがいのある作品だ。
内容物:ゲームボード 1枚、プレイヤーボード 4枚、アクションサマリー 4枚、出発地点タイル 4枚、拡張部タイル 4枚、任務 66枚、アクションタイル 72枚、ポータル 28枚、道タイル 28枚、カウントダウンタイル 5枚、運命タイル 32枚、捧げ物タイル 40枚、篝火 1つ、0/50点マーカー 4枚、ノームカード 33枚、サマリーカード 4枚、ソロプレイ用カード 8枚、守護者駒 20個、見習い駒 33個、資源駒 57個、船駒 4個、得点マーカー 4枚、ルールブック 1冊

Posted in

パリ(Paris)

一手で三つを同時進行
paris.jpg
凱旋門の周囲の6地区を舞台に、建物やモニュメントに投資して勝利点を競うボードゲーム。今年のシュピールに合わせてゲームブルワー社(ベルギー)が発表したもので、ゲームデザインはドイツ年間ゲーム大賞常連のクラマーとキースリングがあたった。90分クラスのボードゲームとしては『リワールド(2017)』以来となるが、2年連続でドイツ年間ゲーム大賞を受賞した『ティカル』『トーレス』ぐらいの長さであり、2人のもともと得意とする大きさと言えるだろう。
手番にはまずランダムに引いた建物タイルを配置した後、新たにカギコマを新たに出してお金をもらうか、すでに出ているカギコマをお金を払って高い建物に移すかの2択が基本だ。建物タイルがほしいところに出るか出ないかは運次第だが、中盤ぐらいに出尽くすとそこからは運の要素のないゲームになる。
カギコマはその街区でより高い建物に移さなければならず、その際に差額を支払う。ほかのプレイヤーのカギコマがある建物には移すことができない。安い建物から少しずつ進めていっても、高い建物にいきなり飛び込んでも総額で支払うお金は同じだが、先着ボーナスと、建物の価値によるエリアマジョリティがあるため、ほかのプレイヤーの動向をよく見ておかなければならない。一番高い建物の先には、超高級なモニュメントが建てられるが、それにはお金だけでなく、資材や名誉トークンの周到な準備が必要だ。
勝利点は主に、①条件達成(ゲーム中に獲得するボーナスタイル)、②セットコレクション(モニュメントを建てたときの名誉トークン)、③エリアマジョリティ(ゲーム終了時に各街区における建物・モニュメントの価値の合計)で手に入る。これらは別々に取り組むものではなく、カギコマの移動によって同時進んでいくという仕掛けだ。
4人プレイでインスト込み120分。コンポーネントにテキストはなく、アイコンはいくつか確認しておけば問題なくプレイできるので説明は長くならない。ただし、ゲームが結構長く、序盤にあまり意味なく取ったものが終盤で結構役に立つこともある。ボーナスタイルもモニュメントも早いもの勝ちというインタラクションがあるため、周到に用意したセットコレクションが使えるかはタイミング次第。軌道修正の手はいくらでもあるが、先を越された時に次の一手を臨機応変に考えるところに近年珍しくなったユーロゲーム感がある。
ボーナスタイルやモニュメントの内容が毎回変わらないところもリプレイアビリティの点で逆に目を引く。今時の流行から若干距離をおいて、20年前に多くのボードゲーマーを惹きつけた「ドイツゲーム」の粋をバランスよく安定して楽しめる作品だ。
Paris
ゲームデザイン・W.クラマー&M.キースリング/イラスト・A.レーシュ
ゲームブルワー+ケンビル(2020)
2~4人用/12歳以上/90分
ケンビル:パリ 日本語版